
株主アンケートに


カゴメ株式会社
長井 進様
カゴメの商品であるトマトジュースやケチャップを日頃使っていただいている主婦の方々が株主になると、株にどのような価値が出てくるのか。この問いかけから「お客さま株主」というキーワードが出てきました。株価や配当金という経済性ももちろん重要ですが、企業を信頼してサポートし、末永くお付き合いしたい、というお客さまの気持ちと、信頼していただけるだけの安心・安全な商品をお届けしているというカゴメの自負心、そういった部分を大事にしたいと思ったのです。この13年間、アンケートや対話と交流をする中で、お客さまと株主が表裏一体であることが検証されてきました。
取り組みを始めた1998年当時は、株主総会そのものの改革が必要でした。とりわけ、情報開示のわかりやすさと早期化には3年間ほど取り組みました。具体的には、株主総会に参加しやすいように日程を1週間ずらし、対話と交流を重視し、情報開示を進めました。株主や投資家、お客さま、社員など、カゴメを取り巻くすべてのステークホルダー(利害関係者)を結びつける一番のツールは、情報です。2000年1月に公表した企業理念「感謝」「自然」「開かれた企業」により、情報をできるだけオープンにし活用することが重要であると考えました。まず最初に社員全員にイントラネットを用いた情報開示を始めました。当時はこのような取り組みは大変珍しかったと思います。
その頃は総会屋などと騒がれた時代でしたが、当時の伊藤社長は、人と向き合うことを大事にし、株主と何時間でも対話するという姿勢でした。イントラネット中継の次は、マスコミ公開も始めるなど、新しい試みを続けました。
取り組み3年目に入っても、当時80名の参加者が120~30名と、5割程度しか増えず、どうやったら来てもらえるかということが課題になりました。この課題の答えを見つけるために、株主にアンケートを取りました。なんとこのときの回答率は3割近くに上り、さらにその3分の2が株主総会を行う中部圏の人でした。そこで得られた情報を元に、2000年の株主総会後にカゴメ製品を使ったメニュー紹介・試食イベントを行いました。これを2年続けた後、時期を変えて「株主懇親会」を別途行うようになりました

2001年8月に株主を大幅に増やすために、1単元の株式数を1,000株から100株に変更し、年2回の株主優待制度を導入するとリリースしました。当時の株主は6,500名程度でしたが、副社長(現会長)の談話が「カゴメ、ファン株主10万名宣言」としてマスコミに流れた時は、これは後には引けないな、と気が引き締まりましたね。
いろいろありましたが、金融機関との持合い株式の売り出しもあって、2002年の3月には個人株主が一気に44,000名になりました。同じ年の2月に「カゴメを味わう株主懇親会」をスタート、800名余りが来てくれました。こうして5年間同様の懇親会を行いましたが、一回に4,000人も来てもらったこともあります。その後、カゴメの中身を知ってもらうべく「カゴメ株主フォーラム」に名称と内容を変えました。このように株主との交流の形には変遷がありますが、株主との対話と交流をどう広め、かつ深めて行くかは、常に大きな課題としてあります。株主の方の口コミ効果もあって、個人株主数は2005年9月には10万名を達成し、2011年には17万名の方に株主になっていただいています。
株主優待制度を始める前から、カゴメの商品等を贈る際にアンケートを行っています。回収率をを上げるため、一度だけ、図書券をつけた時は3割を超えましたが、つけなくなった今でもこの10年間平均で2割以上です。これは一般のアンケートに比べても高いですね。また、答える側のことを考え、シンプルなアンケート内容にしていることも、回収率の向上に寄与していると考えています。近年ではインターネットや携帯でのアンケートにも対応しました。
アンケート結果は、株主だからこそ真剣に考えていただけている部分もあるのか、非常に参考になる部分が多く、商品開発でも大いに活用しています。総じて好意的で励みになっていますが、やはり一部には辛辣なご意見もあります。それは真摯に受け止め、改善の貴重な機会とさせていただいています。
アンケートの他には、Yahoo掲示板などもチェックして幅広くご意見を拝聴しています。また株主優待商品を贈った際に、届くのが遅い等の電話をいただいたりしたこともありますが、一つ一つの問題を解決すべく真摯に臨んでいます。常に心がけているのは、株主に対してフェアで、シンプルわかりやすく、そしてタイムリーに、ということです。
情報は鮮度が命です。2週間くらいのアンケート期間をとっていても3日間で大勢は決し、1週間で十分に情報は集まると考えています。株主優待のアンケート結果はすぐに集計し、株主総会でも活用しています。とくに株主優待の贈呈は年間2回行っていますから、結果をすぐに反映し、次回の改善をしないと準備が間に合いません。AltPaperの自動集計を使って結果を早く出せる点を評価しています。
アンケートの自由記載をテキストマイニングして活用したいですね。質問項目にしても、仮説をもっとこちらから出して、選択肢で回答できるようにアンケート内容をレベルアップできたらと思います。通常のアンケートはとにかくコストがかかるので、非常に安価でスピーディなAltPaperのサービスはありがたいですね。
また、株主データの質を上げて行くのも今後の課題の一つです。カゴメでは長期継続保有の株主のデータベースを作り、活用しています。他社と比較すると、4年経過後の残存率は、全体平均の36%と比べて、カゴメは53%です。当社データしかない10年経過後を見ても39%の残存率です。この数字は、これまでの活動のひとつの成果だと思っていますが、実践的な部分からデータをもとに10年来やってきたので、これをさらに活かしていかないともったいない、という気持ちもあります。
アンケートはコミュニケーションの重要なツールでもあり、マーケティングの基幹ツールでもあります。機軸は情報なのです。そういう意味でもAltPaperには大いに助けてもらっていますが、今後、さらなる協業を進められたらいいですね。


