改めてチェック!ストレスチェック制度:ストレスチェックの「高ストレス者」、採用すべき基準はどれ?

   

ストレスチェックの「高ストレス者」、採用すべき基準はどれ?

ストレスチェックでは、対象となる労働者が個別に質問票に回答し、この結果に基づいて高ストレス者が判定されます。

実施者代行サービスの担当として様々な企業の方へ結果についてご説明することが多いのですが、その中でも皆さんからお悩みのご相談を受けるのが「高ストレス者基準」。
厚生労働省の指針で大まかな基準は設けられていますが、産業医の方からも「自社ではどこで線引きを行えばいいのだろう……」とお悩みの声を伺っております。面接指導対象者を選定することもあり、リスクや予算調整のためにも「高ストレス者」の基準は理解しておきたいものですね。

ストレスチェックで高ストレス者と判断されるのは、どのような基準に基づいているのでしょうか。
 

高ストレス者は「受検者の10%」が目安

「何点から“ 高ストレス者 ”なのですか?」
初めてストレスチェックを実施される事業者様からは、よくこのような質問をお受けします。

「ストレスチェック」というと健康診断のように明確な基準があって「この数値から先は危険!」という判定ができそうですが、実際の“高ストレス者”の判断はより複雑で点数だけでは判断が難しいものです。

ストレスチェックは「ケアを優先しなければならない人のピックアップ」が本来の目的。「職場の中でストレスを感じている人」「その中でも緊急性が高い人」を“高ストレス者”(職場の中でストレス負荷が寄りかかっている人)として抽出するために、尺度ごとにストレスチェックの結果評価を行います。

厚生労働省の発表している指針では、「例」として高ストレス者判定の評価方法や基準点を数値として掲載しています。ですが、これはあくまで「全国の労働者から得らえたデータとの比較」です。
それぞれの企業がこの基準で十分に高ストレス者を発見できるとは限りません。

そのため、“高ストレス者”を決める基準は衛生委員会や実施者の意見聴取を行い、「事業者」が各企業に対して適切なものを定めるとされています。
企業内で判定基準を統一してもよいですが、事業所ごとに基準を変えることも可能です。ですがどの場合でも 実施者と話し合い 衛生委員会を経て 産業医やスタッフの承認を貰わなければなりません。

制度マニュアルでは“高ストレス者”が全国20万人のデータより上位10%となるようにする具体的な点数と計算方法を設けています。これにならって「事業所内の受検者の上位10%」を目安に定めるのが適当、と考えられるでしょう。
 

重要なのは「体のストレス反応」、
[仕事]・[支援]も加味して基準設定を

ストレスチェック制度において使用する調査票は、少なくとも以下に示す①~③の分野に関する質問が含まれたものを用いることと指定されています。
これらの分野の質問項目が含まれた独自の調査票を作成して調査を行うことも可能です。
 

  1.   職場における当該労働者の心理的負担の原因に関する項目
  2.   当該労働者の心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目
  3.   職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目


厚生労働省がストレスチェックで使用することを推奨している「職業性ストレスチェック簡易調査票」は、厚生労働省より研究委託を受けたグループが作成した非常に完成度の高い調査票で非常に汎用性の高い内容になっています。
指針やマニュアルにおいては、より危険度が高いとされる「心身の自覚症状」を重要視するだけではなく「仕事のストレス要因」「周囲のサポート」についても一定の基準を設けることが望ましいとされます。
  

高ストレス者の判定は2軸評価

職業性ストレスチェック簡易調査票では、「心身のストレス反応」に関する項目に関する質問が29項目、「仕事のストレス要因」に関する項目が17項目、「周囲のサポート」に関する項目が9項目設定されています。
 
これらの質問に対する回答結果を点数化して、一定以上の点数になった者が高ストレス者と判断されます。
基本となる考え方については、実施マニュアルに以下のように定められています。
 

  1.   「心身のストレス反応」に関する項目の評価点の合計点が多い者
  2.   「心身のストレス反応」に関する項目の評価点の合計点が一定以上であり、
    かつ「仕事のストレス要因」及び「周囲のサポート」に関する項目の評価点の合計が著しく高い者

※該当者の割合としては、おおむね上位10%程度を基準としていますが、事業場の状況によっては割合を変更することもできます。

この回答結果を点数として換算する方法については以下の2つの方法がありますが、それぞれメリット・デメリットがあります。

  1. 単純に合計して得られる評価点を用いる方法
  2. 各質問項目に対する回答結果を素点換算表により尺度ごと
    5段階の評価に換算した評価点の合計点を用いる方法
     

「単純な合計による評価」

「単純な合計点数を用いた方法」として 各質問項目について、ストレスが最も高い回答は4点、反対にストレスが最も低い回答は1点としてすべての問題を計算し、合計点を上記の基準に当てはめて、高ストレス者の判定を行います。

「単純な合計点数を用いた方法」 は計算方法が簡便でわかりやすいというメリットがありますが、「問題文に合わせて逆換算しなければならない質問がある」「結果が平均的になりやすく優先的に面接指導が必要な者を抽出するのに不向き」といったデメリットがあります。
  

素点換算表に基づいた評価点の合計を用いた方法

素点換算表を使用して点数を計算する方法も紹介されています。
「心身のストレス反応」「仕事のストレス要因」「周囲のサポート」について各設問を尺度に変換し、各々について得点を換算表に基づいて計算します。
この方法では、ストレスが最も高い回答を5点、最も低い回答を1点となし
各分野ごとに合計点を出します。

素点換算表を用いた場合は、点数が低い方がよりストレスが高い状態を示していることに注意が必要です。この方法は分析ツール(プログラム)を必要としますが、尺度ごとの評価が考慮されており、個人プロフィールとの関連がわかりやすいというメリットがあります。
 

AltPaperストレスチェックでは「全国評価」と「職場内」の2軸で判定

弊社では上記の粗点換算法を使用し、全国平均と比較したA・B・C判定と職場内の受検者データと比較した★★・★判定の2軸を用いてより「企業の実情に合わせた」評価をわかりやすく提供しています。

AltPaperストレスチェックの評価方法

  • A・B・C評価(総合評価)
    厚生労働省公表の『素点換算表に基づいた評価点の合計を用いた方法』を採用し、個人の結果を算出します。その結果を全国20万人のデータと比較し、ストレスの高い方から上位何%以内なのかを表示します。
    A=上位10%以内 / B=10~30%以内 / C=30%以下
    Aがストレスをより感じている方、Cがストレス要因の少ない方となります。
  • ★★・★・「  」評価(相対評価)
    厚生労働省公表の『素点換算表に基づいた評価点の合計を用いた方法』を採用し、 産出した個人結果が実施した事業所の皆さんのデータと比較した時にストレスの高い方から上位何%以内なのかを表示します。
    ★★=上位10%以内 / ★=10~30%以内 / 「 (無印)=30%以下
    ★★が事業所内で比較的ストレスを感じている方、「  」(無印)がストレス要因の少ない方となります。

厚生労働省の示す“高ストレス者”基準ではかなり大勢の高ストレス者が出てしまう、本当にケアは必要な方から順に面接指導を行いたいといったご要望のお応えできる仕様となっております。
 

一見わかりにくい判定は「心身の反応」に注目

弊社のストレスチェックをご利用になられた企業様の結果をチェックしていると、中には「評価が前後している」ようにみえる結果が産出されている場合があります。
ある人は厚生労働省の判定では「A」が出ているのに職場内では「★」、かたや「B★★」という判定が出ている人もいる。これはいったいどういうことでしょう。

これは、AltPaperストレスチェックキットの総合評価と相対評価の判定方法が「何を基準としているか」が異なるために起こるものです。
厚生労働省の基準(騒動評価)ではまず「心身のストレス反応」の有無を重要視して判定を行いますが、★★判定(相対評価)では「職場内全員の成績」を基準に評価を行っています。
そのため、
〇「心身のストレス反応が強い」A評価を貰っている人でも職場内で見れば★判定(職場内相対10~30%)
◇「心身のストレス反応はまだ出ていない」B判定の方でも★★判定(職場内では上位10%)
という結果が算出されることがありうるのです。
評価としては★判定・B判定でも、どちらも「何らかの健康リスクが高まっている」と考えられる状態です。なるべく早く医療ケアにコミットできるよう、会社として手を尽くしましょう。
  


高ストレス者の選定にあたっては上記のような調査票の回答結果に基づいた評価を行いますが、実施者もしくは保健師や産業カウンセラー、臨床心理士などの産業保健スタッフが労働者に面談を行い、その結果を参考として高ストレス者を選定する方法も考えられます。
このような場合は、面談結果を踏まえて実施者が最終的に判断する必要があります。
 
いずれの評価法においても「心身のストレス反応」に関する項目が重視されているので、この項目の点数が高い人に対しては普段から声掛けするなど、注意して対応するように心がけましょう。

また、ストレスチェックで高ストレスと判定された従業員に対しては医師による面接指導を受けることを勧奨し、個々の労働者が働きやすい職場環境になるようにしましょう。
 

初出:2017年11月22日 / 編集:2019年11月27日

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