【2021年版】今夏の「新型コロナ感染予防×熱中症対策」とは?新しい生活様式の予防行動

【2021年版】企業における熱中症対策とは?新しい生活様式の予防行動

8月に入り、いよいよ夏本番。
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、マスクとともに過ごす二度目の夏を迎えています。

熱中症対策、皆さまの職場はどうしていますか?
職場における熱中症により毎年約20人が亡くなり、約1,000人が4日以上仕事を休んでいます。炎天下やオフィス内での対策はもちろん、在宅ワークも例外ではありません。総務省消防庁によれば、2020年は熱中症の発生場所で最も多かったのは「住居」だったことから、在宅勤務時も十分な対策が求められます。

コロナ感染予防×熱中症予防。
熱中症警戒アラート」や「暑さ指数(WBGT)」を活用した職場の熱中症対策キャンペーンなど、今年は新しい取り組みも始まっています。
こちらの記事では、今、企業が知っておきたい熱中症対策について紹介していきます。
 

熱中症の危険度を示す「熱中症警戒アラート」とは?

最近、テレビなどのニュースで見聞きするようになった「熱中症警戒アラート」をご存じでしょうか?
 
令和3年4月より、新しく開始された熱中症予防に関する情報が「熱中症警戒アラート」です。実は昨年から試験的に導入されていましたが、今年は全国に拡大し本格的な運用を開始。環境省と気象庁が共同で、暑さへの気づきを呼びかけるために警戒情報を発表しています。
基準となるのは「暑さ指数(WBGT)」です。これは 「湿度」「日射・輻射などの熱環境」「気温」の3つを測って数値化し、熱中症に対する危険度を示します。人体と外気との熱のやり取りに着目した指標です。
この暑さ指数が、「33」以上になった場合に都道府県ごと(※北海道、鹿児島、沖縄は府県予報区単位)に分けた気象庁の府県予報区等単位で発表されます。
熱中症警戒アラートが発表されるのは、熱中症の危険性が極めて高いと予想される日の前日夕方、または、当日早朝です。アラートが発表された地域では、日頃から実施している熱中症対策を、普段以上に徹底することが必要です。
 
一般的なWBGTの数値とそれに対する注意事項は次の通りです。

WBGT注意事項
31℃以上外出はなるべく避け、涼しい室内に移動する
28〜31℃外出時は炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意する
25〜28℃運動や激しい作業をする際は定期的に十分な休息を取り入れる
25℃未満一般に危険性は少ないが、激しい運動や重労働時には発生する危険がある。
(参考:暑さ指数(WBGT)とは? 熱中症予防情報サイト|環境省)

 
※なお、WBGTの単位は「摂氏度(℃)」で表記されますが、その値は気温とは異なります。たとえばWBGTが31℃以上の場合、気温は35℃以上となっていることがほとんどです。また、WBGTの最高値と最低値は毎時間環境省によって発表されています。随時チェックしておきましょう。
 
そしてこのWBGTは、職場の熱中症対策にも重要になってきます。
 

万全ですか?職場の熱中症対策「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」 

次に紹介するのは、令和3年「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」です。

厚生労働省は労働災害防止団体などと連携して、5月から9月までキャンペーンを実施中。職場環境を整え、熱中症にかからないよう事業場への熱中症予防に関する周知・啓発を行っています。
令和3年度は、熱中症を発生させないために必要な「WBGT値の実測とその結果を踏まえた対策の実施」に加え、重症化させないために大切な「熱中症が疑われる場合における適切かつ速やかな対応」を重点的に呼びかけています。
 

■WBGT値の実測とその結果を踏まえた対策の実施

WBGT値を測るWBGT指数計は市販でも購入でき、職場に設置することで熱中症の危険度を可視化できます。共通の基準のもと、作業時間や休憩場所・時間、服装などを選択することで、発症予防につなげることができます。
 
また、同じWBGT値の作業環境でも、「きつい仕事をする方」「暑さに慣れていない人の方」が、熱中症にかかりやすくなるので注意が必要です。これをそれぞれ「身体作業強度(代謝率レベル)」と、「熱への順化」といい、その職場の危険度を示すWBGT基準値も変わってきます。つまり、「身体にかかる負担の大きい作業をする場合」とまだ「暑さに順化していない人」の場合は、WBGT 基準値を低く設定する必要がある、ということです。
さらに、着用する衣服の組み合わせによっても変わってくることから、各職場・作業場の環境に合わせて確認・対策が必要です。

 

■熱中症が疑われる場合における適切かつ速やかな対応

また、実際に熱中症が疑われるときの対応はとても重要です。
従業員の熱中症が疑われる場合に速やかに対処できるよう、応急処置の知識を身につけておきましょう。
現場で行える応急処置には以下のものがあります。

  • 涼しい場所へ移動させる
  • 衣服を脱がせて身体を冷やして体温を下げる
  • 塩分や水分を補給する
  • 意識がない場合はすぐに救急車を呼ぶ

救急車を待っている間にも現場で応急処置をすることで症状の悪化を防ぐことができます。
熱中症は命に関わる危険な症状なので、甘く判断せず、十分な予防と緊急時の対処が必要です。
 
また、職場内で熱中症に関する知識を高める研修や話し合いを行っておきましょう。熱中症は予防行動で発症リスクを軽減できます。

熱中症発症は在宅時に最も多い⁉注意喚起が必要!

熱中症は外出時やオフィスで起きやすいと思われがちですが、実際には在宅時でも多く発症します。
総務省消防庁によれば、2020年の熱中症発生場所は「住居(敷地内すべての場所を含む)」の割合が43.4%と最も多かったようです。一方で、2020年9月に行われた意識調査では、「在宅勤務時の熱中症リスクや対策について」気になったと回答した人は15.8%(日本気象協会推進「熱中症ゼロへ」プロジェクト調べ)でした。
 
このことから、在宅勤務についてはオフィスや炎天下などでの作業に比べて、リスクを軽視・油断しがちであることが分かります。 
一人ひとりの意識と対策も大切ですが、職場での周知も必要になってきます。

コロナ禍の熱中症対策:マスク着用はメリハリが大事!

昨年に引き続き、新型コロナウイルスの感染予防対策として「新しい生活様式」を取り入れた生活が求められています。その取り組みの一環としてマスク着用があります。

しかし、マスク着用によって熱中症のリスクが高まるおそれがあるため、十分な注意が必要です。
マスク着用時は、着用していない時と比べて血中の二酸化炭素濃度や心拍数が上がるため身体に負担がかかります。さらに、マスクを着けると皮膚からの熱が逃げにくくなり、気づかないうちに脱水になるなど体温調整がしづらくなります。また、のどの渇きに気づきにくくなるため、 意識して水分補給を行う必要があります。 のどが渇いていなくてもこまめな水分補給を行いましょう。
 
マスク着用時の熱中症対策のポイントは以下の6つです。

  • 屋外で人と2m以上離れている時はマスクを外す
  • のどが渇いていなくてもこまめに水分補給する
  • エアコンの使用中もこまめに換気する
  • 涼しい場所で過ごし、暑さを避ける
  • 無理のない範囲で適度に運動して体調管理する
  • 激しい運動は避ける

新型コロナウイルスの感染と熱中症を予防するためには、周囲の人との距離を十分に取れる場所でマスクを一時的にはずして休憩することが大切です。


 

熱中症予防×コロナ感染防止、職場でも在宅でも取り組みを!

昨年に引き続き、2021年の夏も熱中症予防と新型コロナウイルスの感染予防を同時に行っていく必要があります。
今回は、令和3年から新しく発表されている「熱中症警戒アラート」と、「暑さ指数(WBGT)」などを活用した職場の熱中症対策が求められる「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」をもとに、職場に求められる熱中症対策についてご紹介しました。
 
炎天下や屋外の作業だけでなく、在宅ワークでも熱中症に気を付けて対策をしていくことが大切です。
また、マスクの特性とリスクを知り、十分な距離の取れる場所では適宜外して休憩を取るなど「新しい生活様式」とうまく付き合いながら、無理をしすぎず厳しい暑さを乗り越えましょう。

 

〔参考文献・関連リンク〕

初出:2021年8月5日

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