「30日メンタルヘルスチャレンジ」でいきいきセルフケア

コロナブルーも撃退!「30日メンタルヘルスチャレンジ」でいきいきセルフケア

消毒やソーシャルディスタンスといった新しい生活習慣が常識として定着し、緊急事態宣言の解除や国交・輸出入の回復が次第にコロナ以前へと戻りつつあります。

ですが、「自粛が終わったら」と思っていた目標があるのに、やる気が出ない・なんとなくだるいと思っていませんか?

人間は「長期間にわたる努力」が生理的に苦手です。特に感染症が重篤化しやすい因子を持った方ご自身やそのような方がご家族・身近にいる皆さんは生死にかかわる恐怖が身近にいつもある状態です。

このような強いストレスが長期間続くと、環境に疲弊してしまい5月病のような症状が現れることがあります。新型コロナ感染症への対策に疲弊した時も同様に表れるこのような無気力感や症状は「コロナブルー」と呼ばれています。

コロナブルーへの対策のひとつとして、メンタルヘルス先進国のアメリカでは30日と期間を区切って行う「30日メンタルヘルスチャレンジ」が注目されています。
 

毎日がチャレンジ!
新しいセルフケア「30日メンタルセルフケアチャレンジ」とは?

この取り組みは、コロラド大学医学部に所属するアメリカ専門心理学士認定Dr.であるヘレン・L・クーンズ博士によって監修された「手軽にできる、メンタルケアのためのセルフチャレンジ」です。

健康維持のためにはまず現実的で達成可能な小さなゴールを設定することが有効です。
例えば『今週中に20キロダイエットする!』と決意しても、なかなかできるものではありません。ですが、『今日はクッキーを食べないでおこう』というような小さい目標なら達成できますよね。
メンタルヘルスでも同じことが言えます。

ヘレン・L・クーンズ博士 インタビュー(弊社訳)


ヘレン・L・クーンズ博士の言の通り、30日メンタルヘルスチャレンジでは4つの前提のもとに「ちょっとしたことを1日1回行うだけ」の取り組みとして構成され「飽きず、手軽に」続けられる工夫がされています。
内容も本当にちょっとした「気を付ければすぐにできること」ばかりです。

ひとつひとつ目標を達成することは、脳に「達成感」「自己コントロール感」を感じさせ活性化を促します。
チャレンジの中には「誰かをほめる」「コミュニケーションをとる」といった孤独感の解消につながる行動や「身だしなみを整える」「掃除をする」といった衛生的にプラスになること・物理的に体を動かしたり感覚を感じる行動も含みます。

これらの行動はオキシトシンやセロトニン、ドーパミンといった脳内ホルモンの分泌を促しメンタルや体内リズムの正常化に効果があると考えられます。
 

効果を出すためには「受け取る」心が大事
始める前の『4つのルール』

30日メンタルヘルスチャレンジでは、効果を出すための4つのルールがあります。
 

  1. 自分を大切にする
    チャレンジの中には「友達を誘う」など人に声をかけたりするものがあります。ですが、「自分勝手な行動をしているのでは?」と思わないでください。「自分がセルフケア(自分を大切にすること、良いこと)をすることは、友達にも良い影響がある」と、自分の行動を肯定しましょう。
    「自分のことを大切にしていると、他の人のためにより多くのエネルギーを得られるだけでなく、より不安なく集中できるようになる傾向があります」とクーンズ博士は述べています。
     
  2. 友達や家族、同僚と一緒にやってみましょう。
    仲間と一緒にチャレンジすると、より良い結果・より長い継続が期待できます。2人、3人、4人の友人のグループを作って、きちんと目的と目標を共有し一緒に楽しんでみましょう。
     
  3. できない日があっても気にしない
    忙しかったり内容によってはその日ではできない事もあります。「できなかったからチャレンジ失敗」とあきらめないでください。一日しか続かなくても、やらないよりは大きく改善されています、目標はチャレンジを完璧にこなすことではなくて「健康でいる」ことです。
      
  4. 30日チャレンジが終わった後も、「よかった」と感じられるものは継続する
    健康でいるためには、30日だけではなく「続ける」ことが重要です。1つや2つでもいいので、効果があったチャレンジを新たな習慣として生活に取り入れましょう。
     

やってみよう!30日メンタルヘルスチャレンジ

1~15日

  • 1日目. ゆっくり10から1まで数えながら深呼吸する。
    ミーティングの前やクルマの中、仕事を終えて家族やパートナーに会う前などに試してみてください。
     
  • 2日目. 仲のいい友達とオンラインやスマホで連絡する
    実はうつ病だけでなく、高血圧などもストレス反応のひとつ。家族や職場以外のつながりを見直しましょう。
     
  • 3日目. 楽しみな予定を立てる
    散歩や映画鑑賞、アフターコロナの旅行予定など「思い立ったらできる」楽しい予定を作ってみましょう。
     
  • 4日目. 使わないものを寄付する・手放す
    古着やもう使わないものを寄付してみましょう。最近では古本や電子機器なども寄付できる団体があります。
     
  • 5日目. 30分の有酸素運動をする
    ストレッチやヨガなど、体の筋肉をほぐし呼吸を整える有酸素運動は頭をスッキリさせてくれます。お仕事中でも気が付いたら取り組んでみましょう。

 

  • 6日目. 健康的な食事をつくる
    自分で食材を選んで、料理し、片付ける。料理は実は結構頭を使う行動です。「栄養バランスの整った食事」というと難しそうですが、朝ごはんやお弁当から始めてみては?
     
  • 7日目. 手伝ってもらえるか、頼んでみる
    一人でできてしまう事も、二人ならもっと効率的かもしれません。手伝ってもらえるか聞くだけでも、周囲とのコミュニケーションが変わります。 
     
  • 8日目. 大好きな気分が上がる曲を聞く
    聞くだけではなく声に出して歌えば、肺や呼吸器の運動にもなってさらに健康に。
     
  • 9日目. 何でもいいから10分間、読書の時間を取る
    漫画やエッセイや推理小説、どんな本でもいいので10分間の読書をしましょう。雑誌でも何でも、「文字を読む」習慣は頭を活性化します。
     
  • 10日目. 散歩に行く
    30分歩くと全身の血流が良くなり、ストレスホルモンレベルが下がり、気持ちが明るくなると言っています。もちろん、3密を避けた時間・場所を選びましょう。

  

  • 11日目. 「20分のグルーミング」をしましょう
    20分間のマッサージはちょっと、という方でも「歯磨きを5分する」「洗顔後に肌の手入れをする」といったことはできるのでは?
    自分をケアする時間は肌や全身の感覚に集中するため脳の刺激になります。また「表面的な話ではなく、自分の見た目に自信が持てると、幸福度がアップします」とクーンズ博士は言います。
     
  • 12日目. お気に入りの趣味をする
    ジョージ・ワシントン大学の研究によると、塗り絵や絵を描くような美術的なレクリエーションは、脳の回路を活性化させる血流が増加するそうです。脳のためにも創作活動や趣味を楽しみましょう。
     
  • 13日目.物語の世界に浸る
    ストーリーや物語は新たな視点を学べるとともに理解力の向上に役立ちます。映画や連続ドラマなどは区切りもつけやすいのでおすすめです。
     
  • 14日目. いつもより30分早く寝る
    ハーバード大学医学部睡眠医学科によると、十分な睡眠を得ることで脳は疲労物質を洗い流し、気分が良くなるだけでなく、記憶力や免疫力も高めるそうです。
     
  • 15日目. 炭酸飲料(清涼飲料水)やお酒の代わりに「水を飲む」
    エナジードリンクや清涼飲料水は高カロリーで元気が出ますが、栄養素としてはかなり偏っています。この日一日だけでも「お水」を意識的にとってみましょう。
     

15~30日

  • 16日目. ボードゲームで遊ぶ
    電源がいらないボードゲームやカードゲームは、手先の運動とともに相手とのコミュニケーションツールにもなります。トランプやウノだけでなく最近は様々な新しいゲームが出ているのでみんなで選んでみるのも楽しいですよ。
     
  • 17日目. 小さな目標を立てる
    この一週間以内でできる小さな目標を立ててみます。いま読んでいる本を読み切る・メールを返すなど、目標を決めたらカレンダーに印をつけてみましょう。
     
  • 18日目. ずるずると先延ばしにしていたことを片付ける
    「あれをしなきゃ、これをしなきゃ」と何カ月も思い続けているとその分脳は集中できなくなります。これを機に、ちょっとだけでも手を付けてみましょう。計画だけではなく実際に行動するのです。
     
  • 19日目. 誰かを褒める
    2015年に専門誌「NeuroImage」に発表された分析によると、誰かを「ほめる」という行為は自分がほめられたときと同じ脳の部分を活性化させると言われています。
     
  • 20日目. 友達と家(オンライン)で遊んでみる
    昨今ではzoom会議やSkypeを使ったオンラインミーティングが普及しつつあります。カメラや画像がなくても音声を共有し、おしゃべりするのも楽しいですよ。くつろげる格好で、時間を気にせずできるのも魅力です。

 

  • 21日目. 5分間瞑想する
    「座って目を閉じる」だけが瞑想の方法ではありません。「自分の体や手のひらの感覚、呼吸に集中する」「運動しながら自分の感じるもの・見ているものを無心で受け取る」といった様々な方法があります。調べてみましょう。
     
  • 22日目. 家族と顔を合わせて会話する
    LINEやメッセージアプリの普及で実際に合わなくてもやり取りできる時代ですが、いつも交わしている言葉でも顔を合わせて話すことでより相手の気持や変化に気が付くことができます。 
     
  • 23日目. 外に出かける・外気を感じる
    ベランダで日光浴、寝る前に月や星を眺めるのもいいですね。最近は「べランピング」等も流行しています。窓を開けて体操をするだけでも気持ちが切り替わりますよ。
     
  • 24日目. 誰かと一緒に素敵な時間を過ごす
    自宅で過ごすときも一緒に食事作りやDIYをしたり、お店のような内装・雰囲気づくりをしてみては? 
     
  • 25日目. SNSやオンラインで、自分と比較してしまうような情報を見るのをやめる
    キラキラと活動している人を見るとなんだか自分がちっぽけに思えてモヤモヤする……という経験はありますか?「自分の生活を大事にする」ためにもそのような情報から距離をとりましょう。

 

  • 26日目. 余計な仕事やいらない予定に「No」という
    今日のカレンダーやスケジュールを見直して、本当にその予定が「今日必要か?」再検討しましょう。なるべく一日の予定を減らして余裕を持つようにしましょう。
     
  • 27日目. 今夜は家でスマホを触らない
    液晶から発生するブルーライトは、睡眠の質を低下させるといわれています。スマホの電源を切って、読みかけの本を楽しんだり家族とボードゲームをしてみましょう。
     
  • 28日目. おもしろい動画や情報を探してみる
    笑えるような動画や実況、コンテンツを自分で探して人に勧めてみましょう。自分の好みや相手のツボを理解し、相手に届くようプレゼンするためにはコツが必要です。
     
  • 29日目. 今日あったいいことを書き出す
    ツイていない日でも、視点を変えれば何かしらよかったことや感謝できることが見つかるはずです、それを書いてみましょう。
     
  • 30日目. 新しい習慣を始める
    30日を振り返り、今までしたチャレンジの中で楽しかった・スッキリした・いいなと思えたことを見つけてみましょう。一つ二つでも。それを新しい習慣としてこれからも継続できますか?どうすれば継続できるでしょうか?
     

 
このチャレンジでは30日を一つの区切りとしていますが、気に入ったチャレンジや取組みを生活習慣として取り入れてみましょう。

また、メンタルヘルスに限らず様々なジャンルの「30日チャレンジ」がオンライン上に公開されています。30日メンタルヘルスチャレンジの次は、好きなものを選んで取り組んで見てもいいですね。

生活をより良い方向へ改善するためには、生活習慣を変えるところから。小さなチャレンジを積み重ねる練習を習慣にしてみてはいかがでしょうか。
 


30日チャレンジはあくまでもセルフケアです。

例えばチャレンジに取り組みたいのに意欲がわかない、取り組もうと決めたのに達成できないことが多すぎるといった方は疲れやストレスの影響がすでに出ている可能性があります。

その場合はチャレンジよりも、「休む」「医療ケアにつながる」等の回復するための療養が必要です。

「こんなこともできないなんて……」と落ち込むようなら、まずは心療内科・精神科・メンタルクリニックなどの専門医療機関へご相談ください。
 

( ※本記事は英文記事を日本語に翻訳する際、わかりやすくするために抄訳・意訳・追記を行っています。 )


〔参考文献・関連リンク〕

初出:2020年11月10日

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