新型コロナとインフルエンザ:「指定感染症」の気になる休業・就業対応をおさらい

   

新型コロナとインフルエンザ:「指定感染症」の気になる休業・就業対応をおさらい!

新型コロナウイルス感染症は現状、「指定感染症」扱いとなります
1/13追記

 

冬はなにかと“かかりやすい”季節。寒さ・日照時間の少なさ・空気の乾燥などが様々な感染症や体調不良の引き金になります。その中でも、毎年話題になるのがインフルエンザなどの【感染症】です。

身近な感染症は、流行している状況に慣れてしまうとつい「今年もか」「また流行るのか」と対応がなおざりになってしまいがちです。

しかし、今年の感染症は新型コロナウイルスと同時に流行することで「医療のひっ迫」を引き起こす可能性が懸念されているということを忘れてはいけません。

同じ呼吸器系の疾患を引き起こすものであれば、新型コロナ感染症との区別がつき難く、流行時期が重なることで疾病の特定や治療の開始が遅れる……といった危険性も。

医療に携わる方からも、ワクチン接種などの予防や対策の早期実施が求められています。

私たちの日常にある「感染症」の危険性を再確認していただくため、企業(事業主)側がとるべき「疾病対応」について解説します。
 

新型コロナは「指定感染症」!
『 感染症 』の危険度と基本対応は?

令和2年1月28日、厚労省から新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める旨の発表があったことは記憶に新しいかと思います。

感染症は、私たちを取り巻く環境の中にある微生物・ウイルス・寄生虫などが、体内に侵入することで引き起こされる疾患です。種類によっては症状が現れず、知らない間に保菌者(キャリア)となって感染を拡げる/致死性・拡散性が高く社会機能を脅かす可能性が高いものもあり、しばしば「どれほど患者の社会的な活動を制限するか」が問題になります。

現在の日本では、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」 によって、 症状の重さや病原体の感染力などから感染症を危険度別に一類~五類の5種の感染症と指定感染症、新感染症の7種類に分類しています。

各感染症ごとに対応内容は異なりますが、共通する内容としては以下の制限・対応が行われます。
 

***感染症への対応***

・医師が感染症の発生を確認した(患者を特定感染症だと診断した)場合、
 その発生や患者数を所定の様式を用いて保健所へ報告する

・知事が必要と認める時、患者の入院や就業・交通、移動・建物への立ち入りに制限を設ける
 (生活用水の利用制限や、ご遺体の移動なども含む)

・各感染症に適した方法を用いて、汚染物の破棄・生活環境などの消毒洗浄

・病原体の媒介源となるネズミや野鳥、昆虫の駆除


身近な感染症だと、インフルエンザは第五類・新型インフルエンザ等感染症相当、新型コロナは現在は指定感染症として1~3類と同等の対応が許可されています。

「SARS(重症急性呼吸器症候群)」や鳥インフルエンザ(H5N1)、新型インフルエンザなどの新たな感染症・移動手段の発達や保健医療を取り巻く環境の変化など、今後は行政・医療機関のみならず企業や個人も「罹患した方への人権配慮を合わせた感染症対策」が求められる時代がやってこようとしています。
 

インフルエンザと新型コロナは併発することも
重篤化リスクのある高齢者は要注意

指定感染症の中でも私たちが一番耳にするのが「インフルエンザ」ですね。

長崎大熱帯医学研究所の森田公一所長によれば、中国が2月に公開した調査結果から新型コロナ感染者が季節性インフルエンザにも同時に感染していた症例の報告があったといわれます。森田所長は同時に「(コロナとインフルは)全く違う病気なので、(中略)同時期に発症することはあり得る」ともコメントしています。

インフルエンザウイルスは一般的に鼻から喉まで(上気道)の感染が多く見られますが、新型コロナウイルスは肺にまで感染し肺炎を発症させるという研究報告が挙げられています。

厚生労働省も「全てを把握しているわけではないが、併発した症例があった」と公表しており、「インフルエンザと新型コロナウイルスによる感染は同時に起りえる」と考えて予防策をとるべきでしょう。

インフルエンザの予防方法と新型コロナウイルスの予防方法、ともに基本は【手洗い、アルコール消毒・マスク・3密(密集・密閉・密接)を避ける】です。

一旦流行が始まると短期間で大勢の人が感染リスクに曝されることからも、感染症の予防にはまず外出・接触の機会が多い社会で働く方々が「かからない」「広めない」対策が必要になります。
 

感染症対策は「休める環境」から

インフルエンザやコロナウイルスといった感染症予防は、回復後の就業にも影響します。企業としての対応・対策に気になるところはないでしょうか?

特に私たちに一番身近な指定感染症である「インフルエンザ」は感染のピークが「発症してから5日、解熱してから2日」とされています。従業員が罹患した際、病状や感染内容に応じた休業期間を設けている企業もあるようです。

職場に一度蔓延してしまえば人から部署へ、会社全体へと大きなダメージにつながる可能性がある感染症。通勤や就業を安全に行うために、企業が従業員へできることはなんでしょうか。
 

1. ワクチンの補助

ワクチンは、「打てばかからない」というわけではありません。

しかしウイルスに対する免疫を獲得し、発病割合を70〜90%減少・重症化して入院する割合を30〜70%減少する効果が認められています。

各種保険団体や市町村・都道府県は毎年各種ワクチンの接種にかかる費用に対し、補助や助成を行っています。

チケットの配布や領収書の提出等受け取り方法が自治体の制度や各健康保険団体によって異なること、また自治体によっては病院やクリニックの指定が行われている場合があるため事前に確認が必要です。

ワクチンやその他予防に必要な医療費の補助を、企業独自で福利厚生として行っていることも多いです。従業員の自己負担を減らし、気軽にワクチン接種を促すためにも「補助が受けられる」という情報を周知し、なるべく早めのワクチン接種を奨励しましょう。

※ワクチンはその方法上、以下に当てはまる方は接種ができないことがあります。
 ・既に発熱等の症状が見られる方
 ・免疫疾患等適しない疾患を持つ方
 ・鶏卵など使用される薬剤、素材に対してアレルギーのある方
 各種ワクチンの接種に関しては事前に医師の診断を受け、その判断に従ってください。
 

2. 休める職場作り

感染症の一番恐れるべき点は「人から人へ、動物から人へ感染し広がっていく力」です。

学校に通う小児であれば、各感s燃焼ごとに法律で出席停止期間など対応が定められています。

第五感染症に指定されている、インフルエンザを例に見てみましょう。

インフルエンザでは、罹患発症後の学校出席について法律で以下のように制限されています。
 

発症した後5日を経過し,かつ,解熱した後2日(幼児にあっては,3日)を経過するまで

出典:学校保健安全法施行規則
 

 
成人にはインフルエンザと診断されてから出勤再開するまでの期間に関して特に定めるような法律はありませんが、慣例的に企業でも学校保健安全法に準ずる措置をとる企業も多く、業務上可能であれば発症した日の翌日から7日を経過するまで外出を自粛することが望ましいとされています。

感染症全般に言えることですが、たとえ症状がなくなっている状態でもウイルスを排出している=他の人にウイルスを感染させてしまう可能性があるため、感染症に罹患したら外出・就労の際は医師や専門家の判断を仰ぐことが必要です。
 

★感染症の治癒証明書は必要?

診断や治癒の判断は、診察に当たった医師が患者の症状や検査結果など情報を総合的にみて医学的知見に基づき判断するものです。

症状が治まっているように見えてもその陰性を証明することが困難であること、医療機関に過剰な負担をかける可能性があることから、 厚生労働省は法令で定める対応以外で、職場が従業員に対して「治癒証明書や陰性証明書の提出を求めることは望ましくない」とされています。

公衆衛生に深刻な影響を与えるような感染症であれば、各都道府県知事が定める就業制限が課せられます。就業の許可が出るまで、検査・医療指示に従って充分な療養をとり、回復に勤めましょう。

インフルエンザなどは法律で指定された感染症ですが、その療養や休業は「体調が悪ければ休む」「復帰は医師の判断に従う」という一般的な考え・判断に従えば十分と考えられます。
 

★子供が感染症になった!
 保護者の「看護休暇」は法律で定める制度です

多くのお子さんや幼児が集まる学校や保育園は、感染拡大を引き起こしてしまう事があります。

そのため、「学校保健安全法施行規則」の規定により、法令で定める期間、学校・幼稚園・保育園に通うことはできません。
また、感染拡大を防ぐために、各都道府県では学級閉鎖の基準を設け感染するリスクから子供たちを守る対策を講じています。

就労において、お子さんやご家族が感染症にかかってしまった場合、感染症ごとに定められた就労制限・医師からの意見書に従うことが重要になります。
インフルエンザなどであれば、家族が罹患しても本人に症状がなければ就労に制限などを設けなくても問題ないとされてます。

しかし、お子さん自身が感染症にかかっていなくても、学校や保育園が急に学級閉鎖・休校になるなど、お子さんのいる従業員は急な対応を迫られることもあるでしょう。

看護休暇・介護休暇は介護休業法に定められた休暇規定のひとつですので、利用の周知や取得しやすいよう規定を見直してみましょう。

子の看護休暇を欠勤扱いにするかどうかは、企業の裁量に任された範囲とはいえ、育児・介護休業法では、子の看護休暇の取得によって従業員に不利益が発生することを禁じています。

欠勤(無給)とする場合でも、「通常の欠勤」とは別とし、人事評価等で不利益となるようなことがないように扱う配慮が求められます。 また、共働きのご家庭などで発熱などの症状がある・持病を抱えるお子さんを抱える親御さんは、「病児保育」を利用するといった方法もあります。

「病児保育」とは、保育士・看護師が病気にかかったお子さんの病状をケアしながら保育する施設・サービスの総称です。

対象年齢や対応症状は各サービスによりますが、小児科クリニックなどに併設されている施設型のものが多いです。

いざという時のために一度検索してみてはいかがでしょうか?
 


毎年流行するインフルエンザは、今期はコロナウイルスの感染対策によって感染者数が格段に低下していることが報告されています。

共通して効果のある【手洗い・マスク・アルコール消毒】と【3密を避けたソーシャルディスタンス】は今後も感染対策の基本としてこの流行が収まった後も継続すべき習慣です。

予防方法とともに、発症した際の対応方法の周知は十分ですか?

発熱などの疑わしい症状がある場合、「まず電話で確認と診療の予約を行ってから病院に行く」よう従業員全体に伝えましょう。

感染しない、人に感染させないコミュニケーションを続け、健康的に冬を乗り越えましょう!
 

〔参考文献・関連リンク〕

初出:2020年11月12日 / 編集:2021年01月13日

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