新型コロナとインフルエンザ:ツインデミックに要警戒?!今年のワクチン接種は重要です

   

新型コロナと季節性インフルエンザのツインデミックも?! 今年のワクチン接種は重要です

冬はなにかと“かかりやすい”季節。寒さ・日照時間の少なさ・空気の乾燥などが様々な感染症や体調不良の引き金になります。

その中でも毎年話題になるのが【インフルエンザ】ですね。

身近な感染症であり毎年流行している状況に慣れてしまうとつい「今年もか」「また流行るのか」と対応がなおざりになってしまいがちです。

しかし、今年のインフルエンザは新型コロナウイルスと同時に流行する「ツインデミック」の可能性が懸念されているということを忘れてはいけません。

同じ呼吸器系の疾患を引き起こすので区別がつき難く、流行時期が重なることで疾病の特定や治療の開始が遅れる……医療機関のパンクが想定される……といった危険性も。

医療に携わる方からも、ワクチン接種などの予防や対策の早期実施が求められています。

インフルエンザの危険性を再確認するとともに、企業の気になる「疾病対応」を解説しました。
 

インフルエンザは「指定感染症」!
重篤化リスクのある高齢者は要注意

インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することで発症する「感染症」です。

症状としては突然現れる高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛など短期間で全身に強い症状が現れることが特徴で、通常の風邪に近いのどの痛み、鼻汁、咳といった呼吸器の症状が併発します。

インフルエンザは高齢者、呼吸器や心臓などに慢性の病気を持つ方にとって脅威となりうる感染症です。
持病の悪化や気管支炎、肺炎といった致命的な病気へ移行するきっかけにつながることがあります。
また幼児~小児ではまれにその高熱から中耳炎、熱性けいれん、急性脳症などを起こしてしまうケースが見られます。

このようなインフルエンザの引き起こす合併症の危険性・致死性を鑑み、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律ではインフルエンザを「第五類感染症」として医療機関や保健所で感染者数の報告・管理を行うよう定めています。

「インフルエンザは危険性の高いもの」としてしっかり予防して罹患しないように気をつけるとともに、インフルエンザが疑われる症状が出た時はできるだけ速やかに医療機関で診察を受け回復に勤めましょう。

一年中罹患する可能性の高い普通のかぜとは異なり、例年11月後半~3月がインフルエンザの流行シーズンです。特に平均湿度が50%を下回るようになると感染者が増加しはじめます。

一旦流行が始まると短期間で大勢の人が感染リスクに曝されることからも、インフルエンザの予防にはまず外出・接触の機会が多い社会で働く方々が「かからない」「広めない」対策が必要になります。
 

インフルエンザと新型コロナは併発することも

長崎大熱帯医学研究所の森田公一所長によれば、中国が2月に公開した調査結果から新型コロナ感染者が季節性インフルエンザにも同時に感染していた症例の報告があったといわれます。森田所長は同時に「(コロナとインフルは)全く違う病気なので、(中略)同時期に発症することはあり得る」ともコメントしています。

インフルエンザウイルスは一般的に鼻から喉まで(上気道)の感染が多く見られますが、新型コロナウイルスは肺にまで感染し肺炎を発症させるという研究報告が挙げられています。

厚生労働省も「全てを把握しているわけではないが、併発した症例があった」と公表しており、「インフルエンザと新型コロナウイルスによる感染は同時に起りえる」と考えて予防策をとるべきでしょう。

インフルエンザの予防方法と新型コロナウイルスの予防方法、ともに基本は【手洗い、アルコール消毒・マスク・3密(密集・密閉・密接)を避ける】です。

自分だけでなく家族や一緒に働くメンバーを症状の重篤化や長期化といった深刻な事態から守るために、これまで以上に新しい生活様式を行っていきましょう。
 

企業にできるインフルエンザ対策とは?

インフルエンザやコロナウイルスといった感染予防は、回復後の就業にも影響します。企業としても対応・対策に気になるところはないでしょうか?

特にインフルエンザは感染のピークが「発症してから5日、解熱してから2日」とされています。従業員が罹患した際、休業期間を設けている企業もあるようです。

職場に一度蔓延してしまえば人から部署へ、会社全体へと大きなダメージにつながる可能性がある感染症。通勤や就業を安全に行うために、企業が従業員へできることはなんでしょうか。
 

1. ワクチンの補助

インフルエンザのワクチンは、「打てばかからない」というわけではありませんがウイルスに対する免疫を獲得し、発病割合を70〜90%減少・重症化して入院する割合を30〜70%減少する効果が認められています。

2020年、厚生労働省は過去5年で最大量(最大約6300万人分)のワクチン供給を予定しています。ワクチン接種が開始されるのは2020年10月1日からです。

各種保険団体や市町村・都道府県は毎年インフルエンザワクチンの接種にかかる費用に対し、補助や助成を行っています。
チケットの配布や領収書の提出等受け取り方法が自治体の制度や各健康保険団体によって異なること、また自治体によっては病院やクリニックの指定が行われている場合があるため事前に確認が必要です。

インフルエンザワクチンの補助は企業独自で福利厚生として行っていることも多いです。
従業員の自己負担を減らし、気軽にワクチン接種を促すためにも「補助が受けられる」という情報を周知し、なるべく早めのワクチン接種を奨励しましょう。

※インフルエンザワクチンはその方法上、以下に当てはまる方は接種ができないことがあります。
 ・既に発熱等の症状が見られる方
 ・免疫疾患等適しない疾患を持つ方
 ・鶏卵など使用される薬剤、素材に対してアレルギーのある方
 ワクチンの接種に関しては事前に医師の診断を受け、その判断に従ってください。
 

2. 休める職場作り

インフルエンザの一番恐れるべき点は「感染力」です。

学校に通う小児であれば、法律で以下のように出席停止期間が定められています。
 

発症した後5日を経過し,かつ,解熱した後2日(幼児にあっては,3日)を経過するまで

出典:学校保健安全法施行規則
 

 
成人にはインフルエンザと診断されてから出勤再開するまでの期間に関して特に定めるような法律はありません。

ですが、たとえ発熱等の症状がなくなっている状態でも鼻やのどからウイルスを排出している=他の人にウイルスを感染させてしまう可能性があるため、外出・就労には注意が必要です。

慣例的に企業でも学校保健安全法に準ずる措置をとる企業も多く、業務上可能であれば発症した日の翌日から7日を経過するまで外出を自粛することが望ましいでしょう。
 

★インフルエンザの治癒証明書は必要?

診断や治癒の判断は、診察に当たった医師が患者の症状や検査結果など情報を総合的にみて医学的知見に基づき判断するものです。

インフルエンザの症状が治まっているように見えてもその陰性を証明することが困難であること、医療機関に過剰な負担をかける可能性があることから、厚生労働省は職場が従業員に対して「治癒証明書や陰性証明書の提出を求めることは望ましくない」とされています。

インフルエンザは法律で指定された感染症でありますが、その療養や休業は「体調が悪ければ休む」「復帰は医師の判断に従う」という一般的な考え・判断に従えば十分と考えられます。
 

★子供がインフルエンザになった!
 保護者の「看護休暇」は法律で定める制度です

多くのお子さんや幼児が集まる学校や保育園は、インフルエンザの感染拡大を引き起こしてしまう事があります。そのため、「学校保健安全法施行規則」の規定により、小児がインフルエンザを発症した場合最低5日間(かつ、小学生以上は熱が下がってから2日間、幼児は3日間)、学校・幼稚園・保育園に通うことはできません。

また、感染拡大を防ぐために、各都道府県では学級閉鎖の基準を設け感染するリスクから子供たちを守る対策を講じています。

就労において、お子さんやご家族がインフルエンザにかかってしまったとしても、その親や他のご家族本人に症状がなければ医学的・法律的に出勤を控える必要は基本的にないといわれています。

しかし、お子さん自身がインフルエンザにかかっていなくても、学校や保育園が急に学級閉鎖・休校になるなど、お子さんのいる従業員は急な対応を迫られることもあるでしょう。
看護休暇・介護休暇は介護休業法に定められた休暇規定のひとつですので、利用の周知や取得しやすいよう規定を見直してみましょう。

子の看護休暇を欠勤扱いにするかどうかは、企業の裁量に任された範囲とはいえ、育児・介護休業法では、子の看護休暇の取得によって従業員に不利益が発生することを禁じています。

欠勤(無給)とする場合でも、「通常の欠勤」とは別とし、人事評価等で不利益となるようなことがないように扱う配慮が求められます。
また、共働きのご家庭などで発熱などの症状がある・持病を抱えるお子さんを抱える親御さんは、「病児保育」を利用するといった方法もあります。

「病児保育」とは、保育士・看護師が病気にかかったお子さんの病状をケアしながら保育する施設・サービスの総称です。対象年齢や対応症状は各サービスによりますが、小児科クリニックなどに併設されている施設型のものが多いです。いざという時のために一度検索してみては?
 


毎年流行するインフルエンザですが、実はコロナウイルスの感染対策によって感染者数は格段に低下しています。

共通して効果のある【手洗い・マスク・アルコール消毒】と【3密を避けたソーシャルディスタンス】は今後も感染対策の基本としてこの流行が収まった後も継続すべき習慣です。

予防方法とともに、発症した際の対応方法の周知は十分ですか?

発熱などの疑わしい症状がある場合、「まず電話で確認と診療の予約を行ってから病院に行く」よう従業員全体に伝えましょう。

感染しない、人に感染させないコミュニケーションを続け、健康的に冬を乗り越えましょう!
 

〔参考文献・関連リンク〕

初出:2020年11月12日

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