宴会・イベントで起きがちなハラスメントに要注意:シーンで学ぶハラスメント対策

シーンで学ぶハラスメント① 気を付けたい《宴会・イベント》で起こしがちなハラスメントポイント

クリスマス・仕事納め・年始のご挨拶……年末年始はイベントが続く季節です。

忘年会・新年会など大人数で集まる宴会は今年もまだまだ見送る方も多いと思われますが、これまで自粛していた対面での食事や付き合いは、少しずつ再開しているかもしれません。
 
以前のように気軽に飲み会や集まってお話をすることができなくなった今こそ、「いままでの飲み会」や「職場外のコミュニケーション」を客観的に見直すタイミングです。

特に「飲み会」「忘年会や歓送迎会」といった職場の仲間と過ごすお酒の席でのハラスメントは、報告数も多いけれど「職場外のことだから……」「ちょっとしたやりとりだし……」と注意がしにくいものです。

お酒とお付き合いをする機会が増える年末年始、職場の仲間とのコミュニケーションもまずは自分から変えてみませんか?
 

あなたはやっていませんか?
ハラスメントにつながりがちな【飲み会仕草】チェック

CHECK①
【強制】はハラスメントの種!
見えない「NOの言いにくさ」に注意

食事や飲酒の場を共にする・イベントに参加することの目的は、「親睦を深める」ことです。そのためには、参加する人が「安心して」参加できることが求められます。

安心感は日頃の「配慮」の積み重ねから生まれます。
以下の3つのチェックポイント、うっかりやっていませんか?
 

☆飲酒の無理強いは絶対にやめましょう!
 既に【アルコールハラスメント】という言葉が広まっていますが、今一度「 飲酒の無理強いはハラスメント 」であることを参加者に確認しましょう。

 たとえ進められた側がきちんと断っても、飲酒の強要は罪に問われるようなれっきとしたハラスメントです。また、もし強要された側がアルコールにアレルギーがあったり、酔いつぶれてしまったときには傷害にあたる可能性も。

 乾杯やイベントを楽しむためには、必ずしもお酒が必要なわけではありません。 

 

☆参加・不参加を聞くときに「理由」は必要ありません
 出欠の連絡はお店の予約などもありますから、確定した情報が欲しいもの。

 ですが、「欠席の理由」は人数や予算を決めるのに必要でしょうか?

 本人が言わないときは周囲も追及しない・普段の会話上でちょっと聞く程度でとどめるくらいが十分なのです。特にインフルエンザやコロナウイルスの流行に注意が必要とされる昨今、「ご家族や身近な人を守る」という選択肢をとる方へも配慮を。 

 

☆「~~だから」は本当?口に出す前に考えよう
 「男だから、一気!一気!」「女性は、料理のとりわけして・お酌して」
 「新人社員は宴会芸をして場を盛り上げるのが当然。しなきゃ協調性がない」

 これらは本当に当然なのでしょうか?「希望者が行う」ではいけませんか?
 就業後のイベントではその場の雰囲気を盛り上げる役や、夜道の送迎が時として必要になります。ですが、その役割を強制する・当然のものとして押し付けるのは必要性とはまた別の問題です。

 特に「男性だから」「女性だから」という区分で決めつけてしまうのは、ジェンダーハラスメントにもつながります。 

 
「強制」を防ぐ一番いい方法は、相手に「NOがいえる」という信頼を持ってもらうことです。

欠席の理由を言わなきゃ・○○しなきゃと思う時、そこには本人も自覚していない「NOの言いにくさ」があります。NOがいえる空気は、仕事中だけでなくそれこそ仕事外のちょっとしたことから培われるもの。

コロナ禍で会食や宴会の制限がある今こそ、「イベントを行う必要性・意味」や「仕事外でのコミュニケーション」を見直してみませんか。
 

CHECK②
理由や事情を【詮索】していませんか?
席も会話も「距離感」が大事です。

学生の頃の思い出話や趣味・ものの好み等は盛り上がる話題ですよね。思いもよらない人と出身地が同じで懐かしい話に花が咲く機会もあるでしょう。

ですが、イベントや飲み会の席で「本人から話し出さないプライベートな話」を
しつこく話題にするのは相手にも、周囲の方々にも迷惑です。


よくやってしまいがちですが、年齢や家族構成、彼氏(彼女)の有無や異性経験などはその人のプライベートに深く関わるデリケートな話題です。皆が知っているとしても職場内での関係性や身体的特徴をネタとして茶化すのは、聞いていて気持ちのいいものではないことだという認識を改めて持ちましょう。

リモート飲み会などを行ったときも例外ではありません。

相手の背景に部屋や家の様子が映りこんでいる時なども、気になっても触れない・相手が話すまで話題にしない・しつこく尋ねないの3つはマナーです。

お酒や盛り上がった雰囲気では気持ちも開放的になりますが、同じ場にいても自分とお話している相手が同じ気持ちにあるかどうか、どれくらい話していいと思っているかは全く異なります。

下ネタや人を選ぶような話題は、【 相手が「聞きたくない」と思っている 】可能性を忘れないでください。

また、宴席ではオフィスとは違って知らずしらず体が触れ合ってしまう事も。人間のパーソナルスペースは親しい友人で45~120㎝ / 上司や同僚などの社会的な関係性にある人では120~360㎝とされています。ボディタッチやスキンシップを許せる箇所はその人との関係性にかなり左右されることがスウェーデン大学の研究より判明しています。

基本的に触れて嫌悪感を感じにくいのは「手から肘まで」、もちろん意図的に触るのは体のどの部分でも / 同性間でもNGです。

「職場の交流」としてのイベントであれば、そこに参加するあなたも社会人としてのふるまいを求められています。その後の職場での関係性にも影響しますので、ふさわしい節度と距離感は忘れないようにしましょう。
 

CHECK③
不用意な「情報の共有」はNG!

必ず本人に「伝えていいか」確認を

幹事の方はお店の準備や各人への連絡等、気をつかうタスクが多いですよね。

集まるメンバーによっては部署をまたいだり、様々な年代の方へ連絡しなければならないこともあるでしょう。

食材やアルコールのアレルギーの有無や、宴会への欠席理由でその人のご家庭の様子をうかがうこともあるかもしれません。

ですが、連絡先やそのほか身体・家庭に関わる情報は、会社外でも守るべき「個人情報」です。本人の了承がなければ、情報を知っていても他の人へ情報を伝えてはいけません。

幹事をしているときは、あなたは「情報管理者」です。

「○○さん気になっていて、連絡とりたいんだけど」
「××さんを送ってくるから住所教えて」
「▼▼さん欠席?なんで?」

といった問いかけをされても、答える前に《本当に話していいのか?》《本人から確認は取ったか?》を自分に問いかけてみてください。
 


イベントだけでなく、就業時間外のコミュニケーションに参加することが業務上の評価に関わる場合は「賃金の発生する勤務時間」として取り扱われる・考えられるべき時間となります。

また飲酒などでハラスメント・怪我や傷病が発生した場合も、会社として参加を求めていた・断れない状況であれば労災認定・加害者は懲戒の対象にもなりえます。

年末年始などお酒との付き合いも多くなる季節ではありますが、楽しく過ごす時間でも社会人として仲間への礼儀や思いやりは大切にしたいものですね。
 

初出:2020年12月09日

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