ワクチン接種における企業の対応・対策を考える:企業の新型コロナ対策

新型コロナワクチン接種が本格的始動!副反応を踏まえた企業の「ワクチン休暇」対応・対策、どう考える?

新型コロナウイルスワクチンの「職域接種」がスタートし、職場・大学等でも本格的にワクチン接種が企画できるようになりましたね。

現状では職域・大規模接種の新規申請受付を一時停止となるも、

医療従事者・高齢者から順次開始された新型コロナワクチン接種ですが、接種者のデータが集まるにつれ副反応などの「これから接種をする人」が注意すべき点が明らかになってきました。
中にはいち早くこれらの注意点をカバーする「ワクチン休暇」制度に取り組む企業のプレスリリースやニュース報道などを目にされている方もいらっしゃるかと思われます。

今回は、従業員のワクチン接種に向けた取り組みを検討されている人事担当の皆さまが気になる「ワクチン休暇」の情報についてまとめてみました。
 

企業は「ワクチン休暇制度」を作るメリットや、休暇以外にどのような対応が必要?

ワクチンの接種に対して企業が休暇付与など特別な対応を行うメリットとして、何が考えられるでしょうか。
 

1. 副反応への対応を定めることで、従業員が安心して接種できる・接種希望が出せる

新型コロナワクチンは、接種後1日をピークに、注射した部分の痛み・疲労・頭痛・筋肉や関節の痛み、発熱等の風邪様症状のような好ましくない反応(副反応)が出る可能性が報告されています。

特に有効性を高める2回目の接種後、発熱など就業に支障があるような副反応が発生した接種者は全体の4割以上。発熱などの症状が最も見られたのは20代だったという報告が上がっています。20代・30代のスタッフの半分が「接種後2日は体調不良」という可能性は考えておくべきでしょう。

従業員の健康や、プレゼンティズム(体調が悪い状態で就業することによる効率・コスト・リスクの問題)を考えると、「ワクチン接種で副反応が出る」ことを前提にした事前の体制づくりや臨時の制度化が必要と言えます。
 

発現割合接種後の症状
1回目2回目
50%以上接種部位の痛みや腫れ、発赤、関節や筋肉の痛み発熱(37.5℃以上)、全身倦怠感、疲労感
10~50%頭痛、ほてり風邪様症状(節々の痛み・悪寒)、頭痛
1~10%発熱(37.5℃以上)、吐き気・嘔吐など、鼻水接種部位の痛みや腫れ、鼻水

※厚生労働省 / 順天堂大学 コロナワクチン研究事務局「新型コロナワクチンの投与開始初期の重点的調査(コホート調査)」資料をもとに、情報基盤開発で作表
 

2回目のワクチン接種後、高い発熱や風邪様症状が見られるケースが多いという報告も
2回目のワクチン接種後、高い発熱や風邪様症状が見られるケースが多いという報告も
 

 

2. 接種場所・時間を分散させ、スムーズで安全な接種にする

現行のワクチン接種状況を考慮すると、職場出勤で業務に従事する方々は勤務時間中に「指定された特設の接種会場に足を運んでワクチン接種を受ける」状況がしばらくは続くものと思われます。

その一方、自治体によって状況は異なるものの、年齢層ごとに順次発送となる接種券が20~30代の方々に行き渡り始め、新型コロナワクチン接種もインフルエンザ予防接種のように「平日(日中)」や「土曜診療時」に「一般的な医療機関で接種を受ける」状態に転じている地域もあるようです。

その場合、週末や勤務時間前後の早朝・夕方に会社付近の接種会場や医療機関に人員が集中し、感染予防のために接種がスムーズに進まないといった事態や、接種会場での感染リスクなども想定されることになります。

ワクチン休暇や業務時間の配慮があれば、接種会場・人数を分散させることができ、三密を避けたよりスムーズで安全な接種が見込めます。
 


接種を希望する従業員の方々が、少しでもスムーズに接種を受けることができる体制確保のための「ワクチン休暇」ですが、その制度を設けている企業の発表を見ると、多くは通常の年次有給休暇とは別に「特別休暇」として日程を設けているようです。

原則として“従業員が好きなときに取得できる「有給休暇」”は、労働者にとっての「休む権利」。ワクチンの接種や、その後の体調不良に対する使用を強要されることに抵抗感を覚える方も少なくないと考えます。

つらい身体症状が出ている従業員は「休んでもらう」ことが望ましいですが、経済的・業務的な観点から「自主的に休む」と言い出しにくいことも踏まえ、企業として対応を考えるのも福利厚生の一環と言えるでしょう。

令和3年5月末時点では、コロナワクチン接種は「受けるように努める(予防接種法8条、9条)」とされています。つまり、企業としては「なるべく受けてほしい」と考えても、「安全・安心な職場環境の整備」という観点があっても、企業側からの業務命令として従業員にワクチン接種を課すことは難しいものにあたります。

ワクチン接種の勧奨という意味において、休める制度を作るだけにとどまらず、制度を利用しやすい環境に整えずして、従業員が安心して「ワクチン接種を受けやすい仕組み」づくりを手掛けたことになり得ないのではないでしょうか。

(1)接種を終えた直後~2日後の従業員のスケジュールに重要な仕事を入れない
(2)同じ部署の社員が同日に接種するなど、お休みが重複することがないように調整する

制度として休暇を設けると、上記2点について事前に接種スケジュールが調整しやすくなるといったメリットも。
 

「ワクチン休暇」は『使いやすさ』と『フレキシブルさ』が肝心

従業員が安心してワクチン接種できる・接種希望が出せる環境づくりが求められています
安心してワクチン接種できる体制・環境づくりに取り組む企業の声が徐々に増えているようです
 

ワクチン接種に関する休暇は「接種にかかる対応」と「副反応に対する休暇」の2軸に分けて、取得の申請方法や休み方を検討することでより使いやすい制度にすることができます。

接種自体の所要時間は「会場に向かう交通時間+接種の手続き+接種+接種後の待機時間(多くは30分)」で終了します。接種会場の距離・混雑具合にもよりますが、3~4時間程度でしょうか。

休暇の取得を全日に限ることなく、午後半休・時間単位年休とフレキシブルにするだけでも、申請へのハードルはぐんと下がります。業務量や本人の体調によっては、「接種に必要な時間を勤務時間として扱う」対応も考慮に入れてみてはいかがでしょう。

勤務時間中のワクチン接種を「就業扱い」にすると公表した企業も散見されます。他にも、従業員のご家族がワクチン接種を受けることに配慮することで、より一層のワクチン接種勧奨を行っている企業もあるようです。

接種を受ける際の付き添いや副反応が出た場合の看護でも、一日単位の特別休暇または通常の家族の体調不良による介護休暇として、通常の欠勤とは区別して取り扱う対応が良いかと考えられます。

制度を新設する・今ある制度を応用して対応する場合は、持病など様々な理由からワクチンを受けられない方や、経済的な事情を抱え休みたくないと考える方も安心して利用ができるよう“幅を持たせる”ことを心掛けましょう。

社内のだれもが利用できる制度である程、利用率の向上・周知普及の促進効果が期待できます。
 

広がる「ワクチン接種支援」の最新情報をチェック!

ワクチン接種は、なるべく早急に・多くの人に打ってもらうことで「集団免疫」の獲得(多数の人々が免疫がある状態を形成することで、感染の連鎖・拡大を阻止しワクチンを打てない人も安全に暮らせる環境になる効果)が期待できます。

各自治体もとっても、「ワクチン接種の奨励」は地域に暮らす人々を守る重要なもの。組織や企業のワクチン接種をサポートする制度や助成金を企画する動きが今後、全国的に広がっていくことが期待されます。
 

山梨県では「副反応休業助成金」を創設

全国の自治体の中で、 いち早く山梨県が【 新型コロナウイルスワクチン副反応休業助成金 】を創設しました。

この助成金は「ワクチンの副反応による休業」に対応するため、
・山梨県内でワクチン接種を受け、副反応と思われる症状により休業した
・休業中給与や休業手当等公的な給付金が得られない労働者、個人事業主
を対象に、連続した2日間を対象に【 1日 4千円 】を支給する制度です。

6月からオンライン・郵送で申請受付を開始し、令和4年3月31日(木曜日)が申請書類提出の締切となっています。
 

山梨県:新型コロナウイルスワクチン副反応休業助成金
山梨県:新型コロナウイルスワクチン副反応休業助成金
 

現在のところ、山形県のように一部の自治体・地域による独自の取り組みに過ぎませんが、職域接種の今後の広まりに伴って「ワクチン接種を勧奨する企業」に向けた支援取組みの拡大が全国の自治体で検討されるのではないでしょうか。
 

 

「ワクチン接種」促進は【企業の未来】にプラス

ワクチンの接種は感染予防・重症化予防の観点からみても重要です。

今後「接種率の高さ」が、イコールで「安心できる職場」、または一緒に働く仲間との関係性や就業効率、ひいては業界・企業の業績に絡んでくる未来もそうまちがいではないように思われます。

「ワクチン休暇」や副反応への対応・補助は従業員の「接種したい」をサポートする第一歩として、大手企業だけでなく様々な中小企業で取り組みの工夫が始まりつつあります。

すでにある制度や福利厚生を活かしながら、足りない部分を補えるサポートとは何か。実際に接種するとなるとどのようなことが起きるのか。今後も正しいデータや報告を元に対応策を考え続ける姿勢が、価値観が変容したニューノーマルの時代において“これからの企業のあるべき姿”として求められているようにも感じます。
 

〔 参考文献・関連リンク〕

初出:2021年06月22日 / 編集:2021年07月05日

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