労働時間とストレスの関係

日本人の労働環境の変化

厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によれば、平均月間総労働時間数は1960年頃をピークに減少し続け、 2019年には所定内労働時間は平均160時間を切っています。(※160時間=1日8時間労働時の月想定労働時間)

かつて「働き蜂」とまで呼ばれた日本人の労働時間は年間2,100時間にものぼりましたが、 それから比べると格段の短縮・効率化が見られています、 政府の提唱する「生産性向上」が浸透してきたと言えるでしょう。

しかし、所定外労働時間は業種・職種・働き方により大きなばらつきがあるとはいえ、全体的に労働時間短縮率の「停滞」が見られました。

本年度の労働時間数、特に残業時間の減少に貢献した要因として、本年度実施された「働き方改革」が挙げられます。

残業時間の規制や有給休暇の取得を義務化した法律によって、労働時間短縮に重要とされた「労働時間の正確な記録・管理」 と法律順守の徹底が結果に影響したのではないでしょうか。「働き方改革」が長時間労働を重要視した法策ですので、 一定の、狙い通りの効果を出せたともいえるでしょう。

ですが、人材派遣業・「24時間勤務」「即日配達」などユーザー重視のサービスの普及などの要因により、 建設業や製造業といったメーカーや運送・通信等の配送インフラを支える業界、飲食や小売りなどの第3次産業では依然として比較的多い残業時間がみられました。

また、業務の増加に対する人手不足の深刻化や、人件費削減のため非正規雇用が一般化したことによって減少した正社員登用数の回復も遅く、 労働者を取り巻く環境にはいまだ「安定した雇用」が求められています。
 

労働時間とストレスの関連性

労働時間や労働条件とストレスの関連性については、さまざまな調査を通じて密接な関係にあるという結果が出ています。

特に労働時間は業務的的な負荷だけではなく、健康を支える日常生活も圧迫し健康問題へ発展する可能性が強くあります。厚労省発表の「過労死等防止啓発パンフレット」では週労働時間45時間を最低ラインとし、 それより上回れば上回るほど健康に問題が生じる確率が増加すると示されています。

労働時間が80時間を超える状態が1月以上続く場合、そのリスクは2倍以上になるとも。

平成30年度版過労死等防止対策白書では、働いている日本人の半数以上が仕事に対するストレスを感じており、 ストレスを感じる割合が最も高いのが「仕事の量や質」となっています。長時間労働による影響としてあげられている過労死・脳血管疾患・心臓疾患・精神障害の発症 が関連する労災が増加傾向にあることを取り上げており、日本の労働環境が働く人の負担になっていることがわかりました。

また、職場でのストレス要因が原因となりうるメンタルヘルス不調として最も多いうつ病の発症年齢は 30代が一番多く、そのうち3割に労災が認められています。

長時間にわたる過重な労働が原因と考えられる過労死や脳血管疾患・心臓疾患、精神障害に関して 労働基準監督署による労災認定や、民事訴訟によって多額の賠償金の支払いを求められることがあると、 刑事罰や事業場名の公表、社会的信用の失墜、新規の人材採用が困難になるなど、企業にとって大きな損失になります。
 


労働安全衛生法では、月100時間を超える時間外・休日労働を行い、労働者から申し出があった場合は1ヵ月以内に医師による面接指導を 実施することが義務付けられています。

同様に義務とされるストレスチェックにおいても労働時間は重要なチェック項目として捉えられています。

長時間労働による労働者のストレスを軽減し、労働者のメンタルヘルス不調による離職等の企業にとって大きな損失を防ぐためにも、個々の労働者の労働時間を正しく計測し、管理することが重要になっています。
 

初出:2015年10月1日 / 編集:2020年12月16日

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