産業医を見つけるための3つの方法

   

「どうしよう?」の特効薬、産業医を見つけるための3つの方法

50名以上の労働者を抱える企業が直面する『産業医の選任』問題。
契約の内容や要望は決まっていても、どうやって医師を探せばいいのかぱぱっと思いつく方は少ないはず。

今回は「産業医の見つけ方」について、紹介いたします。
 

産業医を選ぶ時は「働き方」に注目

企業はその従業員数において、法律で産業医を「選任」する義務があります。
選任の契約を結ぶに当たり、医師の希望する「働き方」が自社ではどういう扱いとなるのか確認しましょう。
 

「専属」と「嘱託」の違いは”社員かどうか”

産業医は勤務形態で「専属」と「嘱託」の2タイプに分かれます。

  • 専属
    会社の専属として、契約する会社の従業員の一員と同様に扱われます。
    企業が定める時間、他の社員と同様に出社し、産業医として勤務します。
  • 嘱託
    各企業と契約し、産業医の業務を行う形態です。
    開業医や勤務医などを本業を持ち、月1回以上会社を訪問して職場巡視・健康指導などを業務として行ないます。
    多くの嘱託産業医は複数の企業と嘱託契約を結んでいることもあります。

専属・ 嘱託 の最大の違いは「社員かどうか」になります。
それとともに勤務時間や業務内容、お願いできる仕事の深度についても変わってくるでしょう。
 

それぞれの事業所にあった勤務形態を選ぼう

企業に課せられた「産業医の選任」ですが、その従業員数によってその詳細が変わってきます。
まずは【50名以上の事業所に、それぞれ1名の産業医】を 契約の目標にしましょう。
企業によっては営業所や出張所といった取り扱いもありますが、なるべく「50人以上が働いている」オフィスには“ そのオフィスの産業医 ”を置くことになります。その場合は「選任(契約と任命)」のみが義務となりますので、求める業務内容を満たす嘱託形態の契約を選ぶのが一般的です。

有害業務を取り扱っていたり、1,000人以上が一緒に働くような大規模な事業所では専任の産業医を1名以上置くことが義務付けられています。
 

産業医を見つける3パターンを解説!

 

医師に直接依頼

会社の中に産業医の知り合いがいたり、お世話になっているクリニックがある場合医師に直接お願いできることもあるでしょう。

医師個人に直接コネクションを持っていて依頼ができる場合、双方の内情をよく理解した「いいパートナーシップ」を簡単に築くことができるのが最大のメリットです。企業独自の取り組み・配慮に関する意見・社内環境改善のための提案を求めた時、社員の実情に 一歩踏み込んだ「意見」が期待できます。
企業側としても医師の希望や人柄を直接見ることができますので、信頼して産業医業務をお願いすることができるでしょう。

事前に“他の企業との契約の経験はあるか”と勤務状況を確認したり、社内の情報を積極的に共有するなど密なコミュニケーションを心がけることで、長くお付き合いできるいい関係でいることができます。
 

②病院とつながりのある機関から紹介 してもらう

病院や診療所とつながりのある機関や団体に相談すると、自社の求める条件に合った産業医を紹介してもらえる場合があります。また産業医の在籍しているクリニックの中には、「産業医サービス」として派遣や契約を請け負っているところも。
以下のような団体・機関・企業の利用があれば一度相談してみるのも一手でしょう。 

  • 健康診断の実施機関、ストレスチェックの委託会社
  • 健保組合などの健康保険関連団体
  • 付き合いのある他社などで医師のコネクションがあった場合

特に利用されているのが、「医師会からの紹介」ルートです。
地域に設けられている医師会に相談すると、その地域に登録のある産業医を紹介してくれます。基本的にはすでに地域のクリニックや診療所に勤務している先生となることが多いでしょう。
「医師会からの紹介」の一番の魅力は、そのお値段。交渉で金額は前後する可能性があるものの、 明示され たベース金額を基に双方で契約内容が調整できます。

「医師会からの紹介」は医師側から見た時“ 信用できる紹介 ”でもあります。企業の近隣の病院に直接依頼する場合でも、「 医師会を通して……」と 一度相談するよう持ち掛けられることもあるでしょう。
 
紹介の場合、懸念すべきは産業医の「クオリティ」を事前に知ることが難しい点です。
クリニックや病院に勤務している医師は、基本的に「医師業務」として 毎日診察や大勢の患者さんの治療に追われています。 産業医としての活動経験が浅 い方が担当になってしまうと、従業員側に偏った意見や現実的ではない配慮提案が多くなりすぎてしまう可能性も。
契約をした医師から「意見」として提出されてしまうと、突飛なものでも企業はその意見を参考にしなければいけません。

紹介してくれる団体に自社の希望条件を明確に伝えるとともに、契約に踏み切る前に一度は直接面会するなど、事前にその医師がどんな人・どんな考え方を持っているのかを把握するようにしましょう。
 

③派遣サービスの有効活用

「産業医派遣サービス」を展開している企業を利用するのも、いい方法ですね。

インターネットなどで検索すると様々な紹介会社を見つけることができます。 経営面に 着目したコンサルティング機能のある会社 や中には精神医療に特化した産業医を集めた「 精神科専門 」を掲げているところも。

このような派遣サービスでは、サービスに登録した産業医と契約を希望する企業の間を紹介会社が取り持ち、嘱託産業医として契約と派遣を行います。
紹介企業の産業医に対するサポート体制は様々で、産業医の募集も企業が独自に探すところもあれば産業医自身が登録を行うシステムを採用しているものもあります。企業側に提供するサービスも健康診断との併用を条件にしたり、経営コンサルタントが付いてくるといった“ 変わり種 ”も目にすることが増えています。

派遣サービスを利用するときに注意したいのが「中立性・ 専門性の確保」です。
派遣サービスに登録している医師は、複数の企業と契約していることが一般的です。紹介される医師も経験を積んだ方が多いようですが システムの構成上、会社側・経営側に立って意見を考えてしまう方も稀にいらっしゃるようです。
また産業医は医師であれば研修を受けることで資格を持つことができますが、 企業的なコミュニケーションがとれる・ 企業の環境や実情を慮った考えができる医師に巡り合うのは難しいです 。専門的な見地から意見が欲しい場合 社内改善や安全衛生に求められる知識に向いていない診療科の方と契約していた! という場合も。

診療科やコミュニケーションスキルに条件を設けて探すことも可能ですが、専門的・高スキルになるにつれ依頼費用は高額になる傾向があります。
依頼をする場合は「どんな人に」「週に何回、何時間来てほしいか」「面接や会議の出席など行ってもらいたい業務の一覧」が決まっているとスムーズです。
 

はじめての産業医なら“紹介”が正解

仲介会社とのやり取りを介さず直接医師と契約を結ぶ場合、「事前にその医師とやり取りができる」「継続する際の手数料がかからない」といったメリットがあります。特に地域に密着した医師なら、突然のトラブルにも素早い対応が期待できます。

会社で医師のお知り合いなどがいない場合、信頼できる機関から紹介してもらうのが安心です。その際はスペックや希望する条件とともに、その医師の【人柄】や【他の企業とも契約をしているか】を必ず確認しましょう。
 
産業医は企業の安全管理の要。 長く付き合うものでもありますので、会社が相談しやすいのはもちろん医師からも意見してもらえる信頼関係を築けるよう“最初の一歩”は慎重に。
 

初出:2019年10月11日

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