「改正障害者雇用促進法」2020年4月施行:民間企業への影響とは?

   

2020年4月障害者雇用促進法が一部改正!民間企業への影響とは?

現行の障害者雇用促進法では、働ける障害者が雇用されにくいという問題があります。

これには、週所定労働時間が20時間未満など、短時間でしか働けない障害者を雇用する企業側のメリットが少ないことが考えられます。
そんな中、2018年には「障害者に該当しない人」を障害者として雇用して、障害者雇用を水増ししていた公的機関が多数存在することが発覚。厚生労働省は障害者の雇用を促進するため、2019年6月に改正法案を可決し、2020年4月1日に障害者雇用促進法が一部改正されることが予定されています。

では、その具体的な内容はどのようなものなのでしょうか?
そこで今回は民間企業に向けて、改正法案による影響と、その具体的な内容について解説していきます。
 

2020年4月に障害者雇用促進法が一部改正!

2019年6月7日に、「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案」が可決・成立しました。
段階的に改正法が施行されることが決定し、そのうち2020年4月1日には民間企業に対して以下2つの改正措置が施行されることとなりました。

  • 事業主に対する給付制度
  • 優良事業主としての認定制度の創設

障害者雇用促進法が改正される大きな理由は、2018年に発覚した公的機関による対象障害者の確認・計上の不正です。
再発防止や民間事業主への取り組みを促進するため、 2019年6月に可決した改正法案では公的機関に雇用時の確認を厳しく規定するとともに、民間企業に対しては以上の措置が決定しました。

ここからは、その2020年4月1日に施行される2つの変更点の、具体的な内容について解説していきます。
 

変更点1.事業主に対する給付制度

一つ目の変更点は、事業主に対する給付制度が創設されます。

正式には「週所定労働時間20時間未満の障害者の雇用に対する支援」とされ、週20時間未満の雇用障害者数に応じて、事業主に給付金が支給されます。

これまでの障害者雇用促進法では、週所定労働時間20時間未満の雇用障害者は雇用率制度の対象とはならず、事業主は障害者雇用調整金などの支援が受けられませんでした。
その一方で、障害者によっては障害の特性上などで、中長期にわたって週20時間を超えて働けない人が存在します。

つまり週所定労働時間が20時間未満の障害者が多くいるのに対して、事業主にとってそれらの障害者を雇用するメリットが少なかったのです。

そこで改正法案によって「障害者雇用率制度」の対象となる障害労働者の枠組みが変わり、対象となる事業主に給付制度が設けられることとなりました。
 

具体的な枠組みと給付される金額

事業主に対する給付制度の、具体的な枠組み・金額の内容は以下のとおりです。

  • 週所定労働時間20時間未満の労働者に対して、事業主に給付金を支給
  • 雇用率制度の対象となる障害者はこれまで通り「週20時間以上の労働者」
  • 支給対象となる雇用障害者の所定労働時間は10時間が下限
  • 支給額の単価は調整金・報奨金の4分の1程度
  • 支給期間は限定しない

【対象者のイメージ】

週所定労働時間雇用率制度障害者雇用納付金障害者雇用調整金給付金
30時間以上×
20時間〜30時間×
10時間〜20時間××
10時間未満×××

このように雇用率制度と、障害者雇用納付金などといった障害者雇用の支援はこれまで通り変わりありません。

新たに給付金が制定され、その給付金が受け取れるのは週所定労働時間が10時間〜20時間の雇用障害者となります。
 

変更点2.優良事業主としての認定制度の創設

二つ目の変更点は、優良事業主としての認定制度の創設です。

正式には「障害者雇用に関する優良な事業主の認定制度の創設」とされ、条件を満たした常用労働者300人以下の中小企業は、優良な事業主として認定されます。

現在、法定雇用義務があるのにも関わらず、障害者を全く雇用していない中小企業が少なくありません。
その結果、障害者雇用促進の取り組みが停滞しているという問題があります。
そこで、優良事業主としての認定制度を作ることによって、障害者雇用の社会的関心の喚起や、先進的な取り組みを進めている事業主に社会的なメリットの付与を目的としています。
 

優良事業主としての認定制度の概要とメリット

障害者雇用に関する優良な中小企業認定制度はポイント制で行われます。

その評価項目は以下9つが設定される予定で、一定の点数以上となる企業が優良事業主として認定されます。
 

  1. 障害者雇用の推進体制の整備
  2. 障害者雇用に関する理解浸透
  3. 職務の選定・創出
  4. 職場環境の整備
  5. 雇用管理の充実
  6. 障害者を採用し、活躍を推進するための計画立案
  7. 募集・採用の取組
  8. 職場定着の取組
  9. 関係機関との連携

また、優良事業主と認定された中小企業には以下のようなメリットがあります。
 

  • 自社の商品や広告等で認定マークが使用できる
  • 認定マークによって働き方改革などの広報効果が期待できる
  • 障害の有無に関係なく、幅広い人材の採用・確保の円滑化につながる

など、様々な方面で自社のアピールを可能にします。

障害者雇用率を満たしていない企業が多い中、先駆けて障害者の雇用促進を行う中小企業にはさまざまなメリットが受けられるようになります。
なお、認定制度の創設後は、認定のメリットを周知させることが重要課題とされています。
 


2020年4月1日に障害者雇用促進法が一部改正されます。
そのうち、民間企業に影響する改正法案は以下2つです。

  • 事業主に対する給付制度
  • 優良事業主としての認定制度の創設

週所定労働時間が10時間〜20時間の障害者を雇用する企業に対しては、給付金や広報効果などさまざまなメリットが受けられるでしょう。

様々なハードルを前に活躍の機会に巡り合えない方々について、いま日本でも注目と活躍のための環境整備が進み始めました。
会社の生産性向上は「どんな人でも働ける職場」から。この法案改正を機に新たな「人材の獲得」が各社で始まろうとしています。 

〔 参考・文献 〕

初出:2019年09月13日

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