改正障害者雇用促進法:民間企業対象の新制度とは?

新たな給付制度と認定制度が追加!改正「障害者雇用促進法」、民間企業対象の改正点を解説

現行の障害者雇用促進法では、働ける障害者が雇用されにくいという問題があります。これには、週所定労働時間が20時間未満など、短時間でしか働けない障害者を雇用する企業側のメリットが少ないことが考えられます。

「障害者に該当しない人」を障害者として雇用し、障害者雇用数を水増ししていた公的機関が多数存在することが 2018年に発覚したこともあり、2019年6月に改正法案を可決し、2020年4月1日から改正障害者雇用促進法が施行されました。

では、その具体的な内容はどのようなものなのでしょうか?

2021年3月に障害者の法定雇用率が変わることもあり、民間企業側に関係する改正内容について改めて解説します。
 

障害者雇用促進法の一部改正で何が変わった?

2019年6月7日に、「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案」が可決・成立しました。

障害者雇用促進法が改正された大きな理由は、2018年に発覚した公的機関による対象障害者の確認・計上の不正ではあるものの、民間事業主への障害者雇用に向けた取り組みを促進するべく2020年4月1日から民間企業に対して以下2つの改正措置が施行されました。

  • 事業主に対する給付制度
  • 優良事業主としての認定制度の創設

この2つの改正点について、具体的に解説します。
 

変更点1.事業主に対する給付制度

一つ目の変更点は、事業主に対する新たな給付制度が創設されました。

正式には「週所定労働時間20時間未満の障害者の雇用に対する支援」とされ、週20時間未満の雇用障害者数に応じて、事業主に給付金が支給されます。

これまでの障害者雇用促進法では、週所定労働時間20時間未満の雇用障害者は雇用率制度の対象とはならず、事業主は障害者雇用調整金などの支援が受けられませんでした。その一方で、障害者によっては障害の特性上などで、中長期にわたって週20時間を超えて働けない人が存在していました。

法改正で「障害者雇用率制度」の対象となる障害労働者の枠組みが変わり、対象となる事業主に給付制度が設けられることとなりました。
 

具体的な枠組みと給付される金額

事業主に対する給付制度の、具体的な枠組み・金額の内容は以下のとおりです。
 

  • 週所定労働時間20時間未満の労働者に対して、事業主に給付金を支給
  • 雇用率制度の対象となる障害者はこれまで通り「週20時間以上の労働者」
  • 支給対象となる雇用障害者の所定労働時間は10時間が下限
  • 支給額の単価は調整金・報奨金の4分の1程度
  • 支給期間は限定しない

【対象者のイメージ】

週所定労働時間雇用率制度障害者雇用納付金障害者雇用調整金給付金
30時間以上×
20時間〜30時間×
10時間〜20時間××
10時間未満×××

このように雇用率制度と、障害者雇用納付金などといった障害者雇用の支援はこれまで通り変わりありません。

新たに給付金が制定され、その給付金が受け取れるのは週所定労働時間が10時間〜20時間の雇用障害者となります。
 

変更点2.優良事業主としての認定制度の創設

二つ目の変更点は、優良事業主としての認定制度の創設です。

正式には「障害者雇用に関する優良な事業主の認定制度の創設」とされ、条件を満たした常用労働者300人以下の中小企業は、申請によって優良な事業主として認定されます。
 

優良事業主としての認定制度の概要とメリット

障害者雇用に関する優良な中小企業認定制度はポイント制で行われます。

評価項目は以下の項目に対して評価点を加算し、大項目ごとに定められた合格最低点と、全部を合計した最低合格点を超えた企業が優良事業主として認定されます。
 

障害者雇用の「取組(アウトプット)」
体制づくり1. 組織面 2. 人材面
仕事づくり3. 事業創出 4. 職務選定・創出
5. 障害者就労施設等への発注
環境づくり6. 職務環境 7. 募集・採用 8. 働き方
9. キャリア形成 10. その他の雇用管理
障害者雇用の「成果(アウトカム)」
数的側面11. 雇用状況 12. 定着状況
質的側面13. 満足度、ワーク・エンゲージメント 14. キャリア形成
障害者雇用の「情報開示(ディスクロージャー)」
取組(アウトプット)15. 体制・仕事・環境づくり
成果(アウトカム)16. 数的側面 17. 質的側面

 

優良事業主と認定された中小企業には以下のようなメリットがあります。
 

  • 自社の商品や広告等で認定マークが使用できる
  • 認定マークによって働き方改革などの広報効果が期待できる
  • 障害の有無に関係なく、幅広い人材の採用・確保の円滑化につながる

など、様々な方面で自社のアピールを可能にします。
 


障害者雇用率を満たしていない企業がまだまだ多い中、先駆けて障害者の雇用促進を行う中小企業にはさまざまなメリットが享受されるようになります。
 
会社の生産性向上は「どんな人でも働ける職場」から。この法案改正を機に、新たな「人材の獲得」が各社で始まろうとしています。
 

 

 

〔 参考文献・関連リンク〕

初出:2019年09月13日 / 編集:2020年12月16日

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