「改正障害者雇用促進法」2020年4月施行:障害者の法定雇用率2.3~2.5%へ。民間企業における改正点を再整理

   

障害者の法定雇用率2.3~2.5%へ。民間企業における改正点 を再整理

2018年8月、中央省庁が障害者ではない者を障害者として雇用し、障害者の雇用率を水増ししていた事実が発覚しました。
障害者が安心して生きられる社会の実現を目指すはずの政府が「障害者雇用水増し問題」を引き起こしたことをある種の衝撃とともに記憶している方も多いのではないでしょうか。

障害を持つ方々もそうでない方も活躍できる社会を目指して、日本では全ての事業主はその従業員数に応じて一定の割合の障害者を雇用する義務が設けられています。障害者の雇用義務について周知している企業であっても、業務拡大によって新たに雇用の義務が生ずるなどの対応が必要になることも。

そこで今回は、障害者雇用制度が定める障害者雇用の対象となる企業と雇用率の計算方法を具体的に解説したいと思います。
 

!この記事では、こんなことがわかります!

  • 法定雇用率は民間企業の場合「2.2%」
  • 2021年4月までには「2.3%」に引き上げられる
  • 現状では、45.5人以上の事業主では障害者雇用の義務が生じる
  • 法定雇用率は「障害者の常用労働者数÷常用労働者数」で求められる
  • 障害の程度や種類、労働形態によって2名~0.5名に換算されることがある
  • 「除外率制度」、「雇用義務の特例」も考慮の必要がある
  • 法定雇用率、障害者雇用の相談は管轄のハローワークへ

 

中小企業にも障害者を雇用する義務があります

「障害者雇用制度」とは、 「障害者の雇用の促進等に関する法律」 定められた 身体障害者、知的障害者、精神障害者 の雇用に関する規則です。民間企業、国、地方公共団体に 組織の構成に応じて一定数の障害者を雇用する義務を課すものになります。
「法定雇用率」と呼ばれているのは、この 障碍者雇用制で定められた 【 雇用しなければならない障害者数の、従業員における割合】を指しています。

2019年現在では、各組織、団体に課せられた「法定雇用率」は以下になります。

  • 民間企業・・・2.2%
  • 国、地方公共団体等・・・2.5%
  • 都道府県等の教育委員会・・・2.4%

現行の法定雇用率は2018年4月に改訂されたもので、2021年4月までにそれぞれ0.1%の引き上げが予定されています。

この数値を実際の従業員数に換算すると民間企業では「45.5人につき1人」の障害者を雇用が目標ですね。
実際には「常用労働者」と「短時間労働者」でカウントされる率が変動するなど働き方によって細かい規定があります。
 

雇用規定に満たない場合「納付金」が発生

障害者の雇用数が法定雇用率を下回っても法的に罰金・罰則が課されることはありません。

ただし、「障害者雇用納付金制度」に基づいて「常用労働者」が100人以上の企業は規定割合と比べて不足している雇用障害者数1人につき毎月50,000円を国に納付する必要があります。
この納付金は障害者を積極的に雇用する企業に分配される報奨金の財源となります。

また、障害者の雇用状況は毎年6月1日時点のものを7月15日までにハローワークへ報告しなければなりません。これを怠ると罰金として30万円が課されるほか、制度に非協力的な企業は社名が公開されるなど社会的な制裁が行われます。
 

除外率制度や特例も考慮する必要があります

2018年4月以降、法定雇用率の計算方法も改定され、以下のものになりました。
 

★法定雇用率 =
(身体障害者、精神障害者、知的障害者の常用労働者数
+失業している身体障害者、精神障害者、知的障害者の労働者数)
÷
(常用労働者数-除外率相当労働者数+失業者数)

(単純化すると「障害者の常用労働者数÷常用労働者数」となります。)


「常用労働者」とは1週間20時間以上、1年以上の労働雇用の見込みがある(あるいはされている)労働者を指し、パート・アルバイトでも1名とされます。

ただし、それぞれの企業・組織に実際に適用されている法定雇用率の算出は「障害者数のカウント方法」、「除外率制度」、「雇用義務の特例」の3つを考慮して行う必要があります。一つずつ見ていきましょう。
 

障害の程度や就労条件によってもカウント率は変化

法定雇用率は原則として週30時間以上の「常用労働者」の数によるものとなります。
「 雇用している 障害者数」のカウントに関しては次のような規定が設けられています。雇用時、契約時に考慮しましょう。
 

  1. 重度の身体障害者、知的障害者は2名として計算する(ダブルカウント制
  2. 重度の身体障害者、知的障害者は、
    週20時間以上30時間未満の短時間労働者も1名
    として計算する
  3. 短時間労働者の精神障害者は、以下の要件を満たすとき1名として計算。
     ・「新規雇用から3年以内」
      または
      「精神障害者福祉手帳の交付から3年以内」の場合
     ・2028年までに雇用され、精神障害者福祉手帳が交付された場合
    要件を満たさないときは0.5名として計算。

また 「対象障害者」としてカウントが認められるのは「障害者手帳」を持っている方に限られます。 更新手続きは必要な手帳制度もありますので、申請時や雇用契約時に確認しましょう。
 

業種によっては「除外率制度」の対象となります

「障害者雇用促進法」は障害者に均等な労働機会と待遇の確保を目指した法律です。しかし、現実の業務を考えた時に一定の業種には障害者の従事が難しいものがあるのも否定できません。おおぜいの

そのような業種は「障害者雇用率制度」においても、法定雇用率の算出に用いられる常用労働者数からそれぞれ定められた割合が控除されます。

  • 倉庫業、航空運輸業など・・・5%
  • 採石業、水運業など・・・10%
  • 鉄道業、医療業など・・・30%

上記以外にも、一定の製造業・鉱業、電気業、幼稚園など業種に応じて5%~80%の控除率が設定されています。申請や雇用を考えた時、留意しておくと良いでしょう。
 

特例子会社・関係会社は障害者数を通算できる制度があります

子会社を有するようなグループ企業や、複数の事業所(本店、支店など)を持つ企業では、企業全体の法定雇用率を通算することができます。

民間企業の場合、 グループ内の各企業や事業所で障害者を2.2%ずつ雇用することが理想ではありますが、障害者を優先的に配置する企業や事業所の設置によってこれを満たすことができます。
 

  1. 特例子会社
    障害者雇用の促進を目的として設立された会社(特例子会社)は、親会社と法定雇用率を通算可能
  2. 関係会社特例
    特例子会社を持つ親会社は、他の子会社でも障害者を雇用する場合において親会社、特例子会社、子会社の法定雇用率を通算可能
  3. 関係子会社特例
    厚生労働省の認定する基準において、特例子会社を設置しなくてもグループ企業内で法定雇用率を通算可能
  4. 事業共同組合等算定特例
    事業共同組合などを活用している中小企業間では、事業共同組合、中小企業、組合員間で法定雇用率を通算可能

上記の認定は管轄のハローワークが行っています。
 


法定雇用率に定められた障害者雇用は企業の義務であり、これに満たない事業者には厚生労働省からハローワークを通じた指導や、制度への協力を要請されるなど中小企業においても無視することのできない事項となっています。

成長分野における業務拡大を考える上では障害者の雇用も念頭に置いておく必要があるといえるでしょう。
 

〔 参考文献・関連リンク〕

初出:2019年12月20日

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