人事・労務担当者のためのメンタルヘルスケアコラム:なんだか社員の調子が悪そう…最近よく聞く自律神経失調症ってどんな病気?jpg

   

なんだか社員の調子が悪そう…… 最近よく聞く【自律神経失調症】ってどんな病気?

体には異常がないのに、なんだかずっと体調が悪いな……と思うことはありませんか。
お腹の具合がよくない、長引く頭痛、息苦しさや動悸が気になる…
ずっとイライラする、何だか不安な感じがする、あせりを感じる…
どれか心当たりがあれば、もしかしたら『自律神経失調症』かもしれません。

2019年は台風や急な気温の変化が多く、普段元気な方でもちょっとした不調を感じやすくなっています。特に冷え込みが急に深まる10~11月は体調を崩してしまう社員も目立ち始めるころ。
今回は自律神経失調症のメカニズムや、セルフケアの方法について一緒に見てみましょう。
 

“自律神経”が体を無意識に支えている

私達の体や臓器は、意識をしなくても自律して動く機能《自律神経》が付いています。
姿勢や消化器官だけでなく、心臓、肺、脳といった《生命を維持する運動》は、何も意識をしなくても 周囲の環境に合わせられるよう「自律神経」が調整しているのです。

自律神経は、活動的になる《 交感神経 》とリラックスする働きのある《 副交感神経 》の2つで成り立っています。

・交感神経
 ……活動するときにメインで働く神経です。
   心臓の鼓動や呼吸を早くしたり、筋肉を緊張させて血圧をあげるなど
・副交感神経
 ……睡眠や休憩・リラックス時にメインで働く神経です。
   脈拍や呼吸をおだやかにさせ、消化を活発に行う、筋肉を緩めるなど


健康な体には、交感神経と副交感神経が交互にバランスよく活動していることが大切です。

ですが、何らかの原因でこのバランスが崩れしまうことがあります。
そんな「バランスの不具合」が“ 自律神経失調症 ”と呼ばれています。
 

自律神経失調症の症状は?

自律神経は全身の臓器に関係するシステムですので、その不調の現れ方も非常に多岐に渡ります。
現代の自律神経失調症は「交感神経の働き過ぎ」がバランスを崩す原因にあることが多く、頭痛・消化器官の異常・不眠を訴えるケースが増えています。

以下に主な症状を部位別にまとめました。

  • 全身の不調…
    眠れない、微熱が続く、だるい、疲労感、ほてり、 体の一部分のかゆみ・痛み など
  • 頭部の不調…
    頭痛、抜け毛が多い、目の疲れ・渇き、耳鳴り・めまい、口が乾くなど
    食べ物を飲みこみづらい、どもって話しづらい
  • 内臓の不調…
    動悸、胸の痛みや息苦しいなど
  • 消化器官の不調…
    吐き気、胃痛・ 腹痛 、下痢や便秘、消化不良・お腹が張る、食欲不振
  • 下腹部の不調…
    尿トラブル、性機能障害、生理不順など
  • 手足の不調…
    震え、冷え、しびれ、肩こりや関節痛の悪化
自律神経失調症による部位別「全身の不調」

自律神経失調症の症状は、上記のような症状の他にも「イライラする、不安、集中できない」といった心に不調があらわれる場合があります。

また複数の症状が一緒に現れる場合、別な病気が隠されていることも。
素人判断は禁物です、一回は病院で検査を受けてもらうようにしましょう。
 

「バランスの乱れ」の原因は“生活”と“体質”のミスマッチ

自律神経失調症とはその名の通り、自律神経の調子=交感神経と副交感神経のバランスが乱れることで生じる体の不調の総称です。
バランスが崩れて症状が生じているので、身体の臓器や血液などには問題はありません。検査をしても異常がないので、「気のせい」とされてしまうことも。

自律神経失調症の原因には、様々な要因が絡みあっていることが多いです。
その中でも代表的な4つの原因は以下になります。

  1. 環境の影響を受けやすい
    自律神経が乱れやすいタイプの体質を持つ人がいます。
    このような人は 体力が付きにくい・低血圧などがみられ、低気圧で頭痛が……といった方は要注意。
  2. 生活にストレスが多い
    「ストレス」は、体が「ずっと緊張や不安を感じる」=「自律神経の中でも交感神経だけが働き続けている」状態です。
    熱さ・寒さなど物理的なものもストレスなので「夏に弱い・冬に弱い」体質と気温のミスマッチも不調につながります。
  3. 細かなことにイライラを感じてしまう
    性格的にストレスを感じやすい方は、「常に自律神経が乱れやすい環境」と同じです。
    「完全主義、くよくよしやすい」といった自覚があれば、自身の健康や体の調子を再確認する必要があるかもしれません。
  4. 生活リズムが乱れている
    自律神経は24時間周期でバランスを取っています。夜勤や残業、不規則な勤務だと、自律神経のバランスがとれなくなってしまいます。
    リズムが崩れたままの生活を続けるとさらに症状が悪化する悪循環に陥りやすいのも、この原因の特徴です。
     

治療は《 セルフケア 》と《 病院受診 》どちらも欠かさずに

自律神経失調症は、病院での治療と並行してセルフケアを行うことである程度症状を緩和させることもできます。

しかし、病院を受診せずに「たぶん自律神経失調症だからセルフケアで……」と考えるのは危険です。
上記の通り自律神経失調症の症状は非常に様々なため、本当に深刻な病気がその裏に隠されている可能性があります。「検査で異常が見つからなかった」のは、もしかしたらメンタルの不調なのかもしれません。
そのため社員から相談を受けたら、まずは病院を受診し、病院で診断された治療・ケアと並行してセルフケアを計画するのを勧めしましょう。

セルフケアでは自分の原因にあったケア方法を行うのが大切です。
まずは病院を受診、その後“生活の見直し・改善”を。
 

  1. 体質改善には“ 運動・滋養・ 休養”
    体質的に弱い方は、まず体力・筋力をつけることがバランスをとる近道です。1駅分歩くなど、息が上がらない程度でいいので少しずつ運動量を増やす提案を。1か月続けば必ず効果があります。
  2. 考え方は「意識する」ところから始めましょう
    自分が気になる性格は別の側面から見れば長所でもあります。考え方やとらえ方を変えるように勧めてみましょう。
    まずはイラっとした時にどんなことがあったのか書き出すと、落ち着いて振り返る手助けになります。
  3. ストレスはまず相談を。環境を整えましょう
    環境からのストレスは「感じ方」では解決はできないもの、今感じているストレスを書き出したら、一度見せてもらうのも効果的です。仕事が原因なら、人事労務に相談するよう促すのも1つの手段。 その際は“診断書”または“意見書”があるとスムーズだと事前に伝えましょう。
  4. 生活リズムには「日光」と「食事時間」。ミスマッチの可能性も
    「日光を浴びる・ 可能な限り生活を規則正しくする」と症状が改善に向かうという研究も。休憩時間におやつや散歩のプログラムを組んでみては。
    症状が長引くようなら、勤務形態や業務内容について職場へ相談した方がいいでしょう。  
     

「健康経営」と「生活サポート」で企業も健康ケアに手助けを

自律神経失調症は今や風邪に並ぶ「よくある病気」として広まりました。
持って生まれた「体質」「生活リズム」といった個人的な資質の関わるところですので、診断書や意見書をもらった後の配慮も難しい部分があるかもしれません。
業務上の配慮を計画するときは、本人・産業医を交えて「どんな症状に対して」「どの配慮をしたか」と配慮と症状を対応させるとわかりやすいフィードバックが得られるでしょう。

自律神経失調症は“周囲の環境”がとても影響を及ぼす病気です。
企業が自律神経失調症に対してできることを以下にまとめてみました。
 

★生活のケアを環境・知識から手助けする

一人暮らしの従業員が多い、または寮を提供しているなら企業が生活リズムを整える手助けがしやすい環境がそろっています。
まずは他の生活習慣病にも効果のある「食事の改善」から。食堂の設置や寮で提供する食事のメニュー・時間を健康に配慮した目線で見直してみてはいかがでしょう。

また「健康知識の周知」も重要です。自律神経失調症を含む社会人がかかりやすい病気や生活習慣病、業務に携わる上で注意したい体の症状を取り上げて研修やポスター掲示を行っていますか?目に見える効果が見られないかもしれませんが、《「不調かも?」と思ったときにどうしたらいいのか 》 の知識は心強いもの。
従業員が「自分でセルフケアできる」環境を整えてみましょう。
 

★業務内容の見直しは「個人・企業」両方の視点を

営業時間や夜勤の内容を変更するのは難しいことだと思います。
社員や従業員にあう業務内容や勤務形態を考えた時、フレックスタイム制など「勤務開始時間の調整」を選択肢に入れてみてください。

実は「朝が得意」「夜に強い」という活動時間について、習慣で修正できる部分とかえられない生得的な部分、2つの側面があることが最近の研究によって判明しました。
体に合わない業務を強いることは「不調の芽」を抱える従業員を増やしてしまうことになります。一人一人のリズムに合った業務配置ができるよう、従業員へのインタビューや新しい制度を活用していきましょう。
 

★「時間の確保」=「時間の使い方」 管理と再評価が有効

自律神経失調症は、「神経のバランス」の問題です。治療というよりも“整える”という側面が強く、不調の改善には時間がかかることが多いでしょう。通院や治療にかかる時間の確保は、本人や医師から企業に一番お願いしたい「配慮」です。

また健康的な生活のためには「余力」が求められます。
帰ったら一度寝ないと家事をする体力もない……というのではケアも治療も焼け石に水、きちんとした生活のために【残業時間・労働時間の見直し】【業務内容とその負荷の再評価】も並行して行いたいものです。
 


自律神経失調症では、交感神経と副交感神経のバランスが崩れるため、身体は問題ないのに様々な不快な症状が出ます。ただし、本当に背後に病気が隠れていることもあるため、自己判断はしてはいけません。

社員から「体がつらい」「朝起きれなくなった」と感じているようであれば、まずは病院で診断を受けるよう勧める。企業にできる“配慮”はそこから始まります。
 

初出:2019年10月29日

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