DIVERSITY&INCLUSION:在日外国人が感じる“職場の違い”、長く勤務してもらうカギは?

   

在日外国人が感じる“職場の違い”、長く勤務してもらうカギは?

外国人観光客にとってまだまだ人気の観光国「日本」、来日する外国人も年々増加し2019年9月の時点で訪日外国人数(推計値)は200万人を超えたというデータも発表されました。
様々な国から訪れるお客様に対応するのは日本人スタッフだけでは難しい局面もあるでしょう。特にオリンピックに向けて複数の言語スキルや日本以外のカスタムを持つ外国人がスタッフとしていてくれると心強いもの。

これから需要が増える外国人労働者にもできれば長く勤めてもらいたい……
けれど、短い期間で離職するケースも多いのが現状です。

様々な企業を見てきた彼らに、短期間で「見切り」をつけられてしまうのはなぜなのか?各社のアンケートからその傾向と問題点を推測しました。
 

外国人から見た「 日本で就職する メリット・デメリット」

「日本で就職したことのある外国人」と聞くと、どんな職業・立場の方を思い浮かべるでしょうか?
アンケートに協力していただいた「日本で就職したことのある外国人」の8割はスタッフ・アシスタント・アルバイトといった契約で、教育・ IT、コンピューター・サービス(飲食)分野で活躍をされていました。

彼らの感じた「日本で働くメリット」、TOPはやはり「 日本で暮らせる 」「 文化体験 」でした。長期滞在・留学を目的として日本に渡航された方々も多く、日本で働く目的を十分提供できているのでしょう。
うれしいのが「 待遇の良さ 」 「 健康保険が充実している 」「 安定性がある 」といった日本の就労条件の特徴がメリットとして挙げられていること。「 仕事にフォーカスできる 」「 職場環境が構築されている 」といった労働環境の良さも人気のようです。
 

勤務希望年数は“ 3年未満 ”がTOP
「長く勤めたくない」「出ていきやすい」外国人

しかし勤務年数は5年未満が71%、勤続希望年数も3年未満という回答がほとんどを占めています。

日本で就労している外国人の平均年齢が30台と若い世代が中心となっていることもあるので、「短期間の契約を選んだ」「転職に対する意識・コミットのハードルが低い」というのもあるかと考えられますが、いったん就職をした方の中で「離職を考えたことのある人」は6割以上、その多くが就職後3年未満で「やめたい」と感じたことがあるという結果に。

回答者の「辞めたい」と思った理由の1位は「キャリアアップできない」でした。
日本独特の「勤務年数に比例する昇進制度」に対して馴染みのないという点もありましょうが、それよりも「スキルを評価されない」 「会社内部の機能不全/ マネジメントの悪さ 」「仕事・会社または待遇に不満がある」といった会社運営に対する不満も大きく反映しているようです。

また、 外国人の活躍・昇進が阻まれていると感じたことがあると回答した人も半数以上に上り、「外国人が昇進できるポジションが用意されていない」「昇進に必要な語学スキルを上達させるサポートが不十分」と、 「雇用企業内での評価・取扱い」に関する不満の影響が見られます。
その背景に「 外国人と日本人が平等に扱われない 」や「パワハラ/セクハラ」を感じるという声も上げられました。

日本企業と世界の労働市場との「 根本的な考え方の相違 」が、このような 「日本の企業で長く勤める」というビジョンが描きにくい現状を作っている、と推測できる結果データが得られています。
 

“日本企業の問題点”が原因

日本で働くことに対するマイナスイメージ・感じるデメリットとしても「ワークライフバランスの悪さ」や「残業・長時間労働が前提の働き方」といったものはノミネートされており、日本の「生活と一体化した」就労環境は外国人にも問題ととらえられています。
“ 日本企業に対して、理解できないこと ”として多数を占めた「仕事とプラーベートの境界がない」「意思決定が遅い 」「サービス残業」などは日本人でも若い世代の従業員間で特に問題視・敬遠されており、長時間労働やハラスメントを引き起こしがちな職場風土として今後の改善が急がれる部分です。

また、日本的な雇用の最たるものとして従来取り入れられてきた 「年功序列制」 についても「能力開発の意欲抑制」や「上下関係の固定化・強制化」といったマイナス面のクローズアップが進み、機会の公平性や人事評価としての正しさを再検討されています。
「上司の意見に同意を求められる」「愛社精神を強要される」といったメンタルやプライベートな問題に関する部分への関わり方も世代間で認識の差が大きく、社内での軋轢を生む要因として見過ごせないでしょう。
考え方や望む働き方、評価方法といった「当たり前」に思える部分からの見直し・認識のアップロードの必要性はこれからより高まっていくこととなります。

本記事で参考としたのは「外国人労働者を対象としたアンケート」として集められた意見ですが、外国人・日本人という区別なく感じる「日本の働きにくさ」を浮き彫りにしたように思える結果でした。
 

言語やカスタムを超えて「従業員」としてのケアを

アンケートでは離職を考えている理由の一つに「 外国人に対する基礎的な理解が乏しい 」ことがあがりました。外国人労働者が就職先を決定する際に注目するのは、「外国人の受け入れに好意的かどうか」というデータもあり、外国人が「働きやすい環境」として職場の受け入れ態勢や先輩従業員の態度にあると言えるでしょう。

受入れを考えている企業では「従業員として区別ない取扱い」と「外国人特有の事情の考慮」の二点を軸に態勢を整えていくことが求められているでしょう。
 

日本語能力の不安は「生活不便」
外国人であるメリットを生かすためにサポートを

外国人と言えど、日本人と同じように「日本で暮らしている」人間です。
日常的なあいさつや会話はできても、地域のルール・生活に必要なやりとり・役所の書類作成といった高度な日本語については「不便・不安を感じる」と答え何らかのサポートが欲しいという回答が多数見られてます。

企業での業務に関しても「高度な日本語を求められる」「日本的なやり取りの理解が必要」な面について言及があり、「日本人を雇ったほうがいいのでは?」と答えた方も。
業務内容のマニュアル化や、その人のスキル・タレントを把握して業務配分を行うことは日本人スタッフを使用する際にも考えなければならないもの。外国人ならではの能力や考え方、または「日本にいる目的」も含めて「 企業のどこなら活躍できるか」を見る俯瞰的な視点は持っておきたいものです。

また日本語や日本での生活に関するサポートは、その人のモチベーション・健康にもかかわります。言語や文化の違いで、就業や業務内容以外の部分でトラブル・不調を起こしてしまった……という体験談も後を絶ちません。

「生活や日本語に関する不安や問題を相談する相手」を求める声は強く、8割の方が「相談先が欲しい」という答えに。 現状ではその6割が「職場の同僚や上司」といった人に相談を聞いてほしいそうです。これは 「職場や日本語の問題は社内の人間に相談しやすい」、また「内情がわかっているため解決もスムーズ」と思われるためではないでしょうか。
生活の問題、特に住居や保険といったものに関しては「同僚には相談しにくい」「もっと専門的な知識のある人を」という要望も無視できません。 その場合、「インターナショナ ルな職場を理解している人事担当者」「社外の第3者・心理学のプロフェショナル」 といった立場の『専門家』が期待されています。
 

〔 参考・文献 〕

初出:2019年11月28日

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