ストレスに負けない働くオトナのメンタルケア:すぐに落ち込んでしまう人にありがちな原因とは

   

すぐに落ち込んでしまう人にありがちな原因とは

落ち込んだ気分にとらわれてしまいがちなとき、もしかしたらそれは「心の眼鏡」が原因かもしれません。気分が沈んだ日々を過ごすとなれば、QOL(quality of life)も低下してしまいますよね。

心理学やコミュニケーションのスキルを学習することは「人生をよりよく生きる=QOLの向上」につながります。今回は認知療法をもとに、「落ち込みがちな・イライラしがちな」自分の原因を探ってみましょう。
 

現代人は「心の近眼」になりがち

気がつくとなんだかずっと怒ってる……。ささいなミスで落ち込んではしばらく立ち直れない……。自分の周りでそんな人、心当たりありませんか? もしくは「自分がそうだ」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

現代を生きるビジネスマンには、自分が思うよりも大きなプレッシャーがかかっています。思い通りにはいかない人間関係、家族やライフイベントと仕事の調整、ハードワークをこなしても報われない……という落ち込みもあるかと思います。

「ミスをしたその場で落ち込む」「合わない人の発言でイラっとする」という程度なら「普通」のこと。ですが、常に誰かに当たっていたり、1週間毎日自分を責めてしまったりするようなら、一度立ち止まってみませんか。
 
落ち込みやイライラで自分の行動を狭めてしまったり、対話のチャンスを怒りで潰してしまったりするのは、自分の可能性を制限してしまいもったいないことです。「どうして落ち込んでいるのか」を見つめ直してみましょう。
 

自分がかけている「心の眼鏡」に気づこう

わたし達の思考は日々、様々なものを判断しています。毎日その場その瞬間に必要な判断をし続けるのは、脳にとっても一苦労。そのため、わたし達は成長するにつれて「判断・認知方法のセット(スキーマ)」を作り、それに基づいて行動をしています。

スキーマは自分の経験や性格、過去に学んだ「その場であるべき」人物像などと深く結びついて、物事の受け取り方や自分のふるまいを決定します。このスキーマを通すことによって出来事の意味を把握しやすくしたり、その場に合った反応をより素早く行えるようになったりしているのです。
スキーマを通して現実を見ることになりますので、わたし達がよく知る【 眼鏡 】に似た働きだと思うとわかりやすいでしょう。

大概の人は「会社用」「家族用」「友達用」といった具合に複数のスキーマを使用して暮らしています。ですがこの「スキーマ」の眼鏡が正しい現実やプラスの出来事を映していない歪んだものであると、現実を間違った解釈でとらえ続けてしまう場合があります。
眼鏡が視力に合っていないと頭痛がするように、ネガティブな認知は気分を落ち込ませ、ミスやトラブルを招き、自分を否定する思考やネガティブに……といった悪循環に陥る原因にも。

まずは自分のかけている「心の眼鏡」に気付きましょう。
 

よくある「スキーマ」眼鏡8選

1.100か0だけの白黒眼鏡

物事のすべてを白黒付けないといけないと思うスキーマ眼鏡です。
ちょっとしたミスでも許せなくなり、突き詰めてしまうと事実であっても「絶対でなければ本当ではない」と、グレーであったり不確かである部分を認められなくなったりしてしまいます。
 

2.ネガティブなことしか映らない真っ青サングラス

物事のハイライトをピックアップして注目・記憶するとき、「悪い側面のみ選んでしまう」眼鏡です。
ネガティブ思考ともいわれ、たとえ良い面・良い結果があっても「間違えた・ミスした」という事実に目がいってしまうようになります。
 

3.「ねばならない」の四角眼鏡

「~しなければならない」「~すべきだ」にとらわれて、実際に起きていることや関係者の背景に関係なく批判・判断をしてしまってはいませんか?
期待をすると、結果が違ったときにダメージを負うもの。その期待は「事実に見合った」「そのとき必要な」ものでしょうか?
 

4.視界が狭まる型抜き眼鏡

自分に起こった数回の経験を『型』にして「これは『こういうこと』なんだ」と理由を決めつけていませんか?
たまたま起こったことでも、何度も「型抜き」されると、「自分はダメな人間だ」といった心の近眼(レッテル張り)につながってしまいます。
 

5.本当が見えないスケルトン眼鏡

相手が言葉にしていないもの(身振り手振りやその場の雰囲気など)を根拠に考えた、「先の読みすぎ」や「間違った推測」で落ち込んでしまっていませんか?
まずはいったん「言葉にされたか」「本人が言ったか」を思い出してみましょう。
 

6.針小棒大の虫眼鏡

痛かったり怖かったりというのは、良いことよりも強烈に感じてしまうものですが、それがいきすぎてしまっている、ということは考えられませんか?
この逆もしかり、成功や自分の強みは小さく感じてしまうもの。実際の効果とは間違った評価をしているかもしれません。
 

7.「らしく」見えちゃう万華鏡眼鏡

自分が感じた感情に基づいて「事実」を曲げて見せてしまう眼鏡です。感情が背後にあるので、ちょっと無理な理由付けでも「もっともらしく」感じられてしまうのが問題です。
この眼鏡が取れないと、ずっと自分の作った「事実」にとらわれた状態に。
 

8.「したこと」が見えないゴーグル眼鏡

自分の行動が必ずマイナスになってしまうと感じていませんか?
もしくは良い結果を出したときに「まぐれだから」「実力ではない」と思い込んではいませんか?
謙遜ともとれますが、度が過ぎると、良い結果でも自分の中で無意識に悪い結果にすり替えられてしまいます。
 

眼鏡は自分で選べる時代。
つらいときはいったん外してみましょう。

自分がイライラ・ネガティブを感じたとき、皆さんはどうしているでしょうか? 自分の眼鏡を見つけるのに一番有効なのは客観視。まずはイライラが何なのか書き出してみましょう。かっとなったとき、イライラしてしまったとき、ノートやメモ帳の中だけは我慢をせずに、思ったことを書きなぐってみるのです。

その書いたものを一晩なら一晩、時間をおいて見返し、書かれた中から「いつ」「どこで」「誰の」「何に」「どうして」「どう感じたのか」を分類します。書かれた内容の中で「何について詳しく書いているのか」「何について触れられていないのか」「どんな理由で感情を抱いているのか」に注目すると自分の眼鏡について気がつきやすいかもしれません。

眼鏡はあなたの目ではありません。外すのも、選ぶのも、使いやすいように調整もできる「道具」です。次回はその眼鏡の選び方・外し方を学んでみましょう。
 

〔参考文献・関連リンク〕

  • デビッド・D・バーンズ :『いやな気分よ、さようなら : 自分で学ぶ「抑うつ」克服法』
  • ジュディス・S・ベック:『認知行動療法実践ガイド 基礎から応用まで』

本記事は、「マイナビニュース ワーク&ライフ」連載の20~30代の若手一般社員の方々を対象にしたメンタルヘルスケアコンテンツ「ストレスに負けない働くオトナのメンタルケア」の記事を連動掲載しています。
 

初出:2019年12月09日

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