人事・労務担当者のためのメンタルヘルスケアコラム:燃え尽き症候群(バーンアウト)の症状・予防法とは?なりやすい傾向や予防法を解説

   

燃え尽き症候群(バーンアウト)の症状・予防法とは?なりやすい傾向や予防法を解説

一生懸命働く従業員ほどかかりやすいメンタル不調の1つ、燃え尽き症候群(バーンアウト)。特に「人のために働きたい」と思う人がかかりがちといわれますが、仕事にやりがいを感じている誰もが陥る可能性があるものです。医療や福祉の現場では突然の離職につながることも多く、予防・対策に注目が集まっています。

燃え尽き症候群の症状・原因・傾向をおさえて、「燃え尽き症候群対策」として企業に何ができるのか考えてみましょう。
 

意欲が「燃え尽きる」と、仕事への態度が変化

燃え尽き症候群とは「今まで熱心に仕事に取り組んでいた人が、急に熱意や意欲を失ってしまう」様態を指す言葉です。
本人の心のエネルギーが失われてしまうことで、 無気力・無感動になる、仕事に対してやる気や重要性を感じられなくなる、相手に対してぞんざいな対応をするといった兆候が表れます。
 

  • 急に欠勤や遅刻が増える
  • 仕事にミスや雑な対応、ないがしろな態度が増える
  • 感情や意欲を失う、人とのコミュニケーションをうまくとれなくなる
  • アルコールや買い物の量が増える
  • 頭痛、 朝起きられなくなる などの体の不調が出てくる

といった状態が特徴的です。
無理が続けばルーズな勤務態度や対人関係のすさみ、仕事からの逃避につながってしまうケースもあります。
 

「燃え尽き症候群」は環境から

燃え尽き症候群(バーンアウト)の原因は
〇個人的なストレスや仕事に対する捉え方・感じ方(個人要因)
〇仕事内容や職場の状態、評価システムといった企業の風土(環境要因)

の2つが関係しています。

特に環境要因が与える影響は大きく、以下のような特徴のある職場は「燃え尽き症候群」が繰り返されてしまうリスクがあります。 自社、働いている部署でこんなことはありませんか?

  • 努力に対する評価が感じられない
  • 「業務」と「個人」の境界線がない
  • “関わりの強要”が多い
     

努力に対する評価が実感できない

「優秀な人ほど負担が大きくなる」「仕事ができる社員ほど忙しい、業務を丸投げされる」のでは、その人に負担が集中し個人で耐えられる範囲の限界をすぐに超えてしまうでしょう。いくら働いても楽にならない、働くのが当たり前になって上司の評価や給与といった目に見える成果が出ないのではやる気も削がれます。
そのような職場では「業務が多いほど優秀・評価される」雰囲気を与えてしまい、長時間労働や無理な業務につながってしまう傾向も。改善の為に意見を言っても反映されない・自分に決定権がないといった状況は、仕事に対するストレスになるだけでなく組織や上司との関係性にも影響します。
 

「業務」と「個人」の境界線がない

「仕事とプライベートの境界線がない」ことは強いストレスを産む原因でもあります。
いつ何時呼び出しが入るのかわからない、いつでも対応できるようずっと仕事のことを考えなければならないというのは緊張状態をずっと維持していなければならないということ。体にも心にも強いストレスがかかっている状態です。
  

“ 関わりの強要 ”が多い

組織は人と人とが集まって、同じ目的に向かって努力をするためのもの、そのため複数のスタッフと連携をとるためのコミュニケーションは不可欠です。しかし、様々な業務を行う中で「自分に関係のないこと」や「コミュニケーションだけを求めらえる」ことはありませんか?
1日に限られた時間内で業務を行わなければならない以上、自分が求められていない業務や関連性・優先度の低いスケジュールが多いと本来のパフォーマンスが発揮できません。部下に当たる、または責任感の強い方なら断ることもしにくく、普段の業務に加えて負担を抱えがちになります。
 

なりやすいのは「人間相手」「専門職」「サービス業」

燃え尽き症候群が発生しやすい職場の特徴は、「人間を直接相手にする」「サービスを提供する」「人手が足りない専門職」といった分野で起こりがちになります。
特に医療・福祉・介護、そして教師といった業界の多くは、業務内容上緊急の事態が生じやすいと言われています。「十分に安心して休むことができない」「プライベートでも責任感がぬぐえない」という条件と責任感ややりがいを求める人の多さ、人命を預かる・メンタルにショックを受ける現場に出会いやすい環境もあり、依然として燃え尽き症候群の発生率が高いです。

しかし、現在 様々な企業・様々な業種で燃え尽き症候群に罹患する従業員が増加しています。うつ病の入り口としても防ぎたい「燃え尽き症候群」に企業が打てる対策はいったいどのようなものでしょうか?
 

「分ける」「守る」「見せる」の予防 を

燃え尽き症候群に限らず精神的な不調を抱える人は増加傾向にあり、企業としても対策が必要です。メンタルケアの基本は「サポートする」ことにありますが、燃え尽き症候群の予防に関してはそれに加えて「業務と個人の生活を分ける」「評価を明確にする」といった職場環境の改善も必要です。
これらの対応は仕事に対して無力感を抱くことの予防に加え、従業員のモチベーションやエンゲージメントをあげる効果も期待できます。
 

仕事とプライベート、お客様と従業員を「分ける」

従業員が「燃え尽き」てしまう原因として、できる以上の負担を担ってしまうことが大きな負担となっていると述べました。この「抱え込みすぎ」は業務だけでなく、コミュニケーションや感情、役割といったものも含まれます。
特に医療や福祉といった業界では相手の感情や重荷も自分のものとして感じてしまう「共感のし過ぎ」が多く見られます。ケア以上に感情を共有しすぎて冷静な判断ができない・自分のことでないのに過度に悩んでしまうといった、業務にも支障が出るケースも頻繁に起こります。

そのため企業はまず、抱え込まない環境に「分ける」ための対策が必要となります。
・きちんとプライベートの時間が取れるように業務を調整する
・業務分担を明確にし、ヘルプの要請や業務指示のルートを明確化する

といった仕事⇔個人、業務⇔業務間の線引きをきちんと行いましょう。
時間外に発生した業務などの対応をつい行ってしまいがちな人に対しても、メンターや上司といった支える立場の人からきちんと配慮し、必要な業務に集中できる環境を築くことです。

またこの他に“ 個人としての自分と職務上の役割を明確に分ける ”「バウンダリー(心の境界線)」 などの心理サポート・メンタルケア技術について研修や情報の提供を行うのも効果的です。

支援体制を整えて従業員の健康を「守る」

燃え尽き症候群にかかりやすい人は、「自分の許容範囲を越えた状態」に気付けない、無理を繰り返す状態、に陥りがちです。従業員一人一人が自分の許容範囲を把握する・自身の健康状態に気が付くため、従業員がセルフケアできる環境を整えるのも企業の役割の一つです。。

セルフケアの推奨はもちろん、休憩時間やインターバル勤務の制度を設け「生活」を行う時間の確保に努めましょう。 産業時間の調整や業務内容の見直し、意外と見落としがちな業務時間外の連絡に制限を設けるというのも一例です。
睡眠・食事・運動といった健康な生活を送るために必要な基礎知識など情報提供を行うことも欠かせません。

また、メンター制度やサポーター、社内教育制度などを活用すれば上司=部下・同僚間の相互サポート関係を強化することができます。普段接している人からみた「ちょっと疲れているようだ」「無理しているぞ」という小さな気付きは、何より信頼のできる疲労の指標です。
加えて社内や お客様との関係や悩み事の相談できる窓口を設置し、「困った時は助けてもらえる」「 日頃から職場で相談しやすい 」認識・雰囲気を作ることを心がけましょう。
 

評価や明確な目標・支援があることを「見せる」

バーンアウトにならない職場環境には、「成果がきちんと評価される」ことは欠かせません。
昇格や昇給について、「評価基準が明確で、きちんと説明されている」かどうか今一度振り返ってみましょう。基準が属人的になっていないか、広く意見を募ることでより公平な評価へ変えていくこともモチベーションアップにつながります。

また、その他にも

  • チームとしての成果を祝う、個人の結果を発表する機会がある
  • 組織の方針を理解する、自分がどう貢献しているのかを知る
  • 大きな目標の他に、短期間で達成できる小さな目標を設ける。

ことも必要です。
上段で述べたケアやサポートなども、知ってもらわなければ せっかく設けた意味が薄れてしまいます。活用してもらえるように従業員に向けて説明をする・実際に一度使ってみる機会を設けるなど従業員全体に告知しましょう。
 


やる気がある、責任感が強い、真面目でやりがいを感じている……
企業にとって一番必要としている人材ほどかかりやすい燃え尽き症候群は、他の精神疾患のきっかけにもなりうる「つまづき」です。せっかくの人財を“働いたのに”で失ってしまう前に、サポートしていきませんか?
 


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〔参考文献・関連リンク〕

初出:2020年06月01日

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