新型コロナウイルス感染予防で、企業が取るべき「対策」と「指針」

   

新型コロナウイルス感染予防で、企業が取るべき「対策」と「指針」は?

2020年2月現在、日本でも新型コロナウイルスの感染・発症報告が増えつつあります。水際対策や医療・看護関係者による対応も続けられていますが、大型イベントの中止や自粛が次々と発表されるなど、間接的・経済的なダメージは徐々に深刻になりつつあります。

企業として気になるのは、「従業員のコロナウイルス対策」でしょう。
従業員を感染から守るには?
発症した従業員への対応は?

厚労省の発表した指針及びガイドラインをご紹介します。
 

従業員が感染?新型コロナウイルスを疑う目安は「4日以上の発熱・風邪症状」

新型コロナウイルスがの脅威は 特徴的なのは高齢者や持病のある方が罹患すると、肺炎などの重篤な症状を急速に引き起こし死に至るリスクがある点です。
 
新型コロナウイルスに関連する急性呼吸器疾患の蔓延を懸念した厚生労働省は2月17日、発熱などの症状がある人が専門の「相談センター」に電話相談する目安を公表しました。これによると、新型コロナウイルス感染による症状は主に以下のようなものとなります。

・4日以上続く37.5度以上の発熱
・1週間以上続く風邪のような咳やくしゃみといった症状
・強い全身のだるさ、呼吸がしにくいと感じるほどの息苦しさ

またその他にも下痢といった症状も確認されており、特に上記重篤化リスクの高い高齢者や持病のある方、妊娠されている方 は早めの相談をするように呼び掛けております。
 

企業は「発熱した従業員は休ませる」対応を

従業員から「熱や咳がある、新型コロナかもしれない」と相談を受けた場合、企業はどう対応すればいいのでしょうか。

まず行わなければならないのは「伝染させない・悪化させない」ことです。

会社は様々な環境・年代の人が一所に集まる「感染場所」です。外回りをする営業職などが感染すれば取引のある企業へ感染を広げてしまうでしょう。自社が感染源になる・他社から感染してしまうリスクを最小限に抑えるためにも「体調が悪いと言いだしやすい」・「体調が悪いとき、実際に休みやすい」環境を設けるよう努めましょう。

実際に就業中に発熱があった・体調不良があった際は感染防止のマスクなどを着用させ、すぐに帰宅させる・自宅療養するように伝えましょう。

また、コロナに対する正しい情報を広め「相談センター」へ相談する目安や連絡先などを伝えることも重要です。資料やきちんとした説明を行い、不安によって無暗な受診を行ったり安易な外出や体調不良を我慢しての就労をしないよう理解を求めることは、二次感染・重篤化防止につながります。
 

自発的に「熱があるから休む」場合は病欠
「熱がある人を企業判断で休ませる」場合は手当を

発熱などの症状がある従業員については、「会社を休んでゆっくり休養する」よう政府や都道府県の保健機関が声明と呼びかけを行っています。

新型コロナウイルスかどうか分からない労働者が自主的に休む届出を行った場合、厚労省の指針では「通常の病欠と同様に取り扱う」旨が発表されています。この場合は既にある「病気休暇制度」などの社内規定に沿った取り扱いを適用しましょう。

新型コロナウイルスに関連して組織側が配慮として労働者に休業させる際には、 「欠勤中の賃金については企業・組織ごとに内情や事案の詳細を見て判断すべき」とされています。

労働基準法第26条では、「使用者の責に帰すべき事由」による休業の場合、期間中の休業手当(平均賃金の6割以上)を支払わなければならないとされています。

この「 使用者の責に帰すべき事由 」とは、
①その原因が事業の外部より発生した事故であること
②事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること
の2つの要件を満たす「不可抗力であると判断されるもの」以外の事由を示します。

例えば、今回のウイルス感染を避けるために休業を選択する場合、「自宅勤務などの方法が可能か十分検討したか」など「使用者として行うべき最善の努力」を尽くしていないと認められません。

もし、従業員が新型コロナウイルスに感染していた場合、対象の従業員は都道府県知事の指示のもと就業制限を受けて休業することになります。一般的にこの就業制限は「使用者の責に帰すべき事由」に該当しないと考え、休業手当を支払う必要はないとみなされます。

なお、従業員が被用者保険に加入していれば、
・病気療養のため働けなくなった日から起算して3日を経過した日から
直近12カ月の平均の標準報酬日額の3分の2について、
傷病手当金により補償されます。

具体的な申請手続き等の詳細については、加入している保険の制度をご確認ください。
 

病欠・就業停止に年休利用を奨励するのはNG
有給休暇は従業員の申告に基づいて

年次有給休暇は、原則「従業員が請求した時季」について与えるものです。
使用者が「休むから」と、従業員の年休を調整・一方的に取得したとみなすことはできません。

病気休暇などの制度によって対応するなど、事業場の就業規則などの規定に基づいて適切な対応と補償を行いましょう。

また、職種によっては、リモートワークや時差通勤を検討することも必要かもしれません。
 


日本環境感染学会によれば新型コロナウイルスの致死率は2020年2月末現在、中国で2~3%、日本国内では0.1%程度であるという報告がされています。

これは1900年代初頭に大流行したスペイン風邪レベルと見込まれており、WHOは「今後起こり得るパンデミック(世界的流行)への「準備段階」に入るべき」と注意を促しています。

新型コロナウイルスに限らず、感染症はウイルスに適した消毒や適切な衛生管理によって予防が可能です。いたずらに不安を感じる前に、企業・組織として、正しい情報に基づいて従業員の人命・体調を優先して守ることに注力すべき時期だと考えられます。

まずはご自身が罹患しないために、手洗い・うがい・湿度の管理の徹底を。
 

〔 参考・文献 〕

初出:2020年03月25日

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