新型コロナウイルス対策:企業の対策を「雇用調整助成金の特例措置」でサポート

   

新型コロナウイルス対策支援!企業の対策を「雇用調整助成金の特例措置」でサポート

国内でも「新型コロナウィルス感染症」の感染拡大によって、教育機関の休校やイベントの自粛要請が行われ様々な業界で経済的なダメージが発生しつつあります。中国のみならずアジア全域に広がりつつある感染を防ぐため、団体・個人でも海外旅行・国内旅行などの中止を決める方が増加。この余波を受けて宿泊・レジャーに関する企業は現在売り上げの大幅な減少に見舞われている方々が多いのではないでしょうか。

そのような中、 社会的情勢により発生している経営危機に対し 厚生労働省は「 雇用調整助成金 」に特例措置を設けることを決定しました。

雇用調整に取り組む事業者への助成を目的とした「雇用調整助成金」は、 景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主を支える制度です。

既に従業員の健康を守るため自宅待機・休業等に踏み切った企業や、これから対策を検討している事業主の判断を後押ししてくれるのではないでしょうか。

今回は「雇用調整助成金」とその「特例措置」について、解説していきます。
 

「雇用調整助成金」で休業や事業縮小をカバー!

「 雇用調整助成金 」とは避けられない社会の変動・経済上の理由によって、事業縮小など経営の損失が発生する際に従業員の雇用を維持するために助成金を支給する事業です。
この助成金は雇用保険が行う「雇用安定事業」に類するもので、従業員の失業を予防するための「一時的な雇用調整」を行う資金として使用できます。

詳細な要件が設定されていますが、主に雇用保険が適用されている事業の事業主が、以下のような要件に当てはまる場合、助成金支給の対象となります。

・売り上げや生産高の減少といった「具体的な根拠がある」
・助成対象となる取り組み(休業・教育訓練・出向等)を計画・実施している

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 【 休業 】とは?
 …有給やストライキなどの自主的な休業を除く、
  「所定労働日に働く意思と能力があるが、労働する事ができない」状態を指します。

 【教育訓練】とは?
 …「職業に関する知識、技能または技術を習得させ、または向上させる」ことを目的とした教育の実施・訓練への参加です。対象となる教育訓練を実施する場合、参加者は実施した日全日にわたってその他の業務に就くことはできません。

 【出向】とは?
 …「事業所の従業員」として一時的に他の事業所で一時的に就業することを指します。組織内での配置転換や子会社への出向などは含まれません。
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要件については、 今後も特例や範囲の拡大などが予想されています。申請の際は事前に管轄の経済産業局へご確認ください。
 

対象が「新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主」まで拡大

2020年2月14日より「 日本・中国間の人の往来の急減により影響を受ける事業主であって、中国(人)関係の売上高や客数、件数が全売上高等の一定割合(10%)以上である事業主 」など 中国人観光客向け観光関連産業を中心とした「雇用調整助成金」の対象範囲が公表されたことは記憶に新しいかと思われます。
 
2020年3月4日、 この助成金対象が「 新型コロナウイルス感染症の影響を受ける全業種の事業主 」まで拡大されました。
 


範囲拡大は2月28日に先行実施され、新型コロナウイルス感染症 に関連した自粛や休業の影響を受けた全ての業種・職種の企業がこの制度を利用できることになります。
特に、事業主が感染症拡大防止のために行う休業・症状や体調不良、 濃厚接触者となった従業員へ行った休業の命令についても「対象」として取り扱うことが明確に示されました。

また自治体が緊急事態宣言を発し、活動の自粛を要請した地域の事業主については特例として業種・業績に関わらず「生産指標が低下したもの」とみなして取り扱い、正規非正規のくくりなく支給計算の対象とすることでより助成の利用率を引き上げる方針も提示されました。
この地域に所在する企業は 非正規を含めた従業員全体が支給計算対象となり、その支給金額割合も中小で4/5・大企業で2/3引き上げられます。
 

特例で「事後申請」が可能、1月24日からの休業に対応

助成金の対象に関する特例は他に、以下のような規制緩和案も講じられています。

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① 休業等計画届の 事後提出 を可能に
通常は「助成対象となる休業等」について事前に計画届の提出が必要
⇒令和2年1月24日以降に開始された休業について、令和2年5月31日までに計画届を提出すれば「休業等の前に提出されたもの」とされます。後段にて解説します。

② 生産指標の確認対象期間を 3か月から1か月 に短縮
通常、申請には3か月の生産指標確認対象期間に対して、前年比と比較する
⇒最近1か月の販売量・売上高等を示す指標(生産指標)が、前年同期に比べ10%以上減少していれば対象になります。

③ 6か月以上の被保険者期間 ・前申請より1年のクーリング期間 を撤廃
本来であれば支給される事業所は事前に6か月以上の被保険者期間、および 直前の対象期間満了の翌日から 1年間以上のクーリング期間を必要とします。
⇒この要件は撤廃され、被保険者期間・直前の対象期間にかかわらず申請が可能になりました。

④ 事業所設置後1年未満の事業主 についても助成対象に
⇒令和2年1月24日時点で事業所設置後1年未満の事業主については、生産指標を令和元年12月の指標と比較します。

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気になる支給される金額は?
申請に必要な資格・資料を解説

助成額は対象労働者の賃金を基準に、賃金相当額・出向元事業者負担額から計算されます。

同じ職場に6か月以上雇用されている労働者一人に対して、支給額に上限(一人1日あたり8,335円)が設けられていますが、基本的に中小企業の場合2/3・大企業の場合は1/2が助成金として交付されます。

また教育訓練を実施した場合には、上記金額に一人一日当たり1,200円の加算が行われます。
 

 

申請できる事業主は「雇用保険が適用される」こと!

助成金の申請には資格審査が必要となります。

事業主に求められる要件はまず第一に「雇用保険に加入しており、保険が適用される」こと。今回特例により加入期間・設立期間の限定がなくなったため、申請可能事業所の幅がぐんと広がりました。その他の要件についても緩和が施され、かなり広い範囲の企業が対象として申請可能となっています。

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  • 雇用保険の適用される事業主であること。
  • 審査に必要な書類等を提出・整備・保管すること
    都道府県労働局に提出した支給申請書、添付資料の写しなどは、支給決定されたときから5年間保存しなければいけません。また管轄労働局等から 審査に必要な書類や調査を求められた場合はきちんと応じるようにしましょう。
  • 売上高又は生産量などの事業活動が、その最近1か月間の月平均値が前年同期に比べて10%以上減少している事実が確認できる
    (緊急事態宣言をした自治体に所在する事業の事業主は不問)

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教育訓練の実施で申請を行う場合、事業主が提出する書類の他に受講者本人が作成した受講を証明する書類(受講レポート等)を提出するよう求められます。
 

特例の締め切りは 令和2年7月23日 !
既に実施した企業も検討を

助成金の審査には 1年間の対象期間 の指定と、各休業ごとの申請手続きが必要になります。

今回の特例では、「実施後の申請を5月31日まで受け付ける」ことが注目されました。
 

通常は 実施の 「2週間前申告」「2か月後受け取り」

事業主が申請を行う際指定した1年間の対象期間の中で、実施された実際の休業を行う「判定基礎期間」ごとに 計画届を提出し、審査・支給の手続きを行います。同時に手続きを行える計画届は最大で 3判定基礎期間分( 3回の休業期間分)までとなります。

提出時には、事項・要件の確認のため、
★初めての申請・提出の際は、【 休業を開始する日の2週間前 】をめどに
★2回目以降については、【 雇用調整を開始する日の前日 】まで
に提出します。

判定基礎期間(実際の休業実施)終了後、2か月以内に支給申請を行います。
 

1月以降の休業は5月31日まで 事後提出が可能

前段でも話題に出した「休業等計画届の事後提出」、これが企業にどんなメリットを与えるのでしょうか。

通常の申請フローであれば、助成対象となる休業等を行うために事前に計画届の提出が必要となります。ですが、今回の感染病予防など社会環境的な問題で休業の判断を行う場合、書類やデータなどの準備が不十分なまま実施の判断をしなければならないでしょう。
特例期間中、企業は5月末までに書類の作成や申請を済ませればよいこととなるため、「計画書の策定がないから……」と経営的な問題を気にせず休業を行う判断が下せるようになりました。感染拡大阻止のためには、感染前・発症前の静養や感染の場に近づかないことが最大の予防。「早期休業」の判断を促す今回の特例は、企業の協力による感染の収束を早める効果が期待されています。

また令和2年1月24日以降に初回の休業等がある計画届については、令和2年5月31日までに提出すれば、「休業等の前に提出されたもの」と されます。
早期に休業などの対策を実施した企業に対しても、助成金の支給が行えるよう制度の幅を持たせることで金銭・経営面のサポートを行う狙いもあることでしょう。
 


新型コロナウイルスの感染拡大の懸念、それにかかわる自粛や対策の動きが長期化に及びそうな現在、レジャー業・宿泊業にとどまらす小売りや建築・医療といった様々な分野で今後しばらくの経済的なダメージが予測されています。

今回の特例措置は新型コロナウイルスと戦う企業への力強いサポート。感染拡大を抑えこの局面を乗り切るために、またこれを成長の機会として活用する組織を応援するために、この制度を検討してみてはいかがでしょう。
 

初出:2020年03月04日

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