誰もが働きやすい職場づくり!「困った」をチャンスにする新入社員指導のコツ

   

働きやすい職場づくり!「困った」をチャンスにする新入社員指導のコツ

4月は多くの企業で採用や異動の多いシーズンです。今まで学生だった新卒の方、社会人としてスキルを磨かれてきた中途採用の方など様々な背景・環境にいた人と一緒に仕事を始める機会もあることと思います。

ですが、人事をご担当される方や部下を持つ方にとっては、 採用・就労に伴う 「困ったな」に悩むことが増えるのもこの季節。

何度言っても同じ失敗を繰り返してしまう、コミュニケーションが取りにくいなと感じる……など『新人』の指導に関わる課題を経験したことがある人も多いのではないでしょうか?

新しい仕事・新しい人間関係への適応は、何も問題のない方でも大きなストレスがかかります。学生の時とは違ったプレッシャーや今まで知らなかったマナーなど、「心理的なハードルに躓いて本来の力が出せない」というのは新入社員がまず初めにぶつかる“壁”。指導をする側としても、コミュニケーションや業務の指示の誤解を減らして、なるべくスムーズに進めたいですよね。

また、2018年よりある規模以上の企業に対して、障害を持つ方を一定割合で雇用するよう義務づける改正法も施行されました。特に近年に広く知られるようになった「発達障害」という特性を持つような方とのコミュニケーションは、目に見える障害でないため理解を得られない・トラブルの種になりがちという話も耳にします。

「特性や不得意な人も働くことができる環境」は、今いる人も働きやすい環境と言えるでしょう。マニュアルの整備やフローの精査だけでなく、誰が・どんな作業をしているか、得意かといった「人に合わせられる」環境の構築は業務の効率化・人材の定着に大きく貢献します。

本記事は「誰もが働きやすい職場」環境の作り方・取り組み方について解説します。
 

「得意なこと、苦手なこと」は、本人・指導担当者・人事の3人で把握しよう

人にはスキルの大小とともに、必ず「得意なこと・苦手なこと」があります。仕事をスムーズに進めるうえで必要なのは、「自分の得意なこと・苦手なこと」を職場のみんなで把握することです。
得意な作業やスキルを経験や教育で伸ばし、苦手な環境やフローは分散させたり軽減するよう計らう事で、期待以上の力を出せるようになる方もいるでしょう。

「得意なこと・苦手なこと」は【作業面】【対人面】【思考・行動面】の3分野に分けて評価と把握を行うのがベストです。本人の情報を把握していくことで、社内で何に困っているのか、何が得意なのかを知ることができます。
 

  • 【作業面】:本人だけでなく、一緒に作業する方からもヒアリングをしましょう。
    ⇒指示で理解できなかったところ、ミスが起きた時の作業内容や環境
    ⇒ 集中力・持続力が途切れてしまう/できない時はどんな時だったか
    ⇒ 一人でする作業が好きか/一日の中でどの業務が好きか等
  • 【対人面】:休憩時間や始業・終業時に本人を見てみましょう
    ⇒同僚へのあいさつ、質問・確認・報告・感謝等の基本的なやり取りに問題はないか
    ⇒言葉遣い・態度は社会人として十分か、またそれに対する注意をちゃんと聞けるか
    ⇒ 会話が苦手そうではないか、相手の話を聞くことができるか、離している相手の気持ちや考えを理解して言葉を変えることはできるか
  • 【思考・行動面】:話し合いの場や本人のヒアリングを参考にしましょう
    ⇒考え方にある特徴は何か、こだわりたい部分や
    ⇒急な予定変更など突発的な事態に対応できるか
     ⇒疲れた時にちゃんと休憩が取れるか、休日に休めているかなどストレスや心身のケアの方法を知っているか
     

上記のことを新入社員本人と人事・指導担当者が一緒に確認していくことで、本人も自覚していなかった長所・ミスが発生しやすい要素を知ることができます。自分自身の業務の注意点や工夫を「自己管理」できるようになることは、自信や積極性の育成にもつながります。

また、周囲に知っておいてほしいことやこれからの教育・研修の方針を検討する際に参考にすることで事前にミスを防ぐ体制作りにも活用できるでしょう。
  

作業手順は「明確な基準で」「わかりやすく」「何度も確認できるように」

新入社員に業務の説明をするとき、マニュアルや手順書といったものの用意はあるでしょうか。

そもそも社内の業務に対し、手順ややり方が担当者それぞれ独自であったり確認体制や手順が不明確なまま行われていることもあるでしょう。マニュアルや手順書の整備は新入社員への指導だけでなく、様々な不測の事態が起こった時「どうすればいいのか」の指針としても必須です。

これを機に、「業務に必要なフロー」「それぞれの持っている作業のコツ」を一度洗い出してみんながわかりやすいマニュアルの整備を進めてみませんか?

マニュアルを作成する際には、説明方法についても工夫が必要です。

下記のポイントを確認し、受け手がわかるような説明と手順の提示になるよう、工夫してみましょう。
 

  • 手順書やマニュアルは、“目で見てわかりやすいか”
    ⇒ 写真や説明図をつけるなど、 読まないでもわかる構成が必要です
  • 「説明した」「話した・伝えた」だけで終わっていませんか
    ⇒ 説明した後確認できるように、手元に冊子や説明文・メモなどで残せる形式のものを作成しましょう
  • 一度にすべての作業を紹介しない
    ⇒ステップやフローごとに作業を分け、一日に紹介する量をおぼえられる量に調整しましょう
  • 一緒に作業をしながら手順を説明する、作業をしながらできるよう簡素な説明文にする
    ⇒実際にやっている場面を見せながら説明することで、より「実際に何をやればいいのか」の理解が進みます
  • 説明後、「どれくらい理解したか」確認する時間を設ける
    ⇒質問や確認はその都度きちんと受付ける、説明したところを本人の言葉で説明し返してもらうなどの対応が効果的です。
     

定期的な振り返りを「認める」機会に

指導や指示を行っただけでは、「きちんとした理解・習得」には至らないことがほとんどです。

期間を決めて、本人の学んだことやその感想、指導している立場での意見を交換する 定期的な「振り返り」の場を設けましょう。これはどれくらい業務やスキルの習得が進んだのかの確認を行うとともに、 「安心して相談できる場所」を作り本人が「自分の力を発揮しやすい作業環境」の確認と、指導する方・指導される方の双方で理解を深めこれからの教育のスケジュールの調整をとることができます。

また、新人であるころより「仕事について安心して相談できる場所」があることは隠れた困りごとを見つけやすくするとともに、組織に対する信頼を高め業務に対するモチベーション・エンゲージメントを上げることにもつながります。離職率低下のためのフォローの場としても応用が可能です。


「振り返り」を行う際に気を付けるべきは「話す内容」です。
会議やミーティングと同様の気持ちで臨むと、業務連絡にとどまってしまい新入社員が困っていることや本人から見て頑張った点などのヒアリングが不足しがちになります。

まずは前回の振り返りで設けた目標を確認し、どれくらい達成したか・どんな方法をとったのかの報告をきちんと受け取りましょう。振り返りは「フォローされている・きちんと業績を見てもらえている」という信頼感、「業務がここまでできるようになった」という達成感と自信を得てもらうためのものです。 取り組みに対する姿勢やその結果を【正しく認め、褒める】ことが基本になります。

「報告をしてもらえる」「相談をしてもらえる」関係のための信頼を育てる機会にもなりますので、受け答えや報告を受けたことはなるべく記録をとり傾聴の姿勢を示しましょう。

振り返りの場では、会話の中で以下のような点を確認し、本人の感じている状況やミスの原因と対策を考え、次回の目標を共有するまでを一回の目安とします。
 

  • どのような業務を、誰としたか
    ⇒チームで業務を行う場合、チーム内の関係ややり取りの間で困ったことがないかを聞きます。
  • 作業の結果・目標の達成度、それに対してどう感じたか
    ⇒目標を達成するスケジュールに無理はなかったか、目標に対してどれくらい達成できたかをなるべく数値や実際の成果を示しながら共有します。
  • 結果に対して考えられる考察・対策
    ⇒ミスをしてしまった・目標に届かなかった場合はその原因と具体的な対策を、達成した場合でも「どこがよかったのか、効率的にできるようになるにはどうしたらいいか」意見を出してもらいましょう。
  • 作業ごとの疲労度や集中力など、業務に携わる時の精神状態
    ⇒作業環境や作業の内容で、集中度や疲労度が変わる場合「何が集中を妨げるのか・どんな作業が調子よくできたか」をヒアリングします。
  • 次回の目標の設定と達成のためのスケジューリング
    ⇒目標の達成度に合わせて、次の振り返りまでに達成すべき目標を設定します。今回の振り返りの内容を反映し、スケジュールや目標の度合いを調節して「達成のためには『今より少しがんばらなければならない』」レベルの目標を立てましょう。
     

指導と振り返りのサイクルを構築し小まめなフォローを行うことで、本人の状況の報告が職場環境の改善につながり、本人へ良い評価のフィードバックが返ってくる「成長の循環」が生まれます。また新入社員にあたる時期に大きなミスにつながりやすい事象を事前に把握しておくことで、自信の喪失、それに続く「報告・連絡・相談のできる関係性」の破壊を防ぐことができます。

自信と自己理解を深めながら職場との信頼関係を作ることは、特性のあるなしに関係なく良い仕事・良い就労環境を作る上で欠かせないものです。一人の新入社員とのやり取りを通して、職場環境を整えていくことは今まで働いてる従業員全員にプラスになる効果もあるでしょう。

課題のある新入社員の教育を「トラブル・頭痛のたね」としてとらえるのではなく、職場改善への一歩として活用いただけたらと思います。
 


〔参考文献・関連リンク〕

初出:2020年06月01日

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