緊急事態宣言でストレスチェック実施の延期はあり?なし?

   

新型コロナ禍で、ストレスチェックの延期はあり?なし?労基署に確認しました。

新型コロナウイルスの感染拡大によって 密閉、密集、密接 の「3密」を伴うイベントの延期や中止が相次いでいますね。

企業の義務である健康診断もその対象となり、「延期」の判断が厚労省から発表されたました。ですが、その他の安全衛生に関する委員会や報告は「十分な感染防止対策を講じる」よう発表されています。

同じように義務とされているストレスチェックについては、 実施に期限が設けられているものの発表内には明記されている部分がありません。 健康診断と同時期に実施している企業もあり、弊社ヘルプデスクにも「延期したいけど、どうすればいい?」「対策とは何をすればいいの?」というお問い合わせをいただきます。

ストレスチェックの新型コロナウイルス対応や、ストレスチェックの実施を延期する際に必要な手続きについて、弊社がオフィスを置く東京都の中央労働基準監督署に確認してみました。
 

ストレスチェックは「対策をとって」実施するべし

健康診断については「 令和2年6月末まで延期して差し支えない。 」という厚生労働省の発表があります。

法令に基づき実施する必要のある有害業務・特定健康診断などは、一度に行う人数を制限する・器具の消毒殺菌の徹底・会場となる空間の換気といった3密対策を行ったうえで実施するよう細かく言及されています。

自粛を求められる緊急事態宣言の最中で、休業されている企業も多い4月・5月。健康診断と同じくと実施期限が定められているストレスチェックの実施は、どのように対応すればよいのでしょうか。

労働基準監督署からは、以下のような回答をいただきました。
 

明確な発表や指針が示されない現状では、「新型コロナウイルス対策を万全に行ったうえで、期限を守って実施していただきたい」という回答となります。
実施期限としてはこれまで通り「前回の実施から1年以内」に本年度のストレスチェックを行ってください。

 
ストレスチェックについては2020年5月現在、通常と同様の「前回の実施から1年以内に1回」 を順守するように行うべきであるとされていることとなります。

また、「実施に関して行うべき新型ウイルスへの対策」としては、特殊健康診断実施時に気を付ける内容同様に

3密を避けて、換気・消毒・人々間に十分な距離を確保する
オンラインや郵送といった方法での実施
結果の郵送・メールでの産業医面談の勧奨、IT機器を用いたオンラインでの高ストレス者面談

といった工夫・方法の変更が挙げられるとのことです。
 

「理由の説明」と「証明・記録」をもって相談を

自粛に伴い、事業内容によっては休業を選択する・外部委託先企業によって 実施・集計スケジュールがずれることも予想されます。また、企業活動の状態によっては実施の延期・中止を検討しなければならないといったこともあるでしょう。

そのような場合は必ず「その証明となる【記録】をもって、所轄の労働基準監督署に相談・報告してほしい」とご指示をいただきました。
延期が必要である証拠・記録となるものは、以下となります。

・安全衛生委員会の議事録など、延期・中止を決定した理由が説明できる記録
・外部委託企業や実施機関の発行する延期や休業に関する書類や説明書
・「対策をとることが難しい」旨を述べた、延期・中止の必要性を第三者に説明できる資料


厚生労働省のHPでは特にストレスチェックについての記載はありませんが、
 

「健康診断に適応された延期許可を拡大して解釈することはありません」
「安全衛生委員会と同様、対応を工夫するなど “弾力的に” 実施してください

と、「実施する」ことをまず第一に考えるように、との話でした。
 

無断延期は指導・ペナルティの可能性も

また、延期や中止については、下記のような見解が示されました。
 

延期を希望するとして、記録を伴う報告・相談を所轄の労働基準監督署へ行わなかった場合、「故意に実施期限を守らなかった」または安全配慮義務違反とみなされてしまう可能性があります。
労働基準監督署への報告のない、無断での延期・中止は「通常と同様」の違反として取り扱われることでしょう。


通常50名以上の労働者が所属する事業所にはストレスチェックの実施義務が発生します。

義務のある企業がストレスチェックの実施を怠った・実施期間中に実施できなかった場合、「労働安全衛生法第120条」において最大50万円の罰金及び指導やペナルティの対象です。また、安全配慮義務違反ととらえられてしまうと 、労働安全衛生法並びに労働契約法の違反としてさらなる罰則の対象となりえます。

中止や実施の延期をご計画される際には、一度所轄の労働基準監督署へ相談の上委員会などで検討を行い、内容・議事録を報告するといった手続きをとることが安全といえるでしょう。
 


緊急事態宣言の延長が決定した5月、これから様々な業界・業種で自粛の影響が深刻化していることと思われます。

ですが、感染症などのリスクのある時期こそ従業員の健康やメンタルケアといった「安全に関する配慮」の効果が表れるもの。感染症対策をしっかりと取り入れた業務方法・運営方法を検討しましょう。

感染症対策にITツールを検討する場合、導入費用が「IT導入補助金」や「働き方改革推進支援助成金」などの対象となる場合があります。補助金の申請・対応についても弊社までご相談ください。
 

〔参考文献・関連リンク〕

初出:2020年05月08日

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