緊急事態宣言や外出の自粛など企業活動・経済活動の低迷が続く中、「雇用調整助成金」による休業を利用されている企業は多くあると思います。
ところで、雇用調整助成金はお店を閉めている間だけ使えると思っていませんか?
実はお店を開けながらでも使えるんです。
特例措置・緊急対応期間で全業種が対象に!
助成率は「要請の有無」を確認
従来様々な要件が設けられていた「雇用調整助成金」ですが、 新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主の支援のため、業種に関わらず、雇用保険が適用される、新型コロナウイルスの影響を受ける企業・個人事業主が対象となります。
また、緊急対応期間においては、事業所設置後1年未満の事業主・風俗関連事業者も限定なく助成対象として取り扱われます。
その上で、特に「新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく要請」に協力する企業にはより手厚い助成率が設けられています。
以下のフローチャートで、要件の詳細を確認しましょう。

雇用強制助成金は「トータル休業時間」で計算
雇用調整助成金の計算は、「従業員が休んだ時間」を事業所ごとに合計し、企業の規定した所定労働時間(多くは8時間)で割り【 日数 】として行われます。
計算に加味される労働時間は30分単位、それ以下の歯数は切り捨てになることに注意しましょう。


この制度を利用すれば、休業手当額を減らすなど調整を行いつつ経営の継続と企業負担の減少を両立させることができます。
さらに短時間休業の場合営業も継続できるため、経営の安定化が望めます。
※いずれのケースでも社会保険料の会社負担分は発生します
上限の引き上げや申請の基準も!
新情報に今後も注目
特例は「遡り申請」が可能、要件の更なる緩和に注目
雇用調整助成金の特例は、令和2年4月1日から令和2年6月30日まで(緊急対応期間)に行われた休業等に適用されます。これ以前に開始された休業についても令和 2 年1 月24 日まで遡って適用されます。
また今回の措置では、支給対象となる休業等から時間外労働等の時間を相殺して支給する「残業相殺」の当面停止や、 クーリング期間の撤廃、対象となる生産指標の緩和など様々な企業が使えるような要件緩和が発表されました。
上限の引き上げは5月27日以降、申請はよく確認して
5月14日に開かれた新型コロナウイルス感染症に関する記者会見によると、今後上限を15,000円に拡充するなど、雇用調整助成金の抜本的な拡充案が計画されています。
その他にも、労働者個人を支援する制度の登場もあり、今苦しい状況にある中小企業にとってかなり使いやすく、助けになる措置が今後も検討されるでしょう。
また、雇用調整助成金オンライン申請システムの不具合の発生もあり、申請に関する手続きは今後も企業側に柔軟な対応が求められることと思われます。助成金額の算定にも関わる部分ですので、申請は来月以降の情報を確認してからが良策でしょう。
飲食業などは今後営業が再開しても、厳しい状況が想定されます。
「休業」を行うことで雇用調整助成金をもらいつつ営業利益を出すなど、業種業態に遭った休業が計画できるよう情報を集めこれからのアフターコロナ時代に備えましょう。
【2020年5月21日 訂正・加筆修正 】
記載していた「雇用調整助成金」の算出方法に誤りがあり、厚労省の当該コールセンターと労働基準監督署双方に確認を取った上、該当記事を全面的に改訂致しました。
〔参考文献・関連リンク〕
- 厚生労働省:雇用調整助成金の特例措置を実施します
- 厚生労働省:雇用調整助成金
- 厚生労働省:短時間休業により雇用を維持しましょう(PDF)
初出:2020年05月11日 / 編集:2020年5月21日 |