役割分担できてますか?職場改善の第一歩は「業務の棚卸」から!:働き方改革

   

「役割分担」できてますか?職場改善の第一歩は「業務の棚卸」から!

労働者のストレスを軽減しメンタルヘルス不調を予防する方法は、職場の同僚や上司の支援やカウンセリングだけにとどまりません。

職場環境等の改善として、職場の物理的レイアウト・作業方法・労働の時間やその評価などもストレスの感じ方を左右する大事な職場環境です。

その中でも確実に実際の社員のストレスの改善につながるのが【 業務改善 】。 米国国立労働安全衛生研究所(NIOSH)が挙げる「ストレス対策としての職場改善」のポイントの中にも
・過大あるいは過小な仕事量を避ける
・仕事の役割や責任が明確であること
・仕事の意義が明確にされていること

が言及されています。
 
実際に弊社でストレスチェックを行った企業様の中でも、高ストレス者の多い 業界や組織では「役割明確さ」「技術の活用」「仕事量の多さ」の点数に特徴的な低下(不良)傾向が見られました。

この改善に即効性があるのはやはり「負担量・作業フローの見直し」です。

ですが、きちんと行うためにはまずは企業内で業務の把握・業務に対する認識の共有がきちんと行われていないといけません。

職場改善の第一歩として、まずは各人のもつ業務を一覧化し、それぞれの担当や責任の所在を明らかにする【業務の棚卸】を行ってみましょう!
 

長時間労働・役割の葛藤……
業務をスリム化で無理・無駄・ムラをなくそう

企業にとって「業務」の効率化は利益にもかかわる必須課題 になります 。特に従業員が少なく一人一人が大切なタスクを抱えている中小企業では、業務がスムーズに行われる環境は何よりの資産です。

本来であれば各人のスキルや適性を見極めて得意な内容を割り振ったり、業務内容によってチームメンバーを変更するなど【業務に合わせた人材配置】が理想ですがなかなかそうはいかないもの。時には管理者の知らぬうちに雑事が偏ってしまい長時間労働につながったり、割り当てられた複数の業務内容が矛盾してしまい精神的な負担を起こしてしまう事もあります。

「業務の棚卸」が最終的に目指すのは、上記のような問題になる業務状態の改善として ” 業務の標準化 “と” 認識の共有 “を行うことです。

限られたメンバーとタスクの中できちんと求められる業務をこなすためには、“ 業務の標準”を行い誰もがその業務をできる・業務が割り振られても学べる環境を目指しましょう。

マニュアルを作り、手順や指示ルートを明確にすることは教育の品質を一定化し、仕事が担えるレベルの人材の育成速度を促進します。

また、各業務の目的・内容・担当者を再確認しその責任や範囲の認識を互いに共有しておくことで作業や手順の無理・無駄を省き、報告・連絡・相談の情報伝達をスムーズにします。
  

「誰かがやってくれる」は偏り・の原因に
仕事の【業務】化・【担当】化を!

ごみ捨てやコピー用紙の詰め替えは当番制ですか?
オフィスの施錠や掃除は誰が担当しているでしょうか?

作業者しか把握していない業務やフローがあれば、作業量自体の認識、ひいては「仕事の評価」自体が間違ってしまう可能性があります。

正当な評価を行うためにもフローの確認や作業内容・負担の調整をきちんと企業が把握していることは重要です。

普段の業務で、無駄に見えるフローやスキル・スピードからくる配分の偏りがあるのは悪いことではありません。 ですが、様々な人が共有するツールのメンテナンスなど業務の下地になる環境の整備・保守は放っておくと、次第に不便・やりにくいなど見えない不満の原因となり最終的に業務全体が滞る原因になります。

「気がつかない人は気がつかない」「誰かがやってくれる」……で済まさず、 これを機にきちんと全員ができる・全員で偏りなく行う制度に改めましょう。
 

業務の棚卸は「細かく」「本人に」
3STEPで把握と共有を

ツールや複雑な説明を必要とせずすぐに取り組める「業務の棚卸」ですが、効率化・業務のスリム化を成功させるにはちょっとしたコツがあります。

各ステップに沿って、そのコツを一緒に見てみましょう。
 

1:業務改善は【 手順の解像度 】がキモ!
まずは「本人に」「細かく」書き出してもらおう

業務の棚卸」の大まかな手順は以下になります。

1:業務・手順を洗い出す
2:業務に携わるスタッフの立ち位置を明確化し、確認
3:業務内容やフロー、方法の再検討・効率化

この時、一番重要になるのが「業務・手順を洗い出す」作業です。

なるべく細かく手順をまとめてあればその後のマニュアル化にも役立ちますし、各人の工数・スキルの比較も詳細になります。

自分のやっている業務や手順をどれだけ把握できているか、【業務に対する解像度】をアップさせる気持ちで取組みましょう。

いざ「今やっている業務を書いてほしい」といわれても、人によって「ひとつの手順」と感じる基準が違ったり、各担当によって業務に対する認識が異なることがあるでしょう。

書き出してもらう時に必要なことは以下の3つです。

  • 「モレなく、なるべく細かく」
    ⇒一日にやった事やルーチン等時系列にそって記録してもらうと、思い出し漏れを防ぐことができます。突発的な業務が多い部署なら、1週間や1月の行動記録をとってもらい、それを手順として分解し業務量を計算するのも一手です。
  • 「作業者本人に、実際の手順を」
    ⇒「やった人しかわからない」手順を記録するために、なるべく作業差本人に手順や作業内容を書いてもらいましょう。雑用と思われるような作業でも、「やっていること」を記録してもらうことが「棚卸」の効果につながります。
  • 「単位を統一して」
    ⇒業務量の比較のために「工数の単位」を作る事は重要です。一番わかりやすいのは「その手順にかかった時間」と「作業の優先度」の2つでしょうか。手順や作業にかかる時間を比較する際はなるべく1時間を基準にするなど、後程比較・計算しやすいように設定します。
     

記録した作業の中に一人でできるもの以外の、他部署や別担当の力を必要とする作業があればその作業の全体フローも説明してもらうと良いでしょう。
 

2:同じ認識で検討しないと効果ないです。

記録が一通り行えたら、その重要度・範囲や担当者・工数量を確認していきます。その際にはまず、部署や参加するメンバーの認識をすり合わせましょう。

自分が担当している業務以外の「手順に対する解像度」は低くなりがち、「そんなことは手間じゃない」「やってくれても」と思う作業が作業の偏りや業務の詰まりを作っているかもしれません。

また、だれも業務命令として責任者・担当者とされていない、またはその他の方が担当者と思っているのに本人が自覚していない、担当者責任者が複数いるような場合もあるでしょう。このステップで担当や作業者ルールの決まっていない作業の詳細を決めましょう。

雑務であっても
「担当者としてきちんと社として任命する」
「任命したらその分の工数に応じて業務配分を行う」
「任命しないなら全員がその作業を行うことを前提とする=【全員ができるよう】にする」

と、組織と業務のルールに従うことで業務の基本的な認識の整理ができます。 
 

3:業務は「必要性」「工数」「スキル」で分別

前のステップで業務として確認された作業を確認して、その必要性や効率性を検討していきます。

意識すべき点は3つです。

  • 担当者・作業者間で作業タスクや量に認識の違いがないか
    ⇒ある場合は「実際に作業をしている人の意見を優先」します。また、同じ業務・同じ作業でも作業者間で工数や認識の違いがある場合、一番細かい表記を行う作業者に合わせるものとします。その状態でどれくらいの時間や工数、負担感があるのかを比べるとスキルマップにもなります。
  • 業務の目的を達成するために必要性のある業務か
    ⇒部署としての目的やその業務が担う範囲から逸脱したものは整理しましょう。各部署が共有する環境やツールは担当を定め、連携が必要な作業は連絡ルートやスケジュールの共有に何が支障になっているのかを業務に関わる全員で共有することが解決への一歩です。
  • 担当者のスキルや優先度から相当の業務か
    ⇒優先度の低い作業に工数がかかっている場合は、「マニュアル」が効果を発揮します。自動化やルーチンワークに組み込めないか、できないか検討しましょう。資格・スキルを要する仕事はその担当者がその作業の時間を捻出できるよう他の作業を分割できないか検討する必要があります。
     

基本となる基準ラインは「繁忙期以外の時期に、一日のルーチンで起こる作業が、定時以内に終わるように」です。

基本の業務をこのレベルに収めたうえで、繁忙期や特殊な業務の検討をしていきましょう。
  


各部署内・各部署間で業務内容を確認し認識を揃えることは、企業内のナレッジを集約し作業の簡易化、各人の責任・担当業務量の見直し、時間のかかる業務を分解し外部化する……といった職場改善につながる「対策」を検討していくはじめの一歩となります。
 
国際労働機関(ILO)は1992 年の報告書で「職場のストレスには、各作業環境や作業システムなど 人間工学的改善も有効」という報告を挙げています。

日本の職場改善の多くはその改善の向こうに「ハラスメント・長時間労働の撲滅」「長く、健康的に働ける職場の創設」という大きな、国の掲げる目標をめざす動きがあるでしょう。

目的に即した優先度・方法を見つけ、まず業務の効率化・改善からストレス環境に取り組んでみてはいかがですか。
 

〔参考文献・関連リンク〕

初出:2020年11月19日

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