業界平均値でわかる、組織の実態と働く環境の課題:AltPaperストレスチェック業種平均値2021レポート

〔資料DL〕データで解説!業界平均値でわかる、組織の実態と働く環境の課題。ストレス格差拡大に懸念も

株式会社情報基盤開発は、2021年中に「AltPaperストレスチェックキット」をご利用いただいたお客様からデータをご提供いただき※1、「高ストレス者」※2の割合・「総合健康リスク」※3・「各種ストレス尺度」について業種別に平均値を算出した 「ストレスチェック業界平均値レポート2021」を公開いたしました。
 

前回お伝えした速報では、総合健康リスクと高ストレス者の割合について、過去3年間の結果と比較した全体的な傾向について解説しました。今回は、各ストレス尺度と関連させた傾向を、企業に必要な視点とともにまとめていますので、ぜひ参考にしていただけたらと思います。
 

 

全業界で高ストレス者10%超⁉原因は「身体の疲れ

速報でもお伝えした通り、2021年は全業界で高ストレス者割合が平均値10%(全国:厚労省データ)を上回る結果となっています。新型コロナ感染症拡大以前から多くの業界で高ストレス者割合が10%を超えるケースは見られていたものの、全業界で10%超という結果になったのは今回が初めてです。
 

業界平均値(全体)の高ストレス者・総合健康リスク:AltPaperストレスチェック業界平均値2021レポート

業界平均値(全体)の高ストレス者・総合健康リスク
 

A. 農業・林業, B. 漁業, D. 建設業 E. 製造業 F. 電気・ガス・熱供給・水道業 G. 情報通信業 H. 運輸業, 郵便業 I. 卸売業, 小売業 J. 金融業・保険業, K. 不動産業・物品賃貸業 L. 学術研究, 専門・技術サービス業 M. 宿泊業, 飲食サービス業 N. 生活関連サービス業, 娯楽業 O. 教育, 学習支援業 P83. 医療業 P84-85. 保健衛生、社会保険・社会福祉・介護事業 Q. 複合サービス事業、R. サービス業(他に分類されないもの), S. 公務(他に分類されるものを除く) T. 分類不能の産業

 


ストレスの傾向を「ストレス尺度」から見ていくと、業界に関係なく全体的に、【技能の活用度】【身体愁訴】【家族や友人からの支援度】の数値が不良であることがわかりました。これは昨年に引き続いての傾向です。

ご自身の技能や能力を活用できる機会が少ないと感じていらっしゃる方が多い場合は、単純作業や専門性の低い業務に従事しているなどにより、仕事に意味ややりがいを見い出せず不満を抱いていたり、自分が役に立っている・仕事に貢献できているなどの気持ちを感じることができていないことが考えられます。
 
身体愁訴の数値が高い場合は、何らかの身体の不調があらわれていることを示しています。これを改善するためには、まずは十分な休息を取ること、疲労感を回復する・心と身体をリフレッシュする機会が必要ですが、長時間労働、もしくはコロナ禍で続く自粛生活や周囲への配慮などにより、家族や友人を頼ること・一緒に過ごす時間が確保できなくなり、コミュニケーションが希薄化してしまっていることも影響しているのではないかと考えられます。身体愁訴に限らず、疲労感の数値も平均値より若干不良な業種が多いため、身体の負担が不安や抑うつ感などにつながってしまう前に、自分や周りの疲れに気づくことが大切です。リモートワーク、ローテーションや勤務体制の変更などにより、長時間労働が顕在化していないかを見直すこと、セルフケアの方法を身に着けるなど、職場環境改善や研修等の適切な対応が求められているのではないでしょうか。
 

業界平均値(全体)の各尺度
 

【自覚的な身体的負担度】の数値が全体的に不良な結果となった点も見逃せない特徴です。

身体を使った業務に従事する業種、またはその他でも特に「宿泊業、飲食サービス業」「医療業」「保健衛生、社会保険・社会福祉・介護事業」など多くの人と関わる業種では、平均と比べて大幅に不良な数値で、前年と比較しても依然として負担が高い傾向にあります。
 
デスクワーク中心の業務は一見すると負担は少ないと思われがちですが、集中力を求められる業務や長時間同じ姿勢で作業をしなければならない環境では、足腰、筋力の低下など身体への負担は少なくありません。テレワークなどで急に在宅勤務になった、その後定着した場合も同様です。身体的な負担は疲労や不調につながり、回復する時間を設けないままの状態が続くとメンタルヘルスにも影響することを知り、まずは意識を向けることから改善に取り組みましょう。
 
心身のストレス反応が数値にあらわれているか否かに関わらず、【不安感】や【イライラ感】といった心理的な反応を測定する項目にも注目が必要です。

感染症対策への配慮や新しい生活様式に基づいた環境整備がなされているか否かや、収入の減少や仕事の不安定さなど経済的な不安、長引く自粛生活への苛立ちも含めたコロナ禍の社会的な不安感など、個々人の生活に対する不安が結果に反映されているとも読み取れます。そういった不安要素やリスクが多い分、心身の負担の回復にあてることができる時間・機会の確保と、一日のうちの大部分を過ごす職場の環境や企業の対策が、従業員の健康を守り企業活動を維持するための重要な要素として求められているのではないでしょうか。
 

コロナ禍で広がるストレス格差、解決のカギは働く環境

一方で、ストレスにも格差が目立つ結果となりました。

新型コロナウイルス感染症の拡大に直面し、未曾有の事態への対応を迫られた2020年・2021年は、職場環境にもさまざまな影響を与えましたが、その変容は業種により大きく異なることが見て取れる結果となりました。業種によっては、就労環境や労働時間など働く環境が変化したことにより、【仕事の負担】や【職場の環境】など、働きがいやワークエンゲイジメントにつながる項目が改善した企業・職種もありました。

この背景には、労働時間や多様な働き方の選択肢の広がり、新しいシステム機器の導入などがストレス軽減につながる要因のひとつとなったのではないかと考えられます。その変化が従業員のストレス状況にプラスに作用した業種もある反面、例えば「労働時間が減少した分収入も減ってしまった」「作業の単純化によってストレスは少なくなったが、働きがいや仕事の意味を感じられなくなった」「自分たちはリスクを冒して働いているのに、職種による不公平感が目立つ……」などストレス状況が増している業種もあると想定され、また同じ業界でも企業によってまちまちであることなどから、格差が目立つようになった印象を受けます。
 
全体の傾向としては、各業界別の平均値の推移(過去3年間)を比較すると、もともとストレス状況がよい環境にあったところは良好に、悪い環境であったところはまた元の状態にと、「ビフォーコロナ」時の結果に戻りつつある様子もみられます。
その格差の拡大については、今後の新たな課題点として挙げられます。
 
このことから、業界ごとの事情や状況の違いは多少あれど、どの企業にとっても、働きやすい職場環境の整備や、従業員の生活や心身の健康を守るための前向きな取り組みが求められており、その対策を講じるか否かが今後、企業のパフォーマンスの向上や離職防止、ひいては事業の継続・発展にも深くかかわってくるといえるでしょう。

具体的には、ストレスチェックの定期的な実施やハラスメント相談体制の整備、育児介護休暇をはじめとした休職・復職など休暇制度の充実、心理的安全性の高い職場環境づくりなど、従業員の健康管理を経営的な視点で考え戦略的に取り組む「健康経営」の姿勢が、ますます求められているのではないでしょうか。
 

 

【調査方法】
この度算出いたしました2021年「業界平均値」データは、当社サービス「AltPaperストレスチェックキット」を2021年中にご実施いただいた事業者を対象に、集団分析結果のご提供の承諾を個別に伺い、同意いただいた事業者のデータのみを用いて分析を行ないました。
2021年12月末日までに当社で集計を完了した1525事業者の男性207,679名、女性162,568名を含む約37万名のデータが含まれます。
※2021年単年の「AltPaperストレスチェックキット」導入事業者数は約33,00法人、受検者数は約90万人比較の基準としている「全国(厚労省データ)」は、“厚生労働省科学研究費補助金労働安全衛生総合研究事業「職業性ストレス簡易調査票及び労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリストの職種に応じた活用法に関する研究」平成19年度総括・分担報告書 表4 職業性ストレス簡易調査票下位尺度の職種別平均値及び標準集団との比較”が出典です。

集計につきましては、事業者様のデータについて全参加者データ・男性参加者データ・女性参加者データの3軸に分け、高ストレス者の出現割合、健康リスク、各尺度の平均値を業種ごとに算出しました。なお全参加者データにつきましては、「男性」の基準値を用いて総合的な数値の算出、比較・分析を行っております。
 
※1 データの取り扱いについて:
・各事業者様にご提供いただいたデータにつきましては、業種・規模・地域をお伺いして分類することとし、個々の事業者様・受検者様を識別できないようにして取り扱っております。
・各受検者様の回答につきましては、性別・職種と57項目・80項目の回答データのみ使用することとし、個人を識別できないようにして取り扱っております。

※2 「高ストレス者」とは:
厚生労働省(令和元年7月)が公表したマニュアルに基づいており、以下(1)及び(2)に該当する者を指します。(1)及び(2)に該当する者の割合については、概ね全体の10%程度を基準とします。
 (1)「心身のストレス反応(29項目6尺度)」の合計が12点以下
 (2)「心身のストレス反応(29項目6尺度)」の合計が17点以下で「仕事のストレス要因(17項目9尺度)」
  及び「周囲のサポート(9項目3尺度)」の合計が26点以下

※3「健康リスク」とは:
基準値として設定された全国平均値100からどの程度乖離しているかで算出されます。また、健康リスクの数値を表す「仕事のストレス判定図」とは、 男女別に求められた量-コントロール判定図と職場の支援判定図から構成されます。この二つの調和平均が「総合健康リスク」となります。

 


 

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初出:2022年07月22日

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