集中力を高めて業務効率アップ!「VDTガイドライン」を活用してテレワーク環境を改善

   

集中力を高めて業務効率アップ!「VDTガイドライン」を活用してテレワーク環境を改善

テレワークの普及に伴い、「オフィス外で働く」ことが普通の風景になりつつありますね。様々な場所でパソコンを開く人を目にするようになりました。

ですが、自由に働ける反面「家で作業しているとなぜか体がつらい」「疲れる速度が速くなった」「集中できない!」という声を耳にすることも。

オフィスではそれほど苦にならない作業も、なぜか家でやるとつらい……。それは「作業する環境」に原因があるかもしれません。

今回はパソコンや事務作業に欠かせない【疲れない・集中しやすい環境を整えるガイドライン】をご紹介いたします。
 

7割が疲れを感じている「VDT作業」
不眠や自律神経の乱れの原因にも

今や書類記入、事務処理といった作業はパソコンで行うのが当たり前になりました。

液晶ディスプレイやキーボードといったパソコン作業やそれに類する情報処理・事務作業はVisual Display Terminal(通称:【VDT】作業)と呼ばれ、今までの労働環境から想定されるものとは違う身体的負担・精神的負担がかかります。

コンピュータ作業が一般的になり始めた1997(平成10)年に実施された「技術革新と労働に関する実態調査」によれば、 VDT 作業を行っている者のうち「精神的疲労を感じている」が36.3%、「身体的疲労を感じている」は77.6%にも上っていました。訴えの上がった不調の多くは目の疲れ・痛み(90.8%)、次いで首や肩の凝り、痛み(74.8%)です。

また、コンピュータ機器を使用することへの精神的な疲労やストレス(テクノストレス)や、腰・足に関する不調も3割以上と無視できない数の訴えがありました。

VDT作業は力仕事や外出を伴うことが少なく「軽い仕事」「疲れない仕事」のように見られてしまいがちですが、長時間にわたる・集中力を必要とする負荷の高い作業です。効率・品質を維持するためには適切な休憩が欠かせません。

ディスプレイを長時間使用する・細かい作業に有注力を使うことから、目だけでなく自律神経や生活リズムの乱れといった治しにくい部分に不調が現れることも特徴です。

疲労によっては抑うつ状態・不眠・めまいといった症状が見られることもあり、疲れを感じるようなら早めに対応・対策をとる必要があります。

心身の負担を減らすためには、
「作業環境をVDT作業に適した状況にする」
「適正な作業管理を行う」

の2点に注目しましょう。
 

適切な環境の基準は「VDTガイドライン」から学ぼう

「VDT作業に適切な環境」と聞いたとき、どのようなものを思い浮かべますか?

明るい室内、机と椅子、モニターのおけるスペースなど一般的な設備を考える方が多いと思います。

VDT作業を行う上で使いやすく疲れにくい環境には、このような設備を揃えるだけでなく、その高さなどの調節や手元の明るさについてガイドラインで基準が設けられています。

2002(平成14)年、職場におけるIT化を受けて厚生労働省は「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」を発表しました。このガイドラインに基づいて作業を行う上で必要な様々な環境が定められ、それに基づく事業所の指導や助言が行われています。

令和元年に行われた見直しでは、様々な技術や労働形態の発展に合わせ、対象を拡大する・機器の選定や健康管理を作業内容や作業時間に合わせ適切に実施するといった文言が追加されました。

さらなる改善や見直し、新たな基準の追加に備え今の内からガイドラインの順守を進めていきましょう。
 

改善のポイントは「光」「機器」「スペース」
テレワークでも視覚と姿勢に注意した環境を

VDT作業に適した環境は、その従事内容によって様々です。

機器の選定や環境をどのように調整すればいいのかは各社各所ごとに異なりますが、ガイドラインでは多くの作業に共通して「手元の明るさ」「機器の調節や仕様」「環境の整備」への基準が挙げられています。

オフィスや社内でこれらの環境を整えるのはもちろん、家や外出先でテレワークをするときも最適な環境選びに役立ちます。

「テレワークでも注意したい」VDT作業環境のポイントをまとめました。
 

・手元の明るさ

・照明および採光
作業に充分な光量だけではなく、目の負担になる著しい明暗の対照やまぶしさを生じさせないようにすることが大事です。
強い日差しにはカーテンやブラインドを設置する、ディスプレイの照り返しを防ぐ低反射フィルムや角度の調節などでグレア(光による不快感、)を押さえましょう。

・明るさの目安
作業時に目を向けていることの多い手元には、より十分な明るさと目への負担を減らすことが求められます。
→ディスプレイ画面上における照度は500ルクス以下、
→書類上及び キーポード上における照度は、300ルクス以上
→手元と周辺の明るさの差はなるべく減らす
といった工夫をしましょう。

 

・使用機器

作業で使用する機器は、従事者の作業効率・ストレスに大きな影響を与えます。

・出力機器(ディスプレイやパネルなど)
作業に十分な画面サイズがあり、使用者の体感に合わせてコントラストや角度・輝度などを調節できる機能が備わっているものを選びましょう。視覚を保護するフィルターや保護フィルムを導入するとさらに快適に作業が行えます。

ノートパソコンにおける長時間使用の場合には、外付けディスプレイを用いることも推奨されています。

入力機器(キーボードやマウスなど)
入力機器についても、基準が定められています。直接操作を行う入力装置は、操作性・反応精度などの他に「操作したとわかりやすい」使用感が求められます。

キーボードであれば押した感触や文字の視認性、マウスやタブであればボタン数や機能を調整できるかなどをチェックしましょう。

ソフトウェア
従事内容によって専門的なソフトウェアや特別なプログラムを使用する場合も、使用者がわかりやすいUI(ユーザーインタフェース/ボタンの配置や表示方法)や万が一操作ミスなどでデータを消してしまった場合でも復元がしやすいものであることが定められています。

 

作業環境

身体的な負担に影響する作業環境は、設備や機器にかけたコストが快適性として反映されやすい部分でもあります。

机・作業台 
何気なく使用している作業スペースにも、基準が設けられています。
使用者に合わせて調整できるものがベストですが、調整できないものであっても65~70㎝の範囲内で、作業する体勢をとった時に手足が充分に動けるスペースのあるものを選びましょう。

椅子
不安定な椅子や、高さの合わないものは身体疲労の原因になることが多いです。

座った際に足裏がすべて床につくよう体格に合わせて調整できることや、背もたれ・ひじ置きがあることも要件になります。特にパソコン作業を行う場合キーボードに腕を置いたときにひじの角度が90°以上になるよう高さが必要になります。

VDT作業を行う時に望ましい姿勢や、作業台・椅子等の調整方法の周知も併せて進めましょう。

騒音や空調
VDT作業では、いろいろな音や要因が刺激となって集中の妨げになります。パソコンの排気音やファンから不快な音がする場合、騒音の低減措置を講じたり、作業を行うフロアの換気・温度・湿度が過ごしやすいよう調整したりする。休憩等のための設備を設ける、といった基本的な環境について整備を。

VDT作業では電子機器を取り扱うことも多いので、静電気除去等なども不快感・機器の消耗防止に効果的です。
 

 


集中力の必要な作業は、実は知らず知らずのうちに体力を消耗するもの。

本来であれば人間の集中力の限界からして「1時間以上の作業を行わない」ことが推奨されますが、「集中できている間に……」とつい作業を長引かせてしまう傾向も見られます。

従業員が持てる力を存分に発揮できるようにするなら、 設備だけではなく従業員の「健康」管理にも配慮すべきです。

・作業内容や勤務時間に合わせ健康診断の項目を設ける
・休憩やストレッチを推奨する
・機器の使いにくさや作業に関することを相談できる制度を実施する


などは、 企業の「安全配慮義務」を満たす一端にもなります。

環境だけではなく集中力を維持する体力やメンタルを維持するための「一歩進んだケア」を検討してはいかがでしょう。
 

〔参考文献・関連リンク〕

初出:2020年08月13日

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