【令和4年度】「小規模事業場産業医活動助成金」とは?助成金で産業医を設置(選任)しよう

【令和4年度版】小規模事業場産業医活動助成金とは?助成金で産業医を設置しよう

「産業医がいた方が安心なのはわかっているけれど…正直費用がかかるのは厳しい」
「できるのなら費用を抑えて産業医を設置したい」

「小規模事業場産業医活動助成金」の活用により、最大20万円(10万円×2回)が支給され、産業医を配置することができるのをご存じですか?

本記事では、企業が産業医を選任すべき理由から、助成金を受けるための要件と申請期限、そして助成を受ける際の注意点を紹介していきます。
 

50人未満でも産業医は必要?

50人以上の従業員を抱える企業は、産業医の選任が義務となっています。
しかし例えば、本社と支社など複数の事業場をもつ企業は、従業員50人の本社では産業医を選任していても、50人未満の支社・支店では選任していないなど、対応に差が出てしまうこともあります。
 
従業員50人未満の場合、法律上の義務はありませんが、実際には少人数であればあるほど、従業員の健康は会社全体に影響する大きな問題となります。産業医が必要と感じるタイミングのひとつが健康診断後の対応です。また、長時間勤務メンタルヘルスの不調などについては、従業員50名未満の事業場においても「安全配慮義務」が求められています。
 
企業における産業保健の要は、産業医や保健師といった産業保健スタッフの導入です。しかし、そのためには資金が必要。そこで「小規模事業場産業医活動助成金」の活用を考えてみてはいかがでしょうか?
 
小規模事業場産業医活動助成金は、労働者が50人未満の小規模事業所を対象に、産業医の選任にかかる費用を助成する制度です。助成金額は最大20万円(10万円×2回)と非常に嬉しい助成制度ですが、いくつかの要件を満たさなければなりません。 
 

産業保健を始めるなら、
“中小企業の内に”がおすすめ

労働者が50人未満の事業所において、産業医の選任は「努力義務」とされており、絶対的な義務ではないのですが可能ならば選任したいものです。
なぜなら、産業医を設置することで従業員の離職防止やパフォーマンス向上につながるからです。特に一人ひとりの活躍、存在が大きく影響する中小企業では、従業員の健康が業績や業務の効率、プレゼンティズム(心身の健康上の問題によって本来の能力が十分に発揮できない状態)に直結するため、見過ごせない問題です。
 
また少人数の内から社員の健康管理を考え、産業保健の導入を始めた企業様からは、
・実施して初めて体制の不備に気が付いた
・少人数での実施で担当者が慣れており、事業拡大等で社員数が50名を超えてもスムーズに対応できた
・産業医の選任、契約に予想以上の時間がかかってしまうことが分かった


などという声もお聞きします。
中小企業の内に、産業保健体制を整えておくことは企業のこれからにとってもプラスになるのです。
 
労働者50人未満の事業所は利用できる助成金が多く、助成金を活用した産業医の選任がおすすめです。
 

産業保健の専門家「産業医」の選任、配置に活用!
「小規模事業場産業医活動助成金」とは?

産業医の選任を考えている小規模事業者におすすめの助成金制度の一つとして、「小規模事業場産業医活動助成金」があります。小規模事業場産業医活動助成金とは、労働者が50人以下の事業所が産業医を選任する際に、産業医活動の費用の一部を国から受けられる助成金制度です。

助成金を受けられる企業の大まかな要件は以下の2点です。
・小規模事業場(常時 50 人未満の労働者を使用する事業場)である
・労働保険の適用事業場であること

 
※労働保険(労災保険と雇用保険の総称)の適用については、厚生労働省ホームページ「労働保険適用事業場検索」にて確認できます。
 
小規模事業場産業医活動助成金は、利用の要件や目的別に以下3つのコースが設けられています。
・産業医コース
・保健師コース
・直接健康相談環境整備コース


実際に受けられる助成金額には各コースで違いがありますが、基本的に助成金の上限はトータルで20万円となります。
 
業務内容や企業規模によっても異なりますが、産業医活動にかかる費用は月1回の会社訪問でおよそ月5〜10万円、費用の全額助成ではないとはいえ企業の負担を大きく抑えることができます。
 
ここでは「産業医コース」を中心に解説します。
産業医を配置してようやく社内の健康管理がスタートします。
 
なお、従業員が50人以上の事業所は、産業医およびストレスチェックの実施は義務です。必ず産業医を配置し、健康管理やストレスチェックを行わなければなりません。この助成金は、従業員50人未満が対象となります。
 

「産業医コース」の要件と助成金額

産業医コースは、産業医と企業が「産業医活動に係る契約」を交わし、契約に基づいた産業医活動が行われた場合に実費を助成するものです。
 
産業医コースの助成を受けるための要件は次の通りです。 

  1. 産業医と事業場が「産業医活動に係る契約」(職場巡視、健診異常所見者に係る意見聴取、保健指導等、産業医活動の全部又は一部を実施する契約)を締結していること。
  2. 産業医が産業医活動の全部あるいは一部を実施していること。
  3. 産業医活動を行う者は、自社の使用者および労働者以外の者であること。
  4. 2017年4月以降(平成29年度以降)、産業医と事業場が新たに「産業医活動に係る契約」を締結していること。

※4.の要件は、平成 29 年5月 31 日付け「小規模事業場産業医活動助成金支給要領(産業医コース)」第3条の2に記載あり。その他の詳しい要項の確認をおすすめいたします。

 
助成金の対象となるのは、下記期間に実際に実施された活動になります。取組の実施時期によって申請期間が異なりますので、十分ご注意ください。

【対象となる取組の実施期間】

①上半期:令和4年4月1日から令和4年9月 30 日まで

②下半期:令和4年 10 月1日から令和5年3月 31 日まで

※ 「継続する6か月以上の産業医活動実施期間」の最終日が、上記①又は②の期

間中である必要があります。

【申請期間】

①上半期の場合

 令和4年 11 月1日から令和5年3月 31 日まで(消印有効)

②下半期の場合

 令和5年5月1日から令和5年 10 月 31 日まで(消印有効)

「令和4年度版「小規模事業場産業医活動助成金」【産業医コース】の手引」より引用。

なお、各申請期間中であっても、支給対象となる申請がそれぞれの上限件数に達した場合は、上限に達した日の消印をもって受付を終了するとのことですので、お早めに申請することをおすすめいたします。

また、助成金の申請に際しては、「実際に活動した」ことを証明する所定の書類が必要になります。助成は6ヶ月ごとに上限10万円の支給が、1事業所につき2回限り行われます。
詳しくは 「令和4年度版「小規模事業場産業医活動助成金」【産業医コース】の手引」 でご確認ください。

産業医紹介のオプションサービス、あります。

産業医紹介 や、医師面接代行実施者代行 など、まずはご相談ください

 
また、小規模事業場産業医活動助成金には「産業医コース」以外にも次の2コースがありますので、詳しくは労働者健康安全機構のページでご確認ください。下記〔参考文献・関連リンク〕欄にリンク先を記載しておりますのでご利用ください。
 
ここでは以下、それぞれ簡単にご紹介します。
 

【保健師コース】
保健師コースは、保健師と「産業保健活動に係る契約」を締結し、産業保健活動を実施した場合に実費を助成するものです。大きな流れは産業医コースと同様で、保健師が産業保健活動を行った際に、最大10万円×2回=20万円が助成されます。 
産業医コースと異なる点として、2018年4月以降(平成30年度以降)、保健師と事業場が新たに「産業保健活動に係る契約」を締結していることが要件となります。産業医コースは、締結日が2017年4月以降(平成29年度以降)なので注意が必要です。
※なお、「産業保健に係る契約」とは、健診異常所見者や長時間労働者等に対する保健指導、高ストレス者等に対する健康相談、健康教育等の産業保健活動の全部又は一部を実施する契約のことを指します。
 
【直接健康相談環境整備コース】
直接健康相談環境整備コースは、労働者が産業医または保健師と直接健康相談できる環境を整備する際に受けられる助成金です。事業者を介さずに、労働者が産業医または保健師と直接相談できる仕組みを整備することにかかわる助成金です。特にメンタルヘルス分野については、職場や人事に知られずに社外の専門家に相談できる仕組みの構築が望まれています。そのためのシステム整備に対し助成金を支給します。主な条件は「保健師コース」と同じです。
 

※詳しい要件については、平成 30 年4月 24 日付け「小規模事業場産業医活動助成金支給要領(保健師コース)」平成 30 年4月 24 日付け「小規模事業場産業医活動助成金支給要領(直接健康相談環境整備コース)」それぞれの第3条の2を御確認ください。

 

事前に確認!
小規模事業場産業医活動助成金の注意点

ここまで、小規模事業場産業医活動助成金の制度内容について解説してきました。
少しイメージが湧いてきましたでしょうか?
助成金や制度を利用には、コースごとに助成スケジュールや提出書類の様式が設けられています。
 
事前に以下の4点を特に確認しましょう。

活動実績、各種証明書が必要
 ⇒申請には【実際に活動したことを証明する】書類が必要になります。
  契約書の写しや産業医・産業保健スタッフの資格証明、活動実績報告書
  等は事前に作成しておきましょう。
  注意したいのが、「支払の事実を明らかにする証拠書類」です。
  振込で支払った案件でも領収書が必要になります。

申請には期限がある
 ⇒申請には受付期間が設けられています。また、申請対象となる取組にも、
  上半期・下半期とそれぞれ分かれていますので注意しましょう。
  契約年の要件や申請期間は必ず確認しましょう。

☆着金するまでに時間がかかる・後払いになる
 ⇒申請の対象となるのは【実際に行った産業医としての活動】です。
  助成金を活用する場合、実際に実施して一旦はその支払を実費で
  行わなければなりません。
  また、助成金支給が決定してもその通知と着金にはタイムラグがある
  ことにも注意が必要です。
 

 

小規模事業場産業医活動助成金は、6か月の活動実績をもとに審査・助成が行われます。
つまり助成対象となる6か月間は実費で産業医報酬を支払う必要があります。

審査にも時間がかかるため、申請を行って実際に着金するまでにかなりの日数がかかる可能性があります。特に年度をまたぐ実施の場合、実施期間中に従業員が50人を超えるなど申請したのに審査に落ちるといったアクシデントも起きかねません。要件をきちんと理解した上で助成金制度を活用しましょう。

小規模事業場産業医活動助成金は毎年実施されています。それぞれの年度に申請期限がありますので、きちんと把握しておきましょう。
 


産業保健は「従業員の健康増進、悪化予防」を目指すものですので、従業員が少なければ少ないほど、きめ細やかな対応が可能になります。ほんの少しの対応でも大きな効果が期待できます。
 
産業保健スタッフ側としても、一人ひとりに目が届く規模では健康状態の把握や信頼関係の構築がよりスムーズになります。
 
メンタルヘルスへの意識に限らず、健康経営など企業の取り組みとしても従業員の健康度への注目が高まりつつある今こそ、助成金を活用して、中小企業の職場にも産業医を配置するタイミングではないでしょうか。
 

〔 参考文献・関連リンク 〕

初出:2020年09月09日 / 編集:2022年04月25日

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