フルリモート体制の課題、克服の前提は「働きやすさ」。それが組織のパフォーマンスにも直結する
株式会社CAMPFIRE
本社所在地:東京都渋谷区猿楽町18−8 ヒルサイドテラスF棟201
設立:2011(平成23)年01月14日
事業内容:クラウドファンディング事業の企画・開発・運営

国内最大級のクラウドファンディングサイトを運営する同社は、「CAMPFIRE Everywhere」と題し、働き方のフルリモート体制を推し進めてきた。創業当時から自由な働き方を求めるメンバーが集まっていたため、柔軟さはベースとしてあったというが、コロナ禍を機にその実現が加速。現在は地方在住に限らず、通勤可能な地域に居住していたとしても基本的に出社することはない。フルリモートでありながら在宅勤務手当の支給もある。フレックス制で、副業も可能と自由度が高く、現在は20~30代が中心の比較的若い年齢層のメンバーが、全国各地で働いているのが特徴の企業だ。
フルリモート体制について、同社の担当者は「組織にとってもメンバーにとってもいいことしかない」と話す。働くメンバーにとっては生活スタイルの維持向上ができ、通勤の負担から解放されるなどメリットが大きく、組織にとっても、採用における面の広がりを実感しているという。全国規模で採用を拡大していく中で、単に地域の散らばりだけでなく、多様な価値観の人が集まってくるのが最大のメリットと考えているそうだ。ただ導入にあたっては、当然課題も多かったと振り返る。大きく分けて課題は2つ。1つ目は、パフォーマンスをどう引き出していくか。そして2つ目は、メンバー間のチーミングだ。対面のコミュニケーションがない分、どのように関係性を構築していくのかが課題の根幹だったという。
「パフォーマンス向上の軸=エンゲージメントの醸成にある」とし、そのカギはルールの共有や同一の場所に集うことよりも、同社の場合は「ミッションを軸として皆でエンゲージメントを高めていくこと」にあると考えた。そこでミッションに向けて、忠実にやり抜くことができるよう、メンバーそれぞれが少し背伸びをして努力をすれば達成できそうな「ストレッチ目標」を掲げてチャレンジできる評価制度(OKR評価制度)を採用している。
チーミング(チームビルディング)に関しては、対面が少ない分オンラインツールを活用することにより、非常に活発にコミュニケーションが取れていると評価する。そこにオフラインイベントも組み込みながら、バランスを考えて交流を保つよう工夫しているという。

リモートワークの導入・継続については、同様の悩みを抱える企業も多いだろう。同社の担当者も「完全な答えやパーフェクトな運用ができているとは思っておらず、トライ&エラーの繰り返し」としたうえで、次のように話す。
「オンラインに変わっていく中で、すんなり馴染めるメンバーもいれば、寂しさや孤独を感じるメンバーもいる。しかし組織はメンバーの成果を引き出していかなければならず、課題感は大きかった。それを克服するための前提となるのは『働きやすさ』。その土台の上にフルリモートがあるというフレームをしっかりと認識すること」が必要。そして、各メンバーが立てた目標に対してマネージャーが1on1を通してきちんと関わっていくことや、オンラインでもできるコミュニケーションをこまめに、きめ細かく対応していくことが重要だと強調する。同社でもこのような日常のささいなコミュニケーションを大切にし、細かな施策を日々試しているところだそう。他にも、全体会議の際には各部署・チームにスポットを当て、持ち回りで取り組みを共有する機会を設けている。リモート環境だと他の部署が何をしているのかが見えづらくなりがちな傾向を考慮してのことだ。
ハラスメント防止施策に関しても、内部通報制度の設置に加え、より相談の敷居が低くなるようにコンプラアンケートとしてサーベイを実施したり、執行役員以上のボードメンバーに対する研修では、ワークショップを交えてリスクの洗い出しを行ったりなど、実践的な教育を取り入れていることが語られた。
「胸を張って良好な職場環境と言い切るには、まだまだチャレンジ途上」とのことだが、フルリモート体制の中でもスムーズなやり取りができ、ストレスの少ない職場環境を実現するには、組織やマネジメントをする立場にあるメンバーの努力のもと、働きやすさとはなにかを認識し、整備しようとする姿勢あってこそだと、同社の事例を通して改めて伝わってくるのではないだろうか。
「『働きやすさ』はストレートに成果に直結する、と考えている。働きやすく在ることは会社が目指す成果と強い因果関係を持って、優位に働いているのではないかなと感じている。その結果、採用にも有利に働き、おもに地方への移住を検討している幅広い世代からの応募も増えた。あらかじめ職場風土はありつつも、『CAMPFIRE Everywhere』というフルリモート体制の強化に筋を通して実現させていく手順を重ねたことにより、例えば子育てや介護など色々な生活上の制約の負担も軽減され、より柔軟な働き方ができている」
同社の視点や取り組みは、現在、働き方改革の推進やコロナ禍を経て、そもそもの仕事と生活の両立に関する考え方が変わりつつある中で、対応に苦心している多くの企業にとって、参考になるヒントが詰まっているのではないだろうか。
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